8:バーサス! バーチャル! 実家談判!
「はじめまして。
こっちが、父の
いつも、
「
「電話を初対面にカウントすんな」
両親との顔合わせだというのに、初っ端から天然を炸裂させる
いつも通りの緩さに当てられ、条件反射的に
「えと……面白い方ですね。
先程、お話した時から薄々、感じてはいましたが」
母は強し、とでも言うべきか。
一瞬、呆気に取られるも、
一方、厳格な
見慣れた光景。
唯一、慣れていないのは、実家に
それも、こんな状況下で、正座している
ともすれば
それが、両親を変に触発しなければ
「
「あ……。
う、うん……。
ありがと……」
言われた通り、
どうやら、悪いムードでもないらしい。
少なくとも、今の所は。
「して、
先程、軽くはお聞きしましたが。
あなたと、
「トコシエです」
「トモコイ以上シエン未満、でしたか。
それについては、特に言及しません。
出来れば、一報
まぁ……
大変だったわね、
「へ!?
えと、その……!
……ありがと……」
やはり、怒り心頭という
そして一体、
あらましか、はたまた全部か。
「前述の通り。
私は、
前までは、お姉ちゃん離れが
今は、
お二人がきちんと話し合い、合意の上で決めたのであれば、私から口出す必要は
主人はさておき、ね」
「……まるで、俺だけが一方的に悪者、
「あら、
これは、失礼。
つい、本音を零してしまいました。
てっきり、
自分の気の強さは、ほぼ確実に
それはそうと。
ここに来て開口した
「
いきなり、こんな
あんた、お仕事は
「『
「はぁぁぁぁぁ!?」
ここに来て、まさかのビッグ・ネームに、
が、
「『
世界的に親しまれてるっていう、ゲームのサブスク。
あれの、スタッフさんなのか?」
「リーダーというか、ワンオペというか……」
「……あんたが全部、やってるってのか?
……たった一人で?」
「まぁ、結果的には。
少し前までは、チームで進めてましたが」
「その割には、特にペース・ダウンもしていない
「元々、他の方々は、接待メインだったので」
「……」
言葉を失う、
ここに来て、やっと
一方、そんな胸中を知ってか知らずか。
「ところで、もしかして、ユーザー様だったりします?」
「じゃなきゃ、ここまで言えんだろう。
あれは、実に
今の時代に合っていて、ユーザーもスタッフも協賛会社も皆、楽しんで進めている。
俺みたいな老いぼれでも知ってる
暇な時とかに年甲斐も
お
「『古いゲーム』じゃなくて、『レトロ・ゲーム』です。
あと、老いぼれだなんて、思っていません。
大事なお客様ですし、お優しい方だとお見受けしたので。
それと、ゲームは老若男女楽しめる、万人向けの、今や世界規模のスポーツとして認識されている、立派な趣味です。
年齢なんて、関係
それにより、息を呑む
実際に面と向かって、まだ10分と経過していない。
が、この場は、
それも、計算でも謙遜でもなく、本心から溢れた言葉で。
「それと。
もしかして、特撮は女性向けではないと、お考えで?」
「あ、ああ」
「確かに、一理
現に、そういう風潮も
しかし、それは昔の話です」
「女性ライダーが初期からレギュラーだったり。
宇宙農業ゴリラと戦う際、銀河最強クラスのキャプテンを筆頭に、女性チームが一致団結したり。
スピンオフとはいえ、女性戦士だけで構成されたドラマも作られたり。
イケメンや、可愛いロボが一世を風靡し、市場を
特撮好きOLが主人公の漫画がドラマ化され大人気を博した結果、怒涛の再放送の嵐、果てにはDVD化までされたり。
恥も人目も
そういう兆しが、見え始めているんです。
特撮話をするのが恥ずかしい、難しかった、長きに渡る黒歴史は、終局しつつあるんです。
そんな過渡期とも黎明期とも取れる曖昧、大事な時だからこそ、『トクセン』が存続する意義、必要が生まれるんです。
俺にとって、謂わば『トクセン』は、新時代の救世主、開拓者の
そして
俺は、そんな彼女を、心から尊敬しています。
お二人の娘さんは、俺の誇りです」
突拍子も
隣に座る
彼の熱意が、届いたのか。
腕組みした後、
「驚いたよ。
こんな
それも、人と人との関わりが
おまけに、
まるで創作めいてるな」
「言えてますね」
「あんたが言うな。
自分が、張本人だろ」
「あ。
お菓子作って来ましたけど、食べます?」
「いや、でっかぁ!
ケーキ、でっかぁ!!
まさかの、ホール!!
しかも、4つの味!
いや、ピザかサーティーワ◯かよ!!」
「……まさかとは思うが。
あんた今日、ここにピクニックか女子会、お誕生日会でもしに来たってんじゃないだろうな?」
「……あ。
お父さん、洋菓子の方が好きでしたよね?」
「『お父さん』言うな。
あと、
「大丈夫です。
きちんと、『義父』とは呼んでません」
「そこじゃない。
だが、
妙に親しみ易いが、分別と礼節、順序を弁えているのは、感心する。
それはそうと
「ち、違うからっ!
心の中でしか、言ってないから!!」
「じゃあ、
「うふふ。
「
今でも綺麗なのは否定せんが」
「あら?
あなたも充分、素的ですよ。
それと、私も
「じゃあ、
「……勘?」
「リトル◯ーデンでドルドルにスタンプした麦わらか、
「あ。
これ、
当たりだ」
「んで、自分が用意したからって、人ん家への土産を率先して食べんな!!
アメリカ帰りに球友に会いに来たノゴローくんか、おめーは!!
大体、作ったのお前だろうが、味見しとらんのかい、どこの
よくもまぁ、この土壇場で、そんな暴挙に出られたなぁ!?」
「あら、
素晴らしいわ」
「うむ。
実に
もう一個、頂こう」
「どうぞ、どうぞ、どうぞ。
一個と言わず、全部」
「すっかり馴染んでんなぁ、毎度の
まるで
予想とは違う意味で気疲れをし始めた
これはこれで、不満というか、不安である。
自分の扱いはさておき。
これで第一ラウンドは済んだ。
問題は、ここから。
「それはそうと、
そろそろ、本題に入りましょうか」
お菓子を食べ終え、口元を拭い、
いよいよ、始まる。
本当の強敵……『氷のクイズ女王』との、戦いが。
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