7:トモダチタチ
「では、お待ち兼ねの自己紹介ターイム。
配信でボロ儲けしてまーす。
で、あっちが娘の
君が、モリマルくん?
この前は、旦那が世話になったし。
だってのに、今日は来れんくて、マジごめん系だし。
しかも、今はユヒまでご厄介になってるとか、マジ感謝だし」
「我は、
トレーナーやインストラクター、栄養士と、手堅く手広くやらせて
皆、ご壮健で
「同じく、ユヒの友達で、『アカユル』のリーダー、『アッセンボー』職員、
本日は、代理として上がりました。
急な来訪にも
「いや、『ユヒの友達』って誰も言ってないし!
それなのに、『同じく』て!
同じくないし!
ウケる!」
「あなた
私、いつも割りを食わされてばかり。
私だって、少しは楽がしたいのに。
「ハル、大袈裟だし!
ウケる!」
「あなたが大雑把なだけ」
「まぁまぁ……」
軽い口喧嘩を始めた二人を、
隣に座る
あだ名は、『アユ』。
性格と口調と名前はギャルだが、見た目は黒髪ロングでスーツと硬派(本人曰く、「ギャップ萌えを狙った正装」)。
実は旧家出身で、その家事力を遺憾無く発揮し先程、追加料理を作ってくれた。
色んな物を特集する配信者で、彼女の取材を受けると高確率でバズるので、一部では「先見の
コミュ力お化けで顔が広く、彼女の紹介でバズった小説の出版化が決まった際には、彼女の伝手で絵師が決まったりするとか。
ほぼ毎日、何かしらの更新をしている。
職業こそフワフワしているが、子持ちで、旦那は職安のエリートで、その気にさえなればどんな職種にも就けるポテンシャルの高さも兼ね備えているなど、その実、四人の中では断トツで古風な道を進んでいたりする。
そんな、常にトロピカってる茜ヶ久保 も◯みたいな存在である。
続いて、
あだ名は、『ホティ』。
仕事のみならず、『アカユル』の体調管理も務めている、女騎士の
微細な変化さえ見逃さず、電話での第一声で体調不良を見抜かれたりするので、注意が必要そう。
また、体裁の悪い
現在、精神科医の免許も取ろうとしているが、恋愛脳であるが
最後に、
あだ名は『ハル』。
彼女は『アカユル』のしっかり者で、仲を取り持つのが得意。
クールな姉御肌。
トラブルが発生した時は真っ先に相談を受ける、『アカユル』のリーダー格。
纏めるのが得意で非の打ち所が
消去法により結果的に仲立ちをしているに
職安『アッセンボー』で働いており、
そして、
好奇心旺盛な元気っ子。
前に
そんな
市販のソフビではないのを一目で見抜いたらしく、二人は先程から
伝えられるだけの語彙力を持っていないだけで、子供というのは存外、大人よりも記憶力が優れていたりするものなのだ。
「やっほぉ。
たぁんと、召し上がれぇ。
まだまだ
「
自分も、
「あははぁ。
いつもぉ、ありがとぉ、
じゃあぁ、
「
「
残さずぅ、
「
次に、残りの二人。
何かに付けてよく笑う。
「ペコテン」(=「ペコペコテンション」と「ペコペコでコテンパン」の略)、「ベコテン」「おいしろ〜」(「美味しい+面白い」)、「バリカタ」「マシマシ」「デリシャスってる〜」などが口癖。
健啖家。
造語盛り沢山。
笑いのツボが特殊。
色んな
基本的に感覚や直感、ノリやイメージだけで、知識や計量も
ユルフワ系だが、常に元気とやる気を持て余している。
惜しむらくは、スイーツしか作れない
料理人らしく、「上手い」を「美味しい」と言う。
実家は定食屋『ほのぼぉの』。
常に何か手作りのお菓子や料理を持ち歩いている、無類のスイーツ好き。
料理欲が強過ぎる、作り過ぎ系。
カロリーの悪魔だが、彼女の作るスイーツの魔力には、あの
そして、
スーアク担当で、
古風な熱血系。
超ポジティブ。
典型的な脳筋。
程度を「強い」「弱い」で表し、「勝」の入ってる用語を多用し、「◯◯ねば、男ではない」が口癖。
常に何かに挑み、記録を更新したがる。
会社にも徒歩で出勤している。
その特性、性格上、トクセンで誰よりもカロリー消費が激しいので、小美のお菓子の餌食となっており、後に彼女と付き合い始めた経緯を持つ。
新たに記録を塗り替えた際には「前世を超えた」などと言う。
暑がりなのもあって、気合が入ると無意識に腕まくりをする。
また、
気付けば、かなりの大所帯となってしまった室内。
あれから時間は
「そうなのよぉ。
あんた、思ってたより話、分かるじゃないのよぉ。
もっと早くアタックしとくべきだったわぁ」
「あははぁ。
恋バナ、マジ
シィナ、デリテンゥ。
バリカタに大好きぃ」
「
もう、グループ作るし。
恋バナ連合」
「あははぁ。
安直ぅ、安直ぅ」
「だが、断らない」
「ところでぇ、
今度ぉ、二人でぇ。
おいしろなラブコメ、デリシャスに仕上げなぁい?」
「名案ね。
ペン・ネームは、そうねぇ……
「マジまんま、超ウケる。
今度と言わず今、作るし。
思い立ったが吉日だし」
「任せなさい」
「あははぁ。
超デリシャスってるぅ」
恋バナを
「実に、
それでいて、この細さ。
特に、
まるで、月歩や嵐脚が
聞く所によると貴殿は、膝に人を乗せながら片足でホッピング移動
この小さい脚で抱えられながら、スクワット5万回して
「あ、あのぉ……。
お触りは、程々に……。
リオ
は……恥ずかしい……」
「そして、弟君の方は、筋骨隆々の体現者。
こちらも、中々どうして
黄金期のジャン◯の
我が肩に載った状態で、懸垂5万回して
「はーっはっはっはぁっ!!
それは、さしもの
次の非番の日にでも、是非とも
「いやはや、実に目の保養であった。
惜しむらくは、お二方共、
我は恋愛脳ではあるが、横恋慕は主義に反するのでな。
また
我はいつでも、ジムで待っている
それでは、失礼
我も、恋バナ連合に入隊したいので」
「あ、あのぉ……。
ボク
「
自分
「素晴らしい提案、
こちらからも何卒、
では、スマホを用意されたし」
「
ここで
で、ございますよっ!!」
「賛成、です……」
「うむ。
妙案であるな。
さもありなん。
我は、女だが」
筋肉チームは、酒が一滴も入っていないのに恋バナ連合よりもカオスになっていた。
そして
現状、
「申し訳ありません。
挙げ句の果てに、ツレが多大なるご迷惑を。
事実上アポ無しで押し掛けた実情も含め、
「とんでもないです。
皆さん、心から満喫しているので。
それに、
こちらこそ、お恥ずかしい限りです」
「そもそも、後者が
「それは、確かに」
クスッと、
本音を
「それで、
そろそろ、本題に入らせて頂いても、
場が和んで来たのを見計らい、仕掛ける
気後れ気味に、
「お見逸れしました。
「当然です。
だって、
つまり業務外、プライベートでの別の案件……てか、
「
正しい意味での、大和撫子でしたか」
「お褒めに預かり、光栄です」
「なお、実態は」
「
ちょっと黙っててください。
茶々も刺激も、不要です。
ホビホビ、イロイロしない
年上勢が
「キビ・ポイン◯みたいに言わないで」
「すみません。
先程から一体全体、どういった意味なのでしょうか?」
「お気になさらず。
ちょっとした、恋煩いの
「ちょっとした……?
ゾッとした、ギョッとした、の間違いだと思う……」
「
だ・ま・れ」
「
こ・ま・れ」
「し・ま・れ」
「と・ま・れ」
「う・ま・れ」
「へ・ま・れ」
「すみません、その辺で。
特に、
中々に、過激になっているので」
肉弾戦が始まりそうだったので、間髪入れずに待ったをかける
「
では、ノー・タッチという
「話が早くて助かります。
「
負けじと、
テーブルの下で行われる
中々に難儀な場所で、ユヒは働いているんだなぁと。
「もう、
ユヒは元々、私達の中には
私達は幼稚園で、ユヒは保育園。
ユヒと出会ったのは、小学校……三人でのグループが、
そうだろうと、
先程から三人は愛称で呼び合っているが、
それに、
恐らく、彼女が自分から願い出たのだろう。
変な気を遣わなくて
彼女は、
「そういった背景が
確かに、一人だけ都会に行き、こっちに戻って来た体裁の悪さとかも
どうにも、それだけじゃない様子で。
正直、私達にも、心当たりが
具体的には、この8年近く、三人だけで過ごして来たからとか。
学生時代でも、ごく稀に三人だけで遊ぶ機会を設けたりとか。
ユヒが体調不良でキャンセルしても、普通に予定通りデートしたりとか。
多分、その辺りかなぁと」
決まりの悪そうに、自白する
気持ちは、分かる。
別に
確かに、最初から輪が出来ていた手前、三人だけの関係を大事にしたいのも、
俺ガイルで言えば、葉◯不在の三人組みたいな物だろう。
でも、
それだけでは、ない気がする。
もっと闇が深い、面映ゆい
そう、
「あ〜……」
「やっぱりか〜……。
同性だからこそ、友達だからこそ、言い辛かった
「はい。
「分かりますよ。
しょうもないし、けど大事だし譲りたくないし、周りから『しょうもない』認定はされたくないんですよね」
「そうなんです。
「まぁ、何度か、お誘いが。
「……?」
話が見えず、困惑する
そんな彼に、
「
今までではさておき、こればっかりは、決して意地悪とかじゃありませんが。
この真相、男性が辿り着く、解き明かすのは、至難の業かと思います」
「……てーと?」
「つまり、あれです。
早い話、BでLな感じです」
「あ〜……」
ここに来て、
確かに、それは口にするのが憚られる。
「と、言いたい所ですが。
それは、あくまでも
実際には、似て非なる要因なんですよね?」
感心する
対する
「そこまで、お見通しでしたか。
「確かに、そっちの趣味をお持ちの主婦も
が、今の時代、それは新たなスタンダードとなりつつある。
昨今でも、子供を連れながら堂々と、
まぁ、『教育上
それは個人の自由、責任なのでお咎め
つまり、皆さんが後ろめたい要因は、他に
焦れったい作風は好きですが、そういうやり口は苦手なので、最初から全問正解狙いで行きます。
そして
私の見立てでは、さしずめ、そんな所でしょうか」
「……」
……え?
それだけ?
それだけの
全員、本来の主旨から外れてない?
それって、セーフなの?
作者さんに対して、失礼に値しないの?
てか、他の二人はさておき、
逆に、
「甘いですよ、
この際だから、頭に入れておいてください。
女という生き物は、ともすれば男性よりダンチで業が深かったりするんですよ。
まだ世間には明るみに出てないだけで。
認知度が低いだけで。
一日だけでも、本屋で働けば分かります。
私も昔、オレンジ目当てで、ブックをオフしてましたので、分かります」
「もしかして、
「ええ、ありますとも。
タイトル、背表紙買いしようと手に取った作品が、実は耽美だったと知り、
「ノーマルな同人誌を購入した
「純粋な意味で推してた作品が、思いっ切り不純な解釈違いで本に書き起こされて、その場で破り捨てたくなったり」
「何巻にも渡って一途に恋し続けてた主人公が、そっち系のヒロインに、にべも
「そっち派の人間が上層部に
「大ファンの声優さんが、そっち系のドラマCDにも声を当ててて、複雑なジレンマに陥った
「同性なので多少なりとも理解は示すものの、
「とんでもなく下品かつストレートな表現で、カーテンとかも
「ただ漫画アプリを漁ってるだけなのに、そういった宣伝や広告を見せられて、ひたすら表示を停止し、あまつさえご意見を送ったり」
「男性作家のアレ寄りな表現に食い付き、噛み付いている、棚上げ底上げし
「最近、増加傾向にある、そっち系ヒロインに、『その、
「その設定
「……」
「……」
「
「
生き別れた姉妹と運命的な再会を果たしたみたいなテンションで、熱く抱き締め合う二人。
これが数分後、『ルイロハ』というグループ
その光景を見ながら、ぼんやりと
「な〜に〜……。
エイト、
このタイミングで、
意識も肉体も回復した
「え……?
……え……?」
目を擦り、パチクリとさせる
その場に
「……夢?」
現実逃避に走った。
「ユヒッ!!」
一目散に
酔いが覚めた
「ユヒ、ごめん!
私、腐女子じゃないの!
ただ、
「……はい?」
「
「はい?」
「我は、筋肉フェチだ!」
「あ、うん、それは知ってた」
「
良かったぁ……」
「
てか、ちょ、ちょっと待って!
「ユーさんと俺は、トモコイ以上シンエン未満の、トコシエです!」
「エイトォォォォォ!!
荷物、増やすなぁぁぁぁぁ!!」
「
もっと詳しく!!」
「
こうして、思わぬ形で発覚した、三人の
翌日、病み上がりなのを気遣われ、大事を取って休みを
にも
その中で、
隠し事とオープンのバランスは、実に難しいのだと。
※
恋人、同僚、友人。
断捨離され、紐解かれ、打ち壊され。
複雑化した人間関係は、ほぼ正されつつあった。
次から次へと訪れる、強大なピンチ。
連日、課題と現実を突き付けられる、激動の一週間。
残る試練は、あと一つ。
『大事な話が
次のお休みに、顔を出しなさい。
さもなくば、勘当です』
そして
互いに生きている以上、
家族が、立ちはだかる。
「……
「……
電話やメールで充分かな、って……。
もしかしたら、それかな……」
「あーあ……。
だから、言ったのに……」
「ドラエイもーん……」
「はいはい……。
今度こそ、俺がユイ・ポイント稼ぎますよ」
「
しかも、そんな、反抗期の学生染みた原因によって、引き起こされたかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます