20:特戦(トクセン)大一番
また、『特トーク』の発展は
時には、
同時に、クイズ女王の牙城も崩さず。
一方で、全員を
旺盛なファンサ精神とキャラにより、素面の時ですら、子供人気を不動の物とし。
ひたすらスイーツ作りに明け暮れ、バイキングだけが目当ての固定ファンまで大量に付け。
対人に慣れて来た頃には、豊富な経験と知識を発揮し、気付けば料理長に大抜擢され。
いざこざやクレーマー、サイレント・コンプレーナーなども生み出さず。
他の従業員達も、そんな9人と共に、それぞれの持ち味を活かして『トクセン』に貢献し。
そして、店長たる
アパレル以外にも、エゴサやオンライン販売など、本来のテリトリーであるネット方面でも尽力する。
そうしてる間に、月日は流れ。
再び敵のアジト、異世界の社長室へと殴り込む
1年前と異なり、たった一人で攻め込んで来た
「大したガッツだ。
まさか、オメガも
ゴッジョブと言う他、
「『オメガ』じゃねぇ。
『
内の相棒の名を、二度と間違えんな」
「うむ。
それにしても
前回は、彼が出来損なった
性懲りも
有事の際に備え、
セーエンジン
をモチーフに開発された、実戦用の武装である。
「……これは失礼。
どうやら、君の
「『2体』じゃねぇ。
『2人』だ。
どっちも、
「覚えておこう。
何秒持つかは保証し兼ねるがな。
ところで、他の仲間はどうした?」
「振り切った。
こっから先は、お前と、
「
「そうだよ。
だから、釘刺した。
『あんまり分からない
「……
君は」
それまで一方的だった
「つまり、
現状、君達にとっての宿敵に当たる私に、一度消した君の仲間を再び、消させんと
それも、他でもない、この私と面会する
「背に腹は替えられねぇだろ。
そうまで言わねぇと、頑として譲らないんだよ。
あいつも、他の連中も、
設計者のお前なら、熟知してんだろ」
「それは、まぁ、違いないが……」
「そんな話は、どうでも
剣を戻し、代わりに両目をナイフの
「
シナリオや設定の改変はさておき。
お前に、戦闘絡みのスキルが
「それについてだが。
先刻、君にも伝えた
君達にとってはバッジョブな戦果をな」
「そうだな」
「どうやら、きちんと伝わっていなかったと見た。
良かろう。では、この場で改めて、ゴッジョブに確認させて進ぜよう」
K世界から盗んだと思しき、アクセルに似たデバイスを操作する
ご丁寧に、真っ赤に染められた状態で。
「年間売上、『約9億円』。
私が提示した条件は、『10億円』。
君達『トクセン』は、これを達成
よって、君達、君達の特撮の負け。
私と、私の信じた特撮の勝利という
満足そうに膝を組み、
「君は、バッジョブなまでに、学習能力が
去年の、残りの1ヶ月と、それについての私への発言を、もう忘れたのか?
君の発想力と推進力、気力と蛮勇、インパクトと斬新さはゴッジョブに評価するが。
あれだけの商法で、あれだけの商材で、あれだけの規模で、あれだけの人数で、あんな小さな辺境のど田舎で、オール・オア・ナッシングで1年も経営し続けるなど、愚の骨頂。
収支のバランスが終始、バッジョブだ。
君は、商売の
顧客満足度は高かろうが、マーケティングとしては落第レベル。
スタッフ達にとっては、コスパもタイパも、
そもそも、手痛い停滞、しっぺ返しを食らうのが目に見えていたからこそ、先人達は、今回の
「はいはい、分かった、
それまで余裕そうだった彼が、
「
「だって、そうだろ?
お前は、大事な
それも、この11ヶ月間もな」
「ほう。
つまり、こういう
私には考えも付かない秘策により、ここから逆転サヨナラでも決めようというのか」
「そうだ。
百聞は一見に
とりま、これを見ろよ。
そして
すると、新たなポップが一つ増え。
景気回復、黒字をイメージさせる色に。
「ま、まさか……!?」
慌ててデバイスを操作し、最後に現れたポップを引き寄せる
怒りと疑念の促すままに、椅子から離れ、
「『ネット業績』だと!?
