2年目:「決戦」編
14:後付(こじつけ)春めくifトゥルート
天国。
存命の内は誰も肉眼では観測
そのイメージは、千差万別。
が、結局の所それらは単なる願望でしかなく。
実際の天国は、ハイテク機械に溢れたSFチックな場所だったらしい。
「ひっ!?」
などとアレな思考を持っていたら、不意に聞こえる
見れば、そこには
彼女は、
「……起きたのか。
図太さだけでなく、しぶとさまで見上げたものだ」
相変わらずの歯に衣着せぬっ
そして、理解した。
どうやらここは、天国ではなく、彼女の自室(?)であると。
つまり……自分は、助かった?
……
あれだけ嫌われてるのに?
「いやいやいや、ぐえっ」
失礼な
いつの間にか
「『デコピナツ・クルンガー』。
トリガーを引くと、ナックルがデコピンで落花生を飛ばす。
ちなみに、ピーナツは自動装填式」
「また、出自も何もかも珍妙な物を……」
「ドンブラってる3話とスパイシー×ファミリー」
「オーコメみたいなの入った!?」
「因みに、ガトリング砲としても機能する」
「節分シーズン限定で爆売れしそう!」
どこのディディーコン◯だろうか。
今にもエレキ・ショッカーを掻き鳴らしポポーしていそうではないか。
「助けて
それが人間のルールではないのか?」
コント風の自社製品PRを
相変わらず、自分は失礼千万な割に、他者には常識を強いるアンフェアっ
が、義を見てせざるは勇無きなり。
礼儀と恩義を欠いては、何事も成立しない。
余談だが、そこに至って
「あ、ありがとう。
「……構わない。
行き掛けの駄賃だ。
こめかみの怒りマークが取っ払われ、やや話し
ホッとする
安心している暇など
「エイトは!?
それに、『トクセン』は!?
が、軽い立ち眩みを起こしてしまう。
「病み上がりは、無茶をするな
まだ治療が済んで時間も浅い。
その間、順を追って、なしくずし的に話さなきゃならない
そちらも既に、
そういえば、面と向かって話す機会が、さほど
今日まで互いに、意図的に避け合っていた。
まさか、こんな、面倒見の
……自分がだらしないだけな気もするが、今は置いておこう。
「
跡形も
復興はままならないだろう。
巻き込まれた人間が他に
「……だよ、ね……」
分かっていた。
あんな、キャンプ・ファイヤーなど
それは『トクセン』自体もだが、中に
時間こそ短いが、かなりの大損害だ。
しかも、その犯人がエイトな上に、彼もまた砕け散った。
このショックは、
気落ちする
そんな彼女に向け、
「次に、
「……ぇ……」
消沈、傷心中の
しかも送り主は、自分を目の敵にしていた
「知っての通り、肉体は滅んだが、メモリを既に取っておいた。
初対面で敵対しつつあった
新たな器も、先に用意した。
後は、そっちにプラスするだけだ」
「ほ、
終わらぬ夜に包まれた
「聞く耳を、プラスしろ」
「ごめんなさい……」
「分かれば、
ちょっと、失礼する」
それは丁度、流星のロック◯ンのトランサ◯の
先月、試作品として見せられた物の、完成版。
「『トケータイ』。
どういう類いかは、読んで字の如し」
「あはは……」
いつも通り、センス……。
いや、短いだけ、
などと思いつつ、
みほは、少し離れた場所からペアリングを開始。
椅子に座しながら、
「『ホンノウン』。
今回の事件の黒幕にして諸悪の根源で、宇宙からの外来種」
「え、あ、そういう系統?
