第7話
-西暦2058年4月20日-
俺は、羽田発の朝一番の便でエゴール・ロマノフさんとスタニスラフ・ヴァロフさんと共に飛行機でルーマニアに向かっていた。
「昨日は眠れましたか、スーニーさん?」
そう、エゴールさんが俺に聞いてきた。
「まぁ。。。はい。」
「なら、良かったです。今日、着いたら私の古い友人と会いますから。忙しくなりますよ。」
「はい。」
-ルーマニア・ブカレスト現地時間4月20日午前7時-
「やっと、着きましたね。」
「はい。これからどこに?」
「私の友人はすぐ近くで待っているらしいです。」
そう言うと、彼は立派な建物の前まで俺を連れて行った。
「ここですか!?ここは、ロシア大使館じゃないですか!」
「そうですよ。味方は敵の中で泳がせておくのがいいじゃないですか。」
「しかし、守りが厳しそうですよ。」
「大丈夫です。」
「おぉ!エゴースタラ二スラフ。久しぶりだな。」
「やぁ、ゴラン 。元気だったか?」
そう言うと、エゴールさんはスーツに身を包み、いかにも紳士そうな男性と再開できた喜びを分かち合った。どうやら、この人物がエゴールさんの古い友人のようだ。しばらくすると、エゴールさんは思い出したかのように
「そうそう、この人がスーニー君だよ。アメリカから来てくれた。」
「君が、スーニー君か。エゴールから、話は聞いているよ。さぁ、外で話すのもなんだし、中へ入り給え。」
「では、失礼するよ。」
そう言うとエゴールさんはすぐに領事館へ入っていき、スタニスラフさんも、続いて入った。
「さぁ、こちらだよ。」
そう言うと、ゴランさんは俺たちを面会室に招き入れた。
「どうだ?成功しそうか?」
「まぁな。内部に潜入したら、まずはお前の紹介ということで、サンクト=ペテルベルク市長に会う。」
「あぁ、連絡は取ってある。」
「そして、半月ほどでなんとしても彼を味方に付ける。」
「なぜ、彼なのだ?」
「サンクト=ペテルベルクには、宮殿がある。そこを拠点として、「ロシア帝国によるレコンキスタ運動」を巻き起こす。」
「そうか。。。わかった。では協力しよう。成功した暁には何をくれるんだ?」
「そうだな。ロシア帝国中央管轄区全権代表にしよう。」
「そうか。分かった。」
「では、失礼するよ。」
そう言うと、俺たちは領事館を後にした。その後はブカレストを周った。
−4月21日−
とうとう、潜入活動初日となった。ブカレストから、飛行機でサンクト=ペテルベルクまで、向かった。各都市を経由しながらも7時間ほどで到着した。
−サンクト=ペテルベルク・プルゴファ空港−
「やっと、着きましたね。」
「はい。ではこれから、市長に会いに行きます。」
俺たちは、税関にまかった。するとその時、数人の男が近づいてきた。
「エゴール・ロマノフとスタニスラフ・ヴァロフを国家転覆の容疑で確保する。そして、お前もだスーニー・チェン。」
「なんですか。あなた達!言いがかりですよ!」
「裏は取れているんだぞ!」
「すまないな、エゴール。」
「ゴラン!」
「君が私にどんな褒美を用意しようと、私の気持ちは変わらなかったよ。しかも、私は、来週には中央連邦管轄区の全権代表者に就任するのだからね。」
「謀ったな!」
そして、エゴールさんとスタニスラフさんはその後、見せしめとして処刑され、俺は合衆国に引き渡され、留置所に入った。
−5月17日−
「所長!203号室に入っていた、スーニー・チェンが窒息死していました。原因は自ら舌を噛んだと思われます。」
「すぐに、警察に連絡しろ!」
「はい!」
Deepness 三十六計逃げるに如かず @sannjiyuurotukei
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