一体、
「
お前が行ったK世界なんて、
機械が発展してるのを
「そういう話ではない!!
私の用意したスタッフの中に、ネットに明るい人材など
「そうとも。
だから、新たにオンライン要員も作った。
誰を隠そう、この
「
私が連れ去るまで、お前の前職は、単なるしがないOLだった
ネット通販など、ゴッジョブに出来る道理が
一体、いつ、どうやって仕込んだ!?」
「大方、お前だって観てたんだろ?
こっちで『トクセン』が始まる前日の、『トクバン』でだ。
公衆の面前で、確かに
『私の前職、ホーム・グラウンドは、オンラインなので』、ってな」
「分かるかぁ!!
まったく最近の探偵みたいな
そもそも、あの特番、情報過多な上に特濃なんだよぉ!!」
「お褒めに預かり、光栄です。
あと、それは
それも、全世界に向けて、記録と媒体にに残る形でな。
結果、
嘘を
それにより、
丁度、エイトを招いた時の
「ば、
どうやら
「狂っている……!!
明らかに、常軌を逸脱し過ぎている!!
それ以前に
「決まってんだろ。
どうしても、お前にリベンジしたかった。
そこまで自分を犠牲、律してでも、お前をブチのめしたかった。
叩きのめす、まだのめす、さらにのめす。
お前にとっても最後のプレイヤーになった記念に、そういう
情けなく悲鳴を上げ、座りながら後退る
「特撮の存亡を賭けた、この決戦大一番。
制したのは、お前じゃない。
お前は、フィクションを、あるべき形で楽しまなさ過ぎた。
倍速、スキップばかりする現代人ばりにな。
ファスト系として、それを頭ごなしに否定する
お前は、もっと真正面から、全力で、
あんな法外、規格外、論外な要求を通した手前、
だから、ナメてた連中に寝首を掻かれんだよ。
悔しければ、
「ぐっ……!!」
図星をつかれ、
彼に付いているサクシャスは、
ここまで完敗を喫した以上、スポーツ・マン・シップに
呼吸を整え、立ち上がり、居直る
こいつ
「……
これで、君達は晴れて自由の身だ。
そして、契約に従い。
君の望みを、私の出来る範囲で叶えようではないか。
確か、『
「あー、それなんだけどさ。
気が変わったから、止めたわ」
あっけらかんと、とんでもない
お
「……
どういう了見だ?」
「お前への新たな要求は、こうだ。
『
その方が、
K世界の復活は、その一つとして叶えて
「……はぁぁぁぁぁ!?」
想像を絶する
「つまり、
君は私を、シェンロ◯かバ◯
物理的にも勝負的にも倒されたからと言って、使い倒される、踏み倒されるのまでは御免被る!!
そもそも、これでも、仮にも複数の世界を滅ぼした人類の敵、
その気になれば今
「
「ああ、そうともさ!!
そんなバッジョブなやり方は、私の美学に反する!!
少なくとも私には、悪役だろうと、それなりの矜持が
あ〜!
だからといって、こんな隠し玉でバッジョブに
「
契約書の一つも
「この、悪魔めがぁ!!
私に言われるとか、
「それじゃあ、最初の命令だ。
『この世界でも、別の世界でも、二度と悪事を働くな』」
「『死ね』と!?
貴様、私にバッジョブに『死ね』と申すのか!?
それでは、単なるバッジョブな拷問ではないか!!」
「
お前、死にたがりだろ?」
「『カタル死する』のがゴッジョブな本願だぁ!!
「
「
「素直に認めろよ。
とっとと降参した方が、楽になれるぞ?」
「貴様、それでもヒーロー・ショップの店長かぁ!?」
「あーそうとも。
お前に任命された、な」
最早どっちが悪者なのか分からない状況。
かといって、ここで
かくなる上は。
「……認めん……!!
その条件だけは、断じて認めんぞぉ!!
とぉ!!」
咄嗟に屈み込み、彼のデスクを盾にして、どうにか
やがて落ち着き、窓から周囲を一望するも、
「やれやれ。
手間ぁ取らせやがって」
「ケー。
状況、把握してる?」
「
「
出来る部下を持って、
「そこまでではない。
肝心な時に
契約を
「あー、もぉ、拗ねんなって、悪かったってばぁ。
「……一纏めにされている上に喧嘩腰な辺り、誠意も謝意も、悲しい程にプラスされぬが」
「お前が、言うな」
「お互い様だ。
それより、マスター。
亜空間ではなく地球にて、怪しい反応をプラスした」
「『怪しい反応?』
ケーにしては
「そうとしか表現の仕様が
つまり、これで拾われた存在は、『宇宙産』、
ここまで範囲が狭まれば、自ずとターゲットは絞られる。
にも
「具体的には?」
「微動だにしない」
「いや、おかし
「つまり、『また
「そういう
どうせ言っても聞かない、引かないだろうが、忠告だけプラスしておく。
今、位置情報を、そちらにプラスする」
「オッケー。
ガイド、
「プラスされずもがな」
通話を終えた
※
岩に覆われた、黒い巨躯。
全身から吹き出すマグマ。
超サイ◯人3や侍を彷彿とさせる、オレンジ色の長髪。
辺り一面に広がる、モワッとした熱波。
精神統一でもしていそうな割りに、座禅しながらも発せられる、物々しい雰囲気。
結論から言うと。
ゴール、森の奥に潜んでいたのは、そんな、
「……む?」
木に隠れて観察していたら、バレたらしい。
体表から溢れるマグマに触れ、大剣へと変換、回転斬り。
周囲一体の木々を一刀両断してしまう。
「不意打ち、失礼致した。
こうでもしないと、拝めそうに
にしても力み過ぎる
大剣を消し、非礼を詫びる大男。
岩男は立ち上がり、
「拙者はホンノウン、名はマスルオ。
問おう。
そなたが、
「え。
あ、はい」
名を聞かれ、迂闊にも素直に答える
こういう所に、彼女の人の良さは垣間見える。
一方、ホンノウン違いではあるものの、ホンノウンではあったらしい、マスルオとやら。
彼は、鋭い眼光で
「『人間でありながら、無刀流の使い手にして、8万人の部下を持ち、そなたの命令、気分次第でいつでも、軍艦100隻を動かし、集中砲火で一国を数秒で潰せる』という。
噂に名高い、あの
「それ全部、ワンピー◯の派生系じゃねぇか!!
誰がデマ流した、
まぁ確かに、割と近い
その気にさえなれば!
「あい、分かった。
なれば、話は簡単。
ここで
拙者と戦え、我が好敵手よ」
「
話、聞けや!
出会い頭にダーゴ◯さんみたいな
「いざ、尋常に、勝負なり」
「やだねーーっ!!」
「むぅぅぅぅぅ!!」
気合と、共にパンチを繰り出すマスルオ。
その拳圧だけで突風が巻き起こる。
ボサボサに跳ねた髪が、レーダーの
直撃
「くっ!」
ドッジ◯ールの要領で、どうにか躱す
が、逃げた先には、
「掴まされたか。
詰まらん。
今この場で、
再び、今度は
万事休す。
恐怖の
だからこそ、気付かなかった。
自分の体を押し、助けてくれた、命の恩人の正体に。
「むぅ!?」
空振りに終わり、驚くマスルオ。
拳圧により砂埃が派手に巻き上げられ、新たなる参戦者の姿が隠される。
「け、ケー?」
が、やがて写り混んだシルエットは、
「
呼ばない上に、呼び間違えるなんて」
彼女の相棒であり、「来んな!!」と拒絶され不機嫌中の
未だに不満たらたららしく、
「だから言ったでしょ。
『せめて、俺だけでも』って。
なのにユーさん、無視するから。
結果、本来の想定とは違えど、ピンチじゃん。
「そ、そういうんじゃねぇよ!
