第4話 F高新入生歓迎会 新たなFFさん発見!?

アルタ『甘楽屋でF高新入生歓迎会やるんだけどこい』

 Right『強制ですかい』

 アルタ『当たり前だろ。金無かったら奢ってやんよ』

 Right『優しすぎたから行くわ』


 という経緯で俺は甘楽屋に向かうことにした。もちろんだが、アルタは解のlitterアカウントだ。


 甘楽屋は学生の飲み屋だ。学生だけど大人っぽく飲んでみたい!って人にオススメのお店である。

 

 解はせっかく授業(というよりレクリエーション)が午後1時に終わったというのに午後まで教室に残って新入生とペチャくってたらしい。


「晩飯、外で食ってくるわ」

「わかったぞ」


 外食の許可をもらい、外に出る。もうじき暖かくなるというのに今夜はかなり冷えている。あったはずの眠気も吹き飛んでしまった。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 時刻は8時ごろ、甘楽屋に入った俺は店内をぐるっと見回す。


「おっ!来た来た。こっちこっち!」


 早速解が手を振り上げてくれたため、そっちに向かう。店員さんにも伝わったのか、何名様ですかは聞かれなかった。


 ひい、ふ、み………俺も含めて10人のF高生が集結していた。ちなみにだが解曰く、この内の6人が彼氏彼女持ちらしい。いや、何で俺呼んだし。


「今日は解が奢ってくれるって言ってたんできました。鹿島 秋次です。よろしく」


「「「「おおっっ!!」」」」


「いや俺の金尽きるから!!」

「そうだよな、お前の金はめいちゃんのためにあるもんな」

「ちょ、そういうのやめい」

「「「ヒューヒュー」」」」


 一部のノリの良い人が囃し立ててくる。ノリいいのは嫌いじゃないぞ。


 「とりあえず俺ビールとキムチ炒めかな」

 「じゃ、俺もビールとハヤシライス」

 「え?え?」


 そう注文を言い合っていると、隣でウーロン茶をちびちびと飲んでいる少女が困惑していた。


 「あの、ビール………飲んだダメじゃ……」


 少しビクビクと怯えながらもボソボソと意見を口にする。

 

 「ああ、ここノンアルだから法律上飲んでも平気。でも無理に合わせなくてもいいから」


 通常、ノンアルコール飲料は清涼飲料水に含まれるので未成年でも法律上は飲んでもいい……が製造元が未成年には売らないようにしているので買えないようになっているのだが、甘楽屋は一部のお酒業者から販売を許可してもらい販売しているのだ。なので全然問題ない。


「そうだったんですか……私も頼んでみようかな………」


 萎縮しているが好奇心が抑えられないといった様子だ。


 というかこの子、よく見てなかったけど可愛い、いや普通に可愛い、いやかなりの美少女では?


 ミドルのツインテールに結われた薄紫の髪にパステル色の青色もした瞳、幻想的な雰囲気を醸し出しながらもその顔はまだ幼い。というかまだ15歳である。


(この子ほんとに飲んでも大丈夫なのか??)


「これも私のため、少しでも酔えたら口が軽くなる、皆さんと打ち解ける、仲良くできる………」


 などとぶつぶつと呟いている。


(あ、これダメなやつ)


 飲ませてはいけない、そう思い声をかけようとしたとき、運悪くそこを店員さんが通った。


「店員さん!!ビール一杯、お願いします」


 思い切りてを振り上げ彼女は叫んで注文をする。ついでに彼女の何かが吹っ切れているような気がした。そこは振り切らないで欲しかった。


 仕方ない後輩だ(名前知らんけど)。とりあえずついでと言わんばかりに俺も注文をした。


 すると俺も俺も私もとみんな注文していくではないか。なんだこれ面白い。


 Right『美少女が仲間と打ち解けるためにノンアルを飲むという、典型的なダメな子に遭遇してしまった俺。だめだこの子酔う予感しかしないんだが』

 

 A『何ぃぃ!?そこ変われ』

 B『ゆずだけでもずるいのに加えて新たに出てくる美少女、Rightだけずるくない?』

 C『Rightさん、ちょっと署まで同行お願いできますね(圧)?』

 ゆず『浮気?笑笑。ちょっと後で電話で話そうか?』

 Right『丁重にお断りだ』

 ゆず『Rightに拒否権とかないから♡しばくよ?』

 Right『ゆずさま機嫌悪い?』

 ゆず『うわぁ、Rightにゆずさま呼ばわりされるとすごい鳥肌立つんだけどwwそれとRight正解♡機嫌悪いから、サンドバックになってね♡』

 Right『理不尽』


 と、そこで一件のコメントが目に入る。

 

 寧々『え?私ダメな子ですか?』


 ふと隣を見る。そこにはちびちびウーロン茶を飲む少女はおらず、スマホを、litterをコソコソといじる少女の姿があった。


 俺は察した。この子間違いなく『寧々』だ。てか見えてる見えてる、スマホ傾きで余裕で見えちゃってるから。


ていうかゆずといい、寧々といい、俺のFFって1000人程度しか居ないはずなんだが……どうしてこうもまたエンカしているんだろう。


 しかしこれは絶好の好機。俺はスマホを見られないようにするため、足早にトイレに向かい寧々に返信をする。


 Right『マジでやめた方がいいから。いや、その集団にいることが間違ってる。今すぐ親に帰ってこいと言われたとでも言い訳して店を後にした方がいい』

 

 寧々『私、両親いないんですよね………』

 Right『え……』


 思わぬところで最高位の地雷を踏んでしまう俺……これは予想外だった。


 寧々『いえ、もうだいぶ前のことなので大丈夫です。でももう後には退けません。一人でもいいので友達をつくるんです………!!』

 Right『そうか……頑張れ』


 …………とりあえず今日は奢ってやるか。寧々の分は。んでもって俺の分は解に奢ってもらおう。

 

 



 

 

 


 


 



 


 


 

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