19:始動!『UR(ユー・レア)計画』!!
「画面の前の皆様。
初めまして、こんにちは。
私は、
本日の司会、及び4月から開設予定の『トクセン』にて、店長に着任致しました者です。
本日は、「『トクセン』宣伝番組」こと『トクバン』をご覧頂き、誠にありがとうございます。
本日は、『トクセン』の魅力をお伝えすべく、ライブ配信させて頂いております。
なお、本公演が終了次第、こちらの模様はアーカイブとさせて頂きます。
また、分割版も、同時に無料公開させて頂きます。
そして、この度、『トクセン』の広報、親善大使こと『トクセン伝大使』に任命されました、
分割版も同時に、なんていう配信者泣かせの荒唐無稽な
この場を借りて、改めて、御礼を申し上げます」
「ユヒッ!!
似合わなっ!!」
「
精一杯やってる時に、水を差すな!」
仲の良さを窺い知れるコントを挟んだ
「失礼しました。
気を取り直しまして。
本日、同じく司会進行、そしてツッコミなどを担当して頂くアシスタントをご紹介させて頂きます。
破改造の動画が、SNSで瞬く間に話題を呼び。
若くして『プレパン』にスカウトされ、その才能を遺憾無く発揮。
来月からは『トクセン』にて共に働く、新進気鋭のリペア、リペイント担当。
そんな、今年までギリ10代の、二人目の『トクセン伝大使』。
と、先程、
ご唱和ください、彼女の名を!!
ほぉぉぉぉぉびぃぃぃぃぃ!!
いぃぃぃぃぃろぉぉぉぉぉはぁぁぁぁぁ!!」
いきなりキャラブレし、笑いを誘う
彼女に招かれ舞台袖から、ド派手な白衣とキブンガーを身に着けた
「こんにちは。
ご紹介に預かりました、
本日は、ライブ配信をご覧頂き、誠にありがとうございます。
店長、『トクセン』共々、
とまぁ、挨拶もそこそこに、司令!
「
エイトに教わったんだー。
これからも適宜、履修予定ー」
「またしても!?
またしても
次からは、私からも習ってくださいね!?」
「程々にね。
さて。私達の職場のアットホームさが見えた所で。
これから皆さんには、『トクセン』についてのガイダンスさせて頂く
その前に
私は、今まで『
そんな私が、アバレル部門に来た
お恥ずかしい話、私は特撮に関して、ズブの素人、潜り以下です。
なので皆さんも、この配信中にドシドシ、特撮についての知識を披露してください。
常識と良識の範囲内で、お勉強させて頂きます。
但し、節度は遵守して頂く
悪質な物は、舞台袖に控えているメカニック担当の
あ。嘘でも誇張でも脅しでもないですよ?
本当に可能だし、遠慮無しに破壊させて頂きます。
てな感じなので」
「ははっ! サンキュー。みーらい。
よっ!! 世界一!!」
一礼しつつ、恐ろしい発言をする
肯定するかの
といっても、誰も鵜呑みになんてしない。
大多数は、場を和ませる
それが、真実だと。
「さて。
今回、ご紹介するポイントは、大きく分けて四つ。
続いて二つ目に、ラインナップ。
そして三つ目に、スポット。
最後に四つ目に、ヒーロー・ショー。
きっと、この配信をリアタイしてくださっているのは、熟練のファンの方々か、興味津々のご新規様かと存じます。
となれば、
新作か、はたまた既存か。
ストーリーは? 設定は? 日程は?
イケメンは? 顔出し女優は?
と、期待に胸を膨らませて頂いていると思います。
で、す、が。
ヒーローは、遅れてやって来ると言いますし。
そのセオリーに
「それまでは、他のコンテンツ、私達のカオスなコントなどを味わいつつ、ご歓談ください」
「『トクセン』、
ウケるっ!!」
三人のやり取りで場を保ちつつ、
「それでは早速、最初のトピック。
当店で運営するアプリ、『特トーク』について、ご説明させて頂きます。
こちらは、この配信終了後に、サービス開始予定。
特撮専門の、顔出し自由のラジオ、動画配信アプリです。
お陰様で、色んな企業様にご協賛頂き、無料で合法的に、実況動画なども挙げられる、超豪華、特別仕様になりました。
他にもレジェンドのキャスト、スタッフのコメンタリーも導入予定。
スパチャやコメントなども設けますが、無法地帯になるのを避けるべく。
配信自体は、当店スタッフの他、選りすぐりの特トーカーによる、少数精鋭で行う予定です。
また、特別なプランにご加入頂ければ、『
しかも、会員様のリクエストを完全、徹底採用致します。
今、複数のサブスクにご登録されている方も、これ一本、毎月1000円で全て賄えてしまいます。
ドラマや映画、イベントは勿論、アニメや漫画、小説、音楽まで。
往年の名作から、隠れた不朽作、話題の新作まで、存分にお楽しみ頂けます。
また、半ば公式で二次創作にも注力していく予定です。
なお、セキュリティーも万全ですので、マナーを守って楽しく、正しく、ご活用、ご活躍ください。
我こそはと言う方は是非、この機会にダウンロードをお願い致します」
「以上、店長の相棒の丸パクリの、ありがたーい解説でした」
「丸パクリちゃうわ、加筆修正したわ!
半分
「なお、店長の相棒こと
匂わせとかでは断じてないので、ご安心ください。
「
そっちだって、大概じゃろがいっ!!」
「私は、ホビーとカラフルと
「おいぃぃぃぃぃ!!
口の聞き方を慎め、貴様ぁぁぁぁぁ!!」
「
どこまで、
「さ、れ、て、ねぇぇぇぇぇ!!
「それも、どうなの!?
てか、ズルいっ!!
「あははっ!!
超、マジ最高っ!!
二人のバズーカのお
中々に酷い有様のライブ配信。
こうして、
「はっ!!
失礼します!!」
そんな無法地帯に突如、謎の男が参戦。
ロボを模した、メタルヒーローっぽい、大柄なスーツ。
腕に付けたチェンジャー。
ロボにしては
当初よりも早い段階での見切り発表。
これにより、コメント欄が一斉に沸き立つ。
「いや、誰だし!?」
「はっ!!
自分は、オーゴエ博士の開発した、ブログラム所有ヒロボット、『セーエンジン
凄まじいコエナジー反応を感知し、現着致しました!!
以後、お見知りおきを!!
『その計画、フルアクセルでブレーキします!!』」
「いや、自由かっ!!
カオスを情報量で止めに来んなしっ!!
内、ネタバレ嫌いだから、ショーについては一切、聞いてなかったのに、台無しだしっ!!
ウケるっ!!
てか、どゆ
「
ちょっと、ケー!!」
「多分、本格的に収拾がつかなくなったので、力づくで止めてくれたんですよ」
「だったら、ケーが自分から来るなり、
「『
ウケるっ!!」
「はっ!!
エナキー反応をスキャン致しました!!
どうやら、マシンジケートのホロボットが現れた様子で!!
一旦、帰還します!!
では、皆様!! これから自分、セーエンジン
次は4月から、ステージでお会い致しましょう!!
では、失敬っ!!」
言うだけ言って、そそくさと掃けるセーエンジン。
お
数分後、
「し、失礼致しました。
いやー、
これは、ワクワクが止まりませんねー。
でも、彼の紹介をする前に、次のトピック。
当店『トクセン』で扱う、製品のラインナップについてです。
ここでポイントなのは、『商品』ではなく、『製品』という所です。
その理由については……こちらを、ご覧くださいっ!!」
モニターの方へ手を伸ばしつつ、
Wi-Fiと充電器の要らない、本やDVDも電子として持ち運べる腕時計型スマホ、アクセル。
たてがみサイクロンっぽい、ソーラー充電かつ、シミやシワまで一瞬、無傷で取れるスペシャル掃除機、サイクリーナー。
光のレーンとバリアを作り、超高速かつ安全に空中走行
見た目や性格、口調や声、カラーや服、細部の細部まで自分仕様に変えられる、連れ添い型の万能ロボット、トコシエ(
相手との相性、親密度、信頼度、好感度などを調べてくれるエンムスナイパー。
などなど、スクリーンに映し出されるは、これまた
既存の技術力を凌駕した性能と、それに価格が釣り合っていない物ばかりだった。
「……」
製品内容に関しても何も聞いていない
そんな彼女に、
「言ったっしょ?
『内お抱えの天才発明家は、未来出身』だって。
これで、信じて
「とまぁ。
市販の商品の他、こういったユニークな物も各種、取り揃えておりますので。
是非、『トクセン』に足をお運びください。
ホビーのみならず、家電量販点としても、『トクセン』はトップを独占する
「あ。
オンラインもやる予定なので、そちらもご利用ください。
転売ヤーなんかには
「ただ『トクセン』では毎日、クーポンなどが
ご飯も美味しく、お安くなるので、そっちの方が、お得かもしれません」
「なので、我こそは持ってるという方は是非、『トクセン』へ!」
「
「
互いにジャブをしつつ、頬を抓る
それを見て抱腹絶倒の
またしてもグダグダになりつつある、その時。
「あのぉ、すみませーん」
と、舞台袖から、しがないサラリーマン風の男が現れた。
先程のセーエンジンとは打って変わった、変身後でもない、地味なゲスト。
というか、どう見ても迷い込んだ
意味不明な事態に、コメント欄が「?」で満たされる。
「え?
誰?」
「は、初めまして。
私、これでも一応、ヒーローをさせて戴いている者でしてぇ。
「ヒーローって、そんな、営業職みたいな感じだったし!?」
「という
詳しい説明は、また後程ー」
「さては、まだ設定そんな決まってないし!?
セーエンジンにリソース割き
ウケる!!」
「ほらぁ!
だから言ったじゃん!
これはまだ、早いって!
速攻で看破されたじゃんかよぉ!!
もう、恥ずかしいから帰ってよぉ!!」
「し、失礼しまーす」
「てか、
もしかして、一種類じゃないし?」
「
「焦らすぅ!」
「その真偽はさておき、司令。
次のトピックを」
「そうだね、
では、次は『トクセン』の設備について、ご説明致します。
再度、スクリーンをご参照ください」
「物販、ビュッフェ、ステージ、フォト、ミトヒ、ゲーム、カラオケ、ライブラリーなど、様々なスペースをご用意しております。
私の推し場所は、キッズ・エリアです。
ファミリー層の為に設けられたスペースで、本館の直ぐ横に建造されている、体育館のような場所です。
壊れ辛く怪我も少ない簡略な仕様にカスタムされた玩具が置いてある他、特撮以外にも人気のサブスクや絵本、漫画なども流しており、シアターやトイレも設置される予定です。
また、バスケット・ゴールや、安全面に配慮した、未来製の遊具なども
また、保護者様に与えられたカードキーが無いと、お子様が出られないシステムになっており、
交代制でスーアクも
お絵描きを元にしたオリジナルの玩具やスーツなども作成可能で、隣のフォトエリアで一緒に撮影も出来ます。
といった具合に、お子様を惹き付ける要素が盛り込まれております。
迷子の防止となっている他、お客様も保護者様も、静かに、安全に、快適にショッピングを楽しめる仕様となっております」
「補足させて頂きます。
先程、『カード・キー』と有りましたが。
こちらは、ご家族で『トクセン』をご利用頂く際に、入場者特典として無料で差し上げるアクセルに、データとして入っております。
お子様、保護者様の分だけご提供致します他、数に限りはございません。
是非、お気軽に、計画的にも無計画にもご利用ください。
また、店内の至る所にソファー、ベンチなども備え付けて有りますので、そちらも合わせて、ご活用ください」
「
これは
「一名様、ご来店でーす」
「今後とも、ご贔屓にー」
「いやぁ。
確かに、楽しそうだなぁ。
俺のハートにも、ビビッ!! と来たぜ」
「なーに言ってんだ。
俺のハートは
ここで、またしても謎の乱入者。
それも、物凄く溶け込んだ状態で、二人。
前者は、モノトーンでシックな割に、胸の赤い炎が目を惹き、急に弾けるバンドマン。
後者は、腰に二本の刀を差す、緑を基調とした、風っぽいデザインのチャラ男。
再びコメント欄が、感想で満たされていく。
「お初っす。
俺は、『ヴィート』ってんだ。
死神として生まれ変わった父親シフトを相棒に、魂の叫び『
本業のロック・バンドも含めて、応援ズガンッ!! と
「俺は風から生まれた風来坊、『サイクローン・ジン』だ。
環境破壊を憂いる地球の命で遣わされたサイクローン達から、麗しきレディー、
以後、しくよろちゃん」
コルナを決めるヴィート。
先程のマッサラリーマンとはイメージが逆転した、セーエンジンばりの設定とスーツ。
お
無事なヴィートを引き連れ一旦、去るのだが。
「失礼な人ですね。
私に触れたいなら、せめてオレンジ色に染め上げてからにしてください」
「
「クオリティとオレンジ愛、ホビー愛、ユイユイ度にも寄りますが」
「最後、
「全部、謎だしっ!!
てか、どゆ
これで、四つ!?
え!? 一体、幾つショーやる
「さぁ、どうでしょう?
コメント数によるランキング形式で決まるかもですね」
「逆に全部、フェイクだったりしてぇ」
「いや、マッサラリーマン以外は、素人目に見ても、えげつないレベルだったし!?」
どうやら、スタンバイ済みらしい。
「さて。
前置きは、これ
そろそろ、
司令」
「そうだね、
それでは、ヒーローっぽい皆様、こちらにお越しください」
しかも、マッサラリーマンは、髪以外が白に侵食されていた。
それは、
というか、先程の浮きっ
まるで、最初からアトラク用ではない風に。
メタル◯ーロー枠の、セーエンジン。
アメコミ風の、マッサラリーマン。
深夜特撮を彷彿とさせる、ヴィート。
初代ライダー感を押し出した、サイクローン。
どの世代にも刺さりそうな、中々の布陣である。
「もう、意味分かんなさ
めっちゃ好き!!
あと、マッサラリーマン!!
ディスって、ごめん!!」
「あんがと、
それでは、皆々様。
大変長らくお待たせ致しました。
これより、
名付けて、
一体、この中の誰が、選ばれるのかっ!?
張り切って、その目に焼き付けちゃってください、どぞ!!」
固唾を呑みつつ、モニターを見上げる一同。
そこに映し出されたのは。
「クラブトーカ!!
昼は、部活を掛け持ちするお嬢様にして女子高生。
夜は、弱気を助け、強気に挫く、神出鬼没、天下御免、不殺のマジカル義賊、ミス・テリアス。
そんな彼女の唯一の弱点は、勉強が苦手な事。
故に、
よって、昼に指令が入った場合、部活もこなしつつ、自作の
おまけに、本命の相手は、義賊制に反対する、飛び級で潜入捜査官になった、ロボも作れちゃう天才発明家のクラスメイト!?
きわめつけに、同い年で幼馴染の執事まで混ざって来て、バッチバチの三角関係!?
そんなミステリアス・ガールが今宵、盗むのは、悪党の財宝か、あなたのハートか。
新番組、クラブトーカ!!
4月より、『トクセン』にて独占配信!!
まさかの、こっちこそがフェイクだったというオチ。
まだショーの開演前からの豪快な扱いに、歓声と嘆きが入り交じる。
「
ホントに!!」
「すみませーん。
ちょっと、間違えちゃいましたー」
「いや今、思いっ切り台本、読んでたし!?
あと、盛大なネタにしては、偉い気合入ってたし!!」
「細かい
それより、ケー。今度こそ、行けるー?」
「では、今度こそ、ご確認ください、どぞ!!」
再び、スクリーンを見る一同。
「セイトーカ。
質実剛健なる生徒会長にして、全ての答えを瞬時に導き出せる、迷走無しの高校生探偵、
今日、彼が正当化するのは、どんな」
「ストーップ!!」
「
「『
じゃないし!!
どう考えても、
しかも、金髪だったし!!
てか、許可は!?」
「
「著作権守れし、プロデューサー!!」
「てか、邪魔すんなよ、
こけ芸が、違う今でスベっちゃったじゃんかよぉ」
「
あと、そのバナナ式みたいなの、
マイクを投げそうなまでに、
言うまでもないが、正しいのは
「ごめんなさい。
今度こそ、大丈夫そうです」
「三度目の正直、頼むしぃ!!」
「『二度あることは三度ある』、とも言いますよね?」
「日本語って、便利で不便っ!!」
「それはそうとして、どぞー」
「最早、振りすら雑だしっ!!」
その名も。
「ヤトガミトー」
「アァウトォォォォォ!!
3アウト、チェンジィィィィィ!!」
名前すら最後まで言わせられないまま、強制的に終わらされる発表。
今回は、設定すら明かされなかった。
そもそも、用意してるかさえ疑わしい。
「てか、
「という
「皆さん、拍手でお迎えくださーい」
その実体は。
「あ……アニメェ!?
てか、プリキュ◯ァ!?」
「とぉ、見せ掛けてぇ」
「
スクリーンに映し出される、二人の
かと思いきや、アイ・コンタクトを取り、次の瞬間。
「よいしょぉ!」
「無事、着地完了。
シークエンス変更。
これより、自己紹介に移ります」
滑らかさだけなら、Myd◯のスカイフィッシ◯の非ではなかった。
完全に、ハリウッド級。
明らかに、田舎の一ショップが毎日、展開するヒーロー・ショーでお出しして
そもそも、ラブトーカはキグルミですらない。
アニメ世界での手書きの姿から一転。
「初めまして!
私は、『唸るアキレス、レス・キュート』、だよっ!」
「お初にお目に掛かります。
同じく
以後、
「私達は、二人で一人の、ラブトーカ!
自称、龍の精霊神こと『シエンロン』なハブ、『ファイア』に導かれ、『友情』を『フュージョン』、=『ユージョン』して変身!!
女の子だけど、諸々の法則とかガン無視して、蹴ったり殴ったり壊したり、空を飛んだりもして、縦横無尽に暴れ倒しちゃうよぉ!!」
「我々が戦うのは、人々の縁『ユーエン』を世界から無くさんと欲する『フリエンド』。
及び、その一派の怪獣、『タチキリー』です」
「そう!
タチキリーにユーエンを切られた人は、『コドクーカン』の『ドクロボー』に閉じ込められちゃうの!
しかも、その間、自分の記憶を吸い取られ、大切な
やがて、誰とも知り合いじゃない、誰とも仲良くなれない、『ソロンリー』になっちゃうの!!」
「普段の、高校生の我々は、スーツと大差無いキグルミで動きます。
しかし、コドクーカンは、生身では長居出来ない、特殊空間。
なので、コドクーカンに入る時はアニメ、現実世界ではバーチャルとして。
という
そして、ドクロボーから人々を救えるのは、我々だけ」
「私は見習いの脚本家で、クールは未来の大女優にして、お嬢様!
おまけに、二人が心と友情を合わせなきゃ、変身すら
しかも、一度共有した気持ちでは、二度と変身
「それでも
大切な人とのユーエンを、思い出を、守りたいのです」
「うん!
だから
私達、ラブトーカと、色とりどりの、『トクセン』の仲間達!
えーっとぉ……
「『
「それ、それぇ!
これから『トクセンジャーズ』の応援、
「我々は、年中無休で、皆様をお守り致します。
平日は、当番制で。
休日は、総動員。交代制で、我々とお会い
皆様のお越しを、スタッフ一同、心よりお待ちしております」
「他にも、無料配信もしてるから、そっちも観て観て観てねー!
あーでも、ショーではアドリブ盛り沢山らしいから、私的にはそっちがオススメだよー!
特に、一日に全員のショーを観覧
でも、お
クールゥ! どぉしよー!?」
「解答。
両方、楽しめば
「それだ!
さっすが、クール!」
「それ程ではありません」
「という
バイバーイ!!」
「またお会いしましょう」
キュートが元気に手を振り、クールが丁寧に手を組みお辞儀する。
それに続け、他のヒーロー
最後に、
こうして、カーテン・コールは終わり。
※
薄明。別名、マジック・アワー。
日の出前や日の入り後の、薄く明るく美しい、幻想的な空が見られる時間帯の
夕刻には休憩を取り、早朝には早起きして、自宅兼職場である、『トクセン』の屋上にて。
それは単に、「オレンジと水色を始めとしたグラデーション、コントラストが美しいから」という、趣味全開な理由。
だけではなく。
「
音楽も流さず、スマホも弄らず、ホビーさえ持ち込まず。
屋上に備え付けたロッカーから、枕とシートだけ引っ張り出し、横になり。
せせらぎ、風の音に身を任せ眺めていたら、相方が現れた。
「……呼んでない」
「理由、許可が必要とも定められていない」
「そうだけど。
てか、勝手に寝ないでよ、クッションも無しに」
「心配には及ばない。
「そういう
人目が
私の心象が悪くなるじゃない」
起き上がり、用意していた他のクッションも持って来て、
こういう、分かり辛い気遣いが、
「で?
「少しは休憩、睡眠時間をプラスしろ」
「案の
再び仰向けになった
発狂もせず、小悪魔にもならず、子猫被りに悪態も
「……お
これが私のメンタルにとって、
人生で
「お
「
それに、ケーちゃんの発明品がご都合主義過ぎるから。
よって、私には
私のお楽しみの阻害要因としては、不採用だね。
そもそも、スタッフ増員したんだし、一通り研修もしてるし、何だかんだで、どうにかなるよ。
これ位の見返りは、支給されて
まぁ、そういう意味でなら、終わらないピーク・タイムに無情に取り残されると知った時の
速攻でエンジンが掛かった。
「悪趣味な女だ」
「そんな女をパートナーに選んだケーちゃんも、同じ穴の
「
「私も」
「では
「……」
面倒だけど、不思議と悪い気はしないまま、
「結局の所さ。
傍若無人の、ギャンブラーっ
それに関しては、
確かに、新しい『トクセン』は、博打も
(パラレルな上に、別の世界で資源は確保済みとはいえ)未来仕込みの発明品で薄利多売し。
公認様や、名だたるミュージカルさえも上回る制度のショーを毎日、無料、安全に、違う内容と作品で提供し。
難易度設定こそおかしいが、休日でもないのに、
関係各社の全面協力を受け、アプリの方も尽力し、その対応にも追われ。
ネット販売も充実させようとした結果、ダウンに次ぐダウンにより、サーバー増強にさえ苦労し。
こういったハイ・ペースを維持すべく、田舎の一店舗としては異例の、従業員50人近くという、アレな布陣。
よくもまぁ、たった数ヶ月で、ここまで様変わりした物だと。
「……そうかもしれんな」
「『かも』じゃなくて、『絶対そう』なんだって。
ホント……やるかやらないかの2択ってか、両極端ってか。
普段は
巻き込まれる身にもなって
今回の件だって、そう。
あんな回りくどい
なのに、
どうせ、
そういう、『要領悪いから泣き付くしか
おまけに、いざ始まったら始まったで、ケーちゃんにまでアドリブ入れさせ始めるし。
あーもう、ホント……空でも見なきゃ、やってられない」
アル中みたいな
その
「……素直になりたいのに、なれずに悩んでいる、戸惑っていると?」
「……はいはい、そうです、その通りでごぜぇますよーだ。
わー、まさかケーちゃんに、ここまで簡単に論破されるとは思いませんでしたぁ。
さっすがー、しらなかった、すごーい、せんすいいー、そうなんだー。
てか、すみませんねぇ、
いかんせん、こっちが面倒な性分なもんでねぇ」
「問題無い。
そういう所も、
「
ただでさえ、そっちだの
いや、断じて違うけど。
私の対象は、ホビーとカラーだけだけど。
せめて、日時も明確、正確に予告しといて」
「そこで、『気持ち悪い』とはプラスしない辺りが、
そして、ディエン◯みたいな発言だな」
「『自分が言われて
小学生ですら知ってる教訓でしょ。
「その割には結構、愚痴ってるがな」
「私、メンタル
私基準じゃセーフでも、皆にとっては、そうじゃなかったりするのかもねー」
このまま、休憩が終わるまで静けさを保っていそうな空気が流れ始めた頃。
「……
お前は、『空』みたいだな」
それは、考えもしなかった、けれど妙にスゥッと理解出来る感想だった。
ある時は、夏空の如く燦々と照り付け。
ある時は、晴れ渡る青空の
ある時は、黒い夜空に一筋の光を覚えさせ。
ある時は、雲に覆われたみたいに、素面を隠し。
ある時は、今みたいに、明るさと暗さをブレンドする。
確かに自分は、まるで空の
空みたいに移り気で、分かり易く、
空みたいに、空っぽだ。
「……」
思い返してみれば。
こんな時間は無益かもしれない。
スマホも触らず、動画や音楽も流さず、ホビーを改造したりもしない。
けど。
時には、こういう時間も必要ではないか。
ただでさえ自分は善悪、オンとオフ、ギャップが激しいのだ。
特に意識せずとも、キャラが変わってしまう都合上、精神的の疲労も激しい。
おまけに、
こういうダブスタ、スタイル、スタンスしか、自分は取れないのである。
……そう。
決して、
けど、構わない。
再び仕事が捗るなら、それこそがメリットだ。
とは言うものの。
早々に、戻らなくては。
ただでさえ自分は、決まった時間に休んでいる
「あぁ〜……。
戻るの、鬱い〜……。
どうせ、まだ混んでるんだろうなぁ……。
分身したい……他の自分に任せて、ずーっと休んでたい……」
「案ずるな。
「なら、まぁ、
一緒に怒られてもくれる
「それは、
「ケチ」
「知らなんだのか?」
八つ当たりなのを承知で、軽く
表情を変えずに背中を向けた
「……ケーちゃん。
勝とうね。
私達が
今度こそ、必ず」
振り向こうとして、
こんな時でも
代わりに、握り拳を作り、右腕を掲げた。
賛成だと、アピールする
相方の不器用さに、思わず綻んだ後。
伸びをし、肩と首をグルグル回し、気合を入れ直し。
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