いやまぁ、ロボット出て来てる時点で、話が日常離れするのは覚悟してたけど」
「因みに命名者は、
「その情報、要る?」
「余計な濡れ衣を避ける
「
「一度、自分の顔を鏡で見てみろ。
それと、無理だとは思うが、なるべく私語はマイナスしろ。
何分、長くなるのでな。
喋る時は簡潔、最小限を意識しろ。
話を戻すぞ」
立体映像として投射されるは、どう見ても人外な、トゲトゲしたエイリアン。
「『サクシャス』。
宇宙ギャング『アストロシアス』が一派、『ウォンデッド』に属するホンノウンだ」
「はい?」
「宇宙ギャングのアストロシアスのウォンデッドのホンノウンのサクシャスだ」
「……はい?」
そんな、『パルスのファルシのルシがパージでコクーン』みたいな感じで言われても……。
てか、順を追っていないよーな……。
あと、細分化され
「アストロシアスとは、こことは違う次元に存在する宇宙ギャングだ。
どれも粒揃いで、中でも厄介なのがウォンデッド。
名前の通り、『不死身のお尋ね者』
それぞれが別々の何かをエネルギーに変換させ生き長らえており、
悪さをしている自覚がまるで無く、それを全うするのがレゾン・デートルかつアイデンティティで、連中が訪れる世界、延いては住人達に問題が
それにしたって、やりすぎではあるが」
「はぁ……」
「現状、観測されているのは、ホンノウンと『リセイド』のニ種。
リセイドとは、名前の通り、『ド』が過ぎた『理性』の持ち主で、何よりも『規律』『制度』を重んじる。
個人的には、ドシリーズっぽいので手強そうな印象を受ける」
「
「悪いか?」
「
「ならば閉口していろ。
で、本題のホンノウンだが」
「ちょっと拗ねた?」
「
ホンノウンとは、名前の通り、生物の『本能』を糧としている、『本能』のままに動く『アンノウン』。
まず最初に生物に取り付き、その人間の本能をラーニングし一体化、本能を満たすために暗躍する。
本能だけで動いている都合上、全員、感情が無く、人間に取り付かなければ会話さえ不可能。
助かるかどうかは、『本の運』。
その
「トリプル・ミーニングなんだ。
で? そのホンノウン? サクシャス? が、どうしたの?」
「この世界を作った」
「いきなりスケールでかい割に身近
黙ってたけど!」
どうやら、騒ぐと食らうらしい。
次からは、枕で防ぐとしよう。
「サクシャスの能力は、新たな世界の創造。
試験者である『テクスター』を選定、封印。
閉じ込めた
「パワプ◯のサクセス?」
「大体、合っている。
今回の場合、テクスターとして攫われたのが、他でもない。
我らが、
「あー……。
思ってた以上に入り組んでるなぁ、これ……」
「
その方が、何かと都合が
まるで春映画、究極の歴史改変ビーム並みに
「ごめん、これ以上、特濃な情報、入れないでくれるかなぁ!?
今こっちの脳内、この前のセールとキャンペーンばりに大混雑してるからぁ!
捌くだけで一苦労だからぁ!」
「テクスターを、自分の設定とテーマの下、一年に渡り動かし、その評価によっては、そのテーマとキャラの存亡が決まる。
上述の通り、それがサクシャスの能力だ。
「ワナビってーか、エアプってーか、材木座ってーか」
「揶揄は、その辺にしておけ。
自分の取り憑き先であり織り込み先、『
ノスタルジジー、クロノスタルジジー、クロノスタシスジジーだ。
特撮以外にも考え方が旧世代過ぎるタイプで、男性寄りの口調を女性が用いるだけで発狂する。
時代やニーズに合った動きなどを度外視しており、保守的。
奇抜さばかり優先する。瞬間完全燃焼。瞬瞬必生。
そんな、生ける化石だ」
「
「奴は、他の世界で『特撮』をジャッジしていた。
ドラマ仕立てにして鑑賞していたのだ。
この世界での特撮は、奴の基準では特に歪んでおり、最初から滅ぼさんとした。
が、半世紀にも長きに渡る歴史に敬意を払うべく、情状酌量の余地として試験を開始。
テクスターとして
彼女の補佐として、多岐の分野からエキスパートを生み出す。
特に肝な玩具分野においては、近未来、別次元の開発者を用意した。
それが、
「そこまで、
てか、するぅ!?」
「奴ならば。
その
ただその前提の
「おうほぉぉぉうぉぉぉ……」
嫌な予感は、
「
K世界では、特撮熱が上がると、どこからともなく『バグルマ』が飛んできて反転、暴走、『アンチャー』となってしまう」
「どこのデジモンカイザ◯!?」
「アンチャーは感情を吸い取ってしまい、近くにいては戦意喪失待った
このエンジンこそが、
「お前もロボットかよっ!
通りで、駄弁ってる空気感が
ここで衝撃の真実サラッと明かす所とか、特にっ!
てか、どこのGTロ◯だよっ!?」
「これを作った組織が、『トッケー』こと『特撮警察』の一組織であり、
敵対する組織が『特撮殲滅軍』、略して『トクセン』。
余談だが、この世界で『トクセン』が違う意味を持ったのは、岸開への当て付けでしかない」
「めっちゃ関係ある余談!
矛盾!」
「設定としては面白そうだったが、『緊張感に欠けアクションが映えない』という、作る前から分かり切っていた理由により打ち切られるという、とんでもない憂き目にあった。
無人のガッツ・イカロスが次回作で有人になったのと、似た
「うわぁ……」
「
が、一話でお蔵入りにされ、ロボットとして便利に蘇らせられ、敵組織の名を関する『トクセン』で働くのを強制され。
極め付けに、肝心要の
この
因みに、ロボットにされたのは、『四六時中キリキリ働かせる
との
マジくたばれ、あのイャンパクト老害、アホンノウン、ドアホンノウン」
「もぉ……もぉ、
「と言っても、当人は
次からは
「女神か、あんたは!?
あんたこそ、騙されない
「どの口が」
優しくなければ、ここまで、黙っても許してもくれないだろう。
「
もう、気は済んだ。
やり方はさておき、
てっきり、
それに昨日、
「上げ下げ激しいなぁ!?」
「今更だ。
それより、次は
が、それでも諦めない
その理由は、一つ。
サクシャスにとって、
「エイトが生まれたのは、サクシャスにとって誤算だった?
確かにエイトは、
同時期に知り合った、
「奴の正体は、『オーダー・メイド・ガイド』、略して『オメガ』。
この世界において、テクスターの気力や強運などにより
最後にして最強の助っ人だ」
「オメガ……」
その名を刻み付ける
それが、エイトの正体。
自分が最も、望んでいた真相。
「エンジンには、世界中の知恵を高速で検索する『ラヂエル』、バディの心を瞬時に読む特殊スキル『リンク』が備わっている。
それを活用し徹底的にフォローしてくれる他、バディの望む情報をリアルタイムで提供
と言っても、バディが秘密主義者なのをリンクで察した結果、
「あー、うん、そだね、
エイト、
お父さんが洋菓子好きなの読み取ったり」
「続いてオメガには、見た目、声、性格、得意分野、財力など細部に至るまで、テクスターの趣味嗜好によりその都度、整えられる。
仕方なく、周囲にいる異性の中で特に気を許している
というカラクリだ」
「改めて聞くと
「
同僚、家族、恋人、友達。
いずれの分野でも華々しい不成績を残した、正真正銘、悪女の『天才』。
それが、
具体的には、一周して芸術点高い
「
皮肉が……皮肉さんが、息してません……。
助けてくだせぇ……」
「現状を打破したい、相手と仲良くなりたいという願望を汲み取った結果、今の
それも、
溜め込んでばかりの都合上、言及せずとも汲み取ってくれる相手を望んだ結果、リンクを宿したエンジンが抜擢された、という
それを補うべく、本来なら繋がらない
その
具体的には、彼は自分のルーツを忘れてしまい、ローディングとラーニングが不完全なので、少し考えてから喋ったり、疑問形にする
つまり
「ちったぁ助けろやぁ!
それが無理なら、少しはノれや、バッキャロー!!」
頭にピーナッツ、テイク3。
「落ち着いた頭で、考えてもみろ。
同僚、家族、恋人、友達。
この中で、初対面で
どれが該当すると思う?」
「すみません、選択肢一つしか
「家事万能。
ATM。
トモコイ以上シンエン未満、略してトコシエ。
特撮講座、
タメ。
好青年。
天然。
無邪気。
ほぼ怒らない。
都会帰り。
世界的アプリのワンオペ開発者。
蘇生乱造可能なロボット。
中性的な
七色の声とボイパと声
記念日とか気にしない。
ソウル・メイト。
口下手。
玉の輿。
名探偵。
万人向け。
出合い頭にビリッと運命、感じる。
ピンチに颯爽と現れるヒーロー。
基本、
頼まずとも頼んでも
徹底的なサポーター。
ネタバレ大歓迎。
美味しい所だけ摘み食いしたいファスト系。
オフは趣味に没頭したい派。
デートも結婚も億劫。
ラブコメ、クマ好き。
趣味趣向が似通っている。
共通項が多い。
100の質問、ほぼ一致する。
人間関係まで直してくれるアドバイザー。
構ってちゃん。
優しく気遣い屋。
正しい意味で紳士。
隠し
豪邸持ち。
生活費などを諸々受け持ってくれる神対応者。
とことん便利。
ご都合主義オリンピック日本代表にして金メダリスト。
全体的に無欲。
オアシス。
マスコット。
呼び出しフリー。
定期連絡マメ。
自由と個性を尊重する放任主義者。
ほぼ使用人。
パシリ。
さっぱりした良識人。
ゾーニングしっかりする常識人。
無干渉。
自己犠牲しい。
人畜無害。
褒め
プチ別居中。
話を聞くだけでお金くれる程度の変人。
常に味方な理解者。
人生というクズゲーの無料救済パッチ(
あたしのかんがえたさいきょうのぎじぎゃくはー。
それが、
見付けるのは至難の
「
そんな、
元の世界てんで不向き
トーリロボばりに、のたうち回る
透かさず、彼女の全身目掛けて、ピーナッツの嵐が巻き起こる。
「人の家を、荒らすな」
「煽ったの、そっちじゃん!!」
「黙れ。
何も違わない。
「どこの無◯様!?」
「もう一度、
言っておくが、他のバック・アップの隠し場所を明かす
恨みや不満、殺意こそ
「さーせん!!」
「最初から、分かっていろ」
恐らく、そんな気など更々、
あと、サラッと『殺意』とか言わないで
呼吸を落ち着かせ、意味も
「一旦、整理しよう。
「そう」
「で、別次元の宇宙ギャングのサクシャスが、
つまり
「そう」
「『トクセン』の
つまり、記憶なども
「そう」
「エイトと
取り分けエイトは、
更に、リンクによって
「そう」
「
「そうだ。
しかし、後になってから必要に駆られ呼び戻す辺り、
「ありがと。
で、
「ノー。
それは、U世界の
「そこは、違うのかよぉ!!
チッキショーめぇ!!
こうして
「てかさ。
冷静に考えてみたら、おかしくない?
サクシャスの目的は、『それぞれの世界の特撮のジャッジ、
それに、サクシャスが取り付いた人間は、
その割には、お膳立てし
「テクスターを選定するのは、奴の能力ではなく、その世界のテーマ事情。
昨今のイケメン俳優や豪華声優、アーティストの起用、奇抜さや
その風潮により、特撮の知識もポテンシャルも
しかし、結果に納得
だからこそ、完膚無きまでに好条件に整えた上で、
「……つまり?」
「レシピと知識が
さしずめ、サクシャスが演出せんとした
「ほほぉ……。
|随っ分、舐めてくれてんなぁ、おいぃ……」
握り拳を作り、沸々と怒りを貯める
「
その上で聞こう、
今の結果で、
あんな終わり方を、ハッピー・エンドと銘打てるか?
パラレル染みた真のルート……ifトゥルートで再挑戦し、仕返す
あの
この一年、
同僚
少なくとも、
10ヶ月近く、サクシャスに踊らされていただけという、屈辱的な黒歴史が」
「……
悔しくない
満ち足りるなんて、有り得ない。
あの程度のやり方でしか、
そんな不甲斐無い結末で、終われる
あの日、
もう
一時でも、そう願ってしまった。
それが、
性懲りも無く自分の罪を、彼に一方的に背負わせてしまった。
彼を、死に追いやってしまった。
これで
「……お願い、
今度こそ、きっちり済ませて来る」
「今ならば、信用
トケータイにメモリをセットし、エンジンが付けているトケータイに触れろ。
そうすれば、
「ありがと」
メモリを受け取り、挿入する
互いに頷き合い、歩を進める。
舞台と手筈は整った。
あとは、調理のみ。
今度ばかりは、メシマズらされてなるものか。
その一歩目が今、始まる。
「ところでさ。
春映画って、そんなに
「ケンバコとジョニアがラ・ゾ・ナしてるだけのツッコミ紹介コント動画で泥酔疑惑が浮上するレベル」
「この
二人の仲が、
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