超人気俳優が女子高校生を好きになるのはダメなことですか?

桜木朔

第1話 人気俳優が高校に来た。

私こと、月島唯花(つきしまゆいか)は教室でクラスメイトたちと溢れんばかりの期待と喜びを抱いていた……


「唯花、ほんとにやばくない!?」

友人の清水彩月(しみずさつき)が私の肩を揺さぶりながら歓喜の声をあげる。

それに、私も大きく頷きながら、

「うんうん!!今日で私たちの運全部使い切るかも!」


というもの……、


今日これから、うちの高校である私立天竜山高校に、日本人なら好きにならない人はいないと言われるレベルで有名な

20歳にして超人気俳優の伊瀬賢人(いせ けんと)がテレビの取材で訪れるからだ。


ーー伊瀬くんは、1000年に1人の天才と呼ばれ演技、アクション、歌、何をやってもトップクラスのレベルでこなし、身長は180cmを超えており、そのルックスはまさに王子様と言っても過言ではないほどのイケメン。ーー


そんな世間で超有名な芸能人が来るのだ、生徒どころか、先生たちまで歓喜の声を上げているくらいだった。


○○○


しばらくして、学校の前に何台ものワゴンが到着した。


「あれかな?」 「生の伊瀬くんに会えるなんて感激!!」 「私、多分人目見ただけでキュン死する自信あるよ」


と、女子たちはそのワゴンを教室の窓から見ながら期待に胸を膨らますのだった。


大勢停まっていたワゴンのひとつから、伊勢が出てくると…

「キャーーっ!」

「本物の伊勢くんだー!!」

「カッコよすぎ!!」


と、教室の中がほとんど悲鳴のような声が溢れかえっていた。


かく言う私も、生の伊勢くんを見て必死に震える手を彩月と一緒に堪えるばかりだった。



すると、ものすごい数の歓喜の声が聞こえたのか……、


伊瀬くんがマネージャー(?)らしき綺麗な女性と話していると、ふと視線を上げて、私たちの方を見ると、小さく手を振ってくれた。



超絶人気俳優のイケメンが人目見て泣き叫ぶ女子高生に手を振ったのだ。それだけで、教室中のみんながどうなるか言わなくてもわかるだろう…



当たり前のように、女子たちはもはや息をすることすら困難なレベルで、男子生徒たちですら、手を振ってもらっただけで大声で喜ぶ始末。



まあ、私と彩月もその他大勢に負けないくらいの大声をあげて喜んだんだけどね!



○○○


伊瀬くんが到着したということで、私たち生徒は体育館に集められた。


すぐそこに伊瀬くんがいるという事実に全員が冷静さを保てないくらい喜んでいたが、目の前にディレクターの人が立つとさっきまでのが嘘にみえるほど静かになる。


「えぇー、この度私たちの番組でこちらの学校に来させて頂いたことに感謝しています。


今回は皆さんの普段の生活を撮影させてもらいたいと思っておりますので、そんなに緊張せず、リラックスしてよろしくお願いします。

それでは、今回リポーターで来てもらった伊瀬くんにご挨拶を……」


と言うと、ディレクターの男性がマイクを伊瀬に渡す。

伊瀬が壇上に上がると、鳴り止まないほどの歓喜の悲鳴が上がる。


「この度、番組リポーターとしてこの学校に来させていただいた伊瀬賢人です。

短い時間にはなりますが、皆さんと少しでも多くお話が出来れば光栄です。

よろしくお願いします。」


その言葉と共にとても綺麗なお辞儀をして壇上から降りていく。


伊瀬の一挙手一投足を目に焼き付けようとその場にいた全員が彼がお辞儀をするまで、息をするのを忘れたのかと言うほど静かだった。


隣に座る彩月を見ると、大粒の涙を流しながら感動で身体を震わしていた。


「ほんとぉぉいせくぅぅんかっこよすぎだよょ。」

と言って、私の手を握ってくる。


私の方も伊瀬くんの生の声を聞いた時はまるで吸い込まれるような感じで、耳に滑らかに届く声はどこか安心するような感じで、気づけば頬にいくもの涙が流れた跡があった。



「それでは、

皆さんは授業にお戻りくださーい!


カメラが入ってもできるだけ日常と同じように振舞ってくださいね!」


と、番組スタッフが言う。



生徒たちは、指示通り各々の教室に戻っていく。


私はその帰りにトイレによろうとして、ふとポケットの中を確認して、

「あっ!彩月ごめん、体育館にハンカチ忘れたかも。」


「それなら、早く取りに行ってきた方がいいよ!」


「うん!急いで行ってくる!」


私は体育館まで急いでハンカチを探しに行った。


○○○


「………あれ、ここら辺に落としちゃったと思ったんだけど……」


と、先程まで自分が座っていた席の近くを探したのだが、なかなか見つからないでいると……


「もしかして、可愛いクマのハンカチをお探しで?」


「そうです! ちょうど探していて………」


ふと、後ろから声を掛けられ振り向くと……




そこには、ハンカチを持った伊瀬賢人が私の前に立っていた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


こういうラブコメがあったらいいな、と勝手に考えて描くことにしました。


この作品以外にも

「俺が電車事故から命をかけて守った女子高生と結婚して、幸せになるまでの話」の方も絶賛連載中ですのでよろしくお願いします!



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