ただ、そのっ……!!
……もう、
去年のセール辺りの、
最終日の、エイトみたいにっ!!」
一同が
けれど、
特に
そんな理由を、
彼女の申し開きを聞きつつも、
呆れと切なさが入り混じった表情で。
「……ユーさん。
ユーさんが、俺達の
けどさ……俺達だって、同じ。
ユーさんには、死んで
「うっ……」
ここまで指摘されないと
「い、いやっ……でもさっ!!」
「『でも』じゃないーの」
あやす
「別に、
ユーさんが、なるべく自分だけで戦いたいってんなら。
俺は、それを尊重する。
けど、忘れないで。
俺は、ユーさんの心の翻訳者。
ユーさんの願望が生み出し、呼び覚ました、ユーさんのトコシエ。
ユーさんの理想、最高の相棒。
早い話、ユーさんの一部、半身、分身って
それなら俺だけは、その範疇から、外れるよね?」
「い、いやー……。
……どーかなぁ……」
「外れるよ」
「いや、決め付けんなやっ!
ほんで、圧下げろっ!
分ぁったよ、
「遅
でも、分かれば
てな
ん」
笑顔を浮かべ、右手を差し伸べる
吹き出しつつ、
二人は、並び立つ。
「こうなりゃ
こんな
「ゾクゾクするねぇ」
「相変わらず、察しが
「ユーさんが分かり
「オマエ、アトデ、ボコル」
「優しくしてね?」
「すっか!
あと
「痛い……。
『優しく』って、言った……」
「そんなに力込めてねぇわ!
今そういうネタ要らんから!」
「ユーさん、ノリ悪い」
「
バンッと、
そんな小芝居を挟んだ
律儀に黙って待機、座禅していたマスルオと対面する。
「……余興は終わったか?」
「いんや。
終わったのは、お前の命だ」
「俺、本気出す。
むんっ」
「
頑張るぞいとポーズを決める
そして再び、二人は真顔になる。
「半分、力貸せよ。
相棒」
「全部、あげる」
「ちったぁ貯金しとけや!!
でも、あんがとよっ!!」
軽く怒りつつ、アクセルを操作する
そして、
ナゾトキーをセットしたアクセル、互いの腕をクロスさせ。
『
掛け声めいた叫びと共に突如、二人が閃光に包まれ、突風が発生。
『バディ・オン・ボディ!!』
『ユイ!!
エイト!!
ユイト・クロス!!』
『リョー、エンダー!!』
続け
やがて、光と風が収まった頃。
光源として現れ出たのは、右半身が機械に覆われ、胸に大きな十字の刻まれた、宙に浮く、一人の
右が緑、左が赤の、ツートンのボディを輝かせ、マスルオの前に降り立つ。
「そういや名前、まだ決めてなかったな。
そうだなぁ……。
命名、『デュアル』!!
そんで、この姿は、『ユイト・クロス』だ!」
「名前は、ユーさんの好きにして
センス悪くないし」
「はい、決定ー!
改めて頼むわ、エイト!」
「ん」
一人の体で、握手をする二人。
異様な光景に困惑しつつ、マスルオは
「どうやら、見誤っていたのは拙者の方らしい。
すまなんだ」
「謝罪なんざ
どうせ
「『デュアルに、デュエるぜ、デュオろうかっ!!』」
「今の、決め
勝手に決めんな、しかも言うな!
あと、安直、
んで、
てか、そっちの名付けは担当するんかよぉ!?」
「来い、『デュアルダル』」
「おいぃぃぃ!
今度は勝手に動くな、ネーミングすんな、剣呼び出して持つなぁ!?
てか結局、命名権、委ねてねぇ!!
ほいで、
「ユーさん、
「お前の行動のがな!?」
デビュー戦にも
依然として緊張感は皆無だが。
かくして、ホンノウンのマスルオとの、決闘が始まるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます