3:上げ膳、据え膳、釈然とせん
駅やスーパー、シネコン、『
リビングやダイニング、
そして、風呂やトイレ、自室や倉庫、小型キッチンは勿論、視聴覚室や休憩室、カラオケの他、アトリエとグッズ置き場も完備してある、10部屋からなる広々とした2階。
「じゃあ、
ここは今日から、
「……はい?」
そんな、明らかに一人用の仕様、規模ではない場所を、たった今、
ただの一戸建て住まいの
こんなの、どう贔屓目に捉えても、都心の超高級マンションの独り占めレベルである。
フレンドリーかつ大雑把で、
驚きと申し訳なさで涙目になりながら、
カチコチになった首をギギギギギッと鳴らし、
「え? 待って、
「……もしかして、足りなかった?」
「
「
「それって
てか、
「ん」
つまり3階も、ここに劣らない好条件らしい。
どう考えても、年に数回のイベントに参加する
そもそも、どうして自分は、
「……
「イベント参加する前って、それに
「まぁ」
「でも、人目とかあるし、施設だと若干、抵抗
「うん」
「だから、作った。
完全に自分用、自分好みの、予習復習専門の遊び場を。
でも、ひょっとしたら
「ラーメン感覚で豪邸オーダーしないでくれない?」
「現に、こうして役に立った。
俺は、どこも間違ってない」
「結果オーライでしかないから、胸張り腰当てドヤ顔止めろ」
「ちな、昨日まで
ここに着いた辺りに
「あーた
でも、グッジョブ。女性なのが特にポイント高い。
後で引越し代、立て替える。
てか、せめてフロアだけ入れ替えない?
高いと
「エレベーターもエスカレーターも
「
田舎の一軒家には、
「あと俺、高い所好きだし、上からの景色も悪くないから」
「うん。
こんな調子で、押し問答染みた質疑応答が続いた結果、最終的に
「折角だし、探検したら?」
「そだね。
でも、自宅探検って謎だし、実際に探検レベルな自宅って
「ねー」
「いや、あんだの
そんなやり取りを挟んだ後、
そして、茫然自失となって数分後、部屋を去り
「ねぇ。
部屋にまでトイレとお風呂、洗面所が有るんだけど。
あと、買った覚えの無いカプセル置いてるんだけど」
「リラクゼーション・カプセル。
酸素と水素を同時に取り込める。
睡眠不足、疲労と怪我の回復、アンチ・エイジングに病気予防、二日酔いの改善、脳の活性化やダイエットにも繋がる。
1時間で1日分の睡眠になる」
「『ショート・スリーパー』とか言ってたの、それか。
てか、そこじゃない。
あれ確か、普通に買ったら何100万と飛ぶ代物だよね?」
「バニラ、フルーツ、フローラル、ハーブ、エキゾチック、チョコレート、メープル、ハニー、パウダーのアロマも出せる。
Bluetooth対応で、音楽は流せるし、180°までなら映像も映せる。
勿論、本やスマホも持ち込める」
「普通に店開けよ。
それはそうと早速、試して来てオケ?」
「まる」
「よしゃ言質取った、もう
「最初から。
あと、その前に用足し済ませとくべし」
「りょ」
その事実に彼女が気付いたのは、カプセルに入った後だった。
※
「1階は共有スペース兼ゲスト・ルームとし、2階は
「互いの生活スタイル、考え方、自由、知識、価値観、仕事、習慣、癖、好み、交友関係、趣味、休日、時間、事情、差異、その他諸々(特にプライベート)を考慮、尊重し合う」
「洗濯物や水回りは自分で管理する」
「なるべく遠慮、無理はしない」
「最低限の節制は心掛ける」
「水道光熱費は各自で負担する(階ごとに分ける)」
「食料、生活必需品などは無くなり次第、気付いた方が適時、補充する」
「家賃は無し」
「体調が悪い時などは素直に申し出る(言い辛い理由は伏せるのも可)」
「互いの部屋への無断侵入はNG(緊急時は例外)。
また、入る時は必ずノックする。
フロアまではセーフ」
「
「予定、シフトはカレンダー、共有のアプリ、ホワイト・ボードの
「人を招く時には
「意見交換、擦り合わせをする定例会を開く」
「余程だらしなくなければ、服装は自由」
「過度なスキンシップ、過干渉、無理強いはしない」
「無人の時はロックし、鍵は常備する」
「相手が困っていたら迷わず、全力で助ける」
「『イジり』と『イジメ』を履き違えない。
親しき仲にも礼儀あり。
最低限の敬意を払う」
以上が、フロアを案内されリビングで夕食がてら話し合った、二人で暮らす上でのルールである。
「で、
食べ終え紅茶を挟みつつ(
彼の虫食い言葉を読み取るのに長けている
かといって万事、意思疎通が
彼女の理解、予測が及ばないケースもまた、存在するのである。
丁度、今の
「どれ
「給料」
和んだムードを台無しにする、まさかの殺風景ワードに、吹き出しそうになる
が、そこは大人、いっぱしのレディーとしての根性、矜持により、どうにか耐え忍ぶのだった。
念の為、口元をティッシュで拭き取るのも怠らない。
「な、
「
好きでもないのに解説されるのは、しんどいし、立派な仕事でしょ?
だから、賃金。
バキサブスクみたいな物」
「……」
ゲンド◯ポーズを取りつつ
言いたい
「……ねぇ、
「なーに?」
「
「お世話、だなんて。
それじゃ、
一緒に暮らす以上、対等じゃなきゃ」
「……ねぇ。
ごめんだけど、なるべく静かにしててくれる?」
一向に進まなそうなので、恥も外聞もかなぐり捨て、ともすれば反抗的な態度に出る
当てられた
「
ルール決めてた時も気になってたけどさ。
君、
今だって。
正直に、教えて」
意見を求められているのを察した
「……
男より
それに、俺の
押し黙りつつ、
知っていた。
あくまでも、『自分を
正直、その申し出は
彼のマメな気遣いも、ありがたくはある。
でも。
「……気付いてる?
そうやって『優先』してる時点でさ。
「……あ……」
ここまで来て
この際、はっきりさせておこう。
勢い付いた
「それだけじゃない。
目覚めた
それに、言葉を選んでいる節も
どうして?
ひょっとして全部、同じ理由?
要するにさ……
これって、
無言になり、目を逸らす
自分のピリピリした重苦しいオーラが原因なのを悟り、
「……ごめん。
こういう、キツいの言いたいんじゃないの。
ただ……
この場での
彼の横に移動し、
穏やかな物言いに誘われ、まだ気後れしながらも、
「……引いたり、しない?」
「なーに言ってるんだか。
それ
空いていた左手で自身の胸を叩いてみせる
その頼もしい姿に、
「……俺さ。
小中高大と適当に過ごして、
そうやって生きて来たから、友達とかも
「……うん」
「でも大人になってから、スマホのラジオ・アプリやってたんだ。
そこでなら、特撮トーク
でも……全然で。
俺の声にしか興味
どれだけ調べても復習しても、怪文書シナリオ読み上げても、
誰かからの、ラブコメっぽい
……1年経つ頃には、嫌気が差した」
「……うん」
「俺、何やってるんだろって。需要と供給が、まるで合ってないなって。
そしたら
おまけに、仕事も立ち行かなくて。
向こうもハードなのに、
飽きたし、辛いし、時間も実入りもメリットもモチベも意義も
思い知らされたんだ。友達でもないファンが500人近く
辛くて、悲しくて、寂しくて……。
……怖くて、怖くて、
その
「
俺……いつだって、不安なんだ。
絶望の淵に追いやられ続けてた孤独な俺にとって。
この人にまで見放されたら、どうしよう。
俺が次に放つ言葉で、
俺にも特撮にも繋がりの
ラジオの時みたいに、俺の声目当てってだけなんじゃないか、って。
その内、また前みたいに、どこまでも一方通行の、都合の
そしたら、俺……もう誰とも、一番したい話、
そう考えるだけで、もう……一杯で、さぁ……」
言葉通り、
止め
ここに来るまでの
恐らく全てではないにせよ、メインを曝け出してくれた彼に今、すべき
彼の飾らない告白に応えるには、
「……
ちょっと、ルール破る」
悩んだ果てに答えが見付からなかった
傷付いた彼の心を癒やし、守るべく、彼を優しく抱き締めたのだ。
「
「……『過度なスキンシップは禁止』、だったけどさ。
つまり、『過度でさえ無ければセーフ』って
それに、これは『異性』としてじゃない。
徹頭徹尾、『親友』『同居人』の範囲内。
だったら、有りだよね?」
「まぁ……そう、かなぁ?」
「そうなの。
そんで、
君、
ハグを解き、
「その1。
よって、君の一番したい話題にも関心を寄せてるから。
断じて強制、矯正じゃないし、ましてやビジネスでもない」
「その2。
てか、『トクセン』には君以上のイケボが
確かに、
「その3。
そこまで君を好都合がりたくない」
「その4……は、特に
大胆なアピールに出た羞恥心を遅れて覚え、おまけに計画と言葉に詰まった
やや
「と、
今の聞かされた上でも現状、
別に、どっかの
だから、あんま不安がるなっ!
自分から『なるべく遠慮しない』って言い出したんだから、責任果たす
家事や女性力はともかく、イエスかノーかの判断
普段は溜め込んでから暴発するタイプだけど、あんたの前では、きちんとするわい!
大体、あんたが
って、あーいや、そうじゃなくってぇ!
あー、もぉ……
咄嗟にエゴな発言が出た
今まで
素直になれるのは助かるが、
「あははっ」
などと落ち込んでいると、不意に上から笑い声が聞こえた。
見上げれば、それまで暗かった、平時でさえ無表情な
「
だからこそ、嘘を感じない、信用に足る人だって確信したし、再確認
「お、おめぇっ、このぉ!!
「あと、唐突に出る方言も、ウケる」
「おだずなよ、おめぇ!」
立ち上がり、最初こそ怒っていた
気付けばダイニングは、喧騒とは無縁の空気に包まれていた。
「……ケーキ、おかわりする?
まだ冷蔵庫に入ってる」
ややあって、突拍子も
「あんま甘やかすなってば」
「これも俺流の息抜きだから」
「おめーさては、そう言えば
「ご注文は?」
「レモン・チーズ・ケーキ!」
「いや、
込み上げる笑いを堪えながら、キッチンに向かう
きっと、これからも、こんなイベントは待ち構えている
自分と
遅かれ早かれ、衝突は避けられないだろう。
けど。
それでもきっと、自分達は大丈夫。
喧嘩するのも食い違うのも、互いを思うこその
互いを敬い、求め合えば、自ずと同じ、理想の答えに辿り着ける
「うーん……」
でも、
もっと、自分達だけの、自分達らしい特別感が
相手が同性だったら、こういう時は自然と愛称とかで呼んだりするが……。
……愛称?
「それだっ!!」
「え、うん。
レモン・チーズ・ケーキ」
「違う、そうじゃない!
合ってる!」
「どっち?」
「そっちは正解だけど、
「よく分からんけど、とりま座って。
あと、
「せやな!」
デザートを完食し皿洗いも済ませたタイミングで、
「これから
その方が、
「どこの夜明けの刑事?
でも、そっか……」
「……それ、俺の父親が付けようとしてた名前。
俺の父親も、根っからの特撮好きでさ。
だから、ライダーや戦隊、ウルトラの生みの親の名前から取って、『
ヒーローの半分だから、『
「んぅ?」
「『16』って書くと、『ヒーロー』って読めなくもないでしょ?
だから、その半分の『8』、つまり『エイト』。
父親曰く、『ヒーローなんて、助けたいと思える、応援してくれる誰かが
「……ちょっと独特だけど、由来もセンスも
この親にしてこの子あり?」
「かもね。
で、母親に糾弾されたらしいんだ。
『ここまでお腹痛めて、死に物狂いで、やっとの思いで産んだ我が子に対して、半人前とは
産後に、病室で」
「全面的に同意だけど、それはそうとバイタリティ
「ねー。
そんな
まぁその
「ノー・コメント」
「いや、それ自体がコメント」
依然として赤らんだ頬を掻きながら、
「だからさ。
大袈裟かもだけど、『運命みたいだな』、って。
俺のルーツ知らない状態で、俺の大事な人が、最初の異性の友達が、俺にヒーローの話をさせてくれる人が、俺を『エイト』って呼んでくれたのが。
こう……俺をヒーローたらしめる存在にしてくれる、ってーか……。
特撮の話を聞いてくれる
「なーに
あんたはもう、
あんたとの出会いが、
「
紛れも
あんたに聞く耳持たない、正面から見ようともしない、有象無象の、正論染みた戯言なんか、知ったこっちゃない。
そんなアンチ共、見付け次第、
自らの両手を突き合わせる
蹴散らしたいのか殴りたいのか曖昧なのはさておき、その姿は
同時に、思った。
俺も、彼女に応えたい、と。
「……『ユーさん』。
これからも、どんどん俺を、助けてね」
ユーさん。
それは、
彼には知る由も
自分が憧れてならない、とある人物を想起させる物だった。
……
運命を通り越して、
……いや。
きっと、自分の勘違いだ。そうに違いない。
そう結論付け、
「おう!
任せとけ!
ガンガン甘えろ!」
「家事以外は」
「そっちは頼んだ!」
「頼まれた」
やはり、どこか言葉の足りない二人。
他者から見れば、所々が
こうして
※
「ユーさーん。
ゲームしよーぜー」
「サザエさ◯か。
で、何するん?」
「テェテーブル」
「て……あんだって?」
食事後、自分のフロアに戻らずリビングのソファで
彼が持っているカゴには、
「テェテーブル。
俺が考えた、多分オリジナルのゲーム」
「おめさん
で、概要は?」
「ガイヨォアーパカッ」
「スト○feat.関ジャニ○止めろ。
無駄にクオリティ高いし」
「これが
「言わせんよ?」
「ユーさん
「フリスビーやボール取りに行かされる犬の気分。
て、何の話?」
「ん」
どこまでも入念だなぁと笑いつつ、
「ゲーム内容
ボードゲーム感覚でグッズ(フィギュアなど)を用意し、より強く相手に『てぇてぇ』と思わせた方が勝ち」
「1:コマの数は無制限、自由」
「2:コマの後出しも可能」
「3:1ターンにつき1体コマを召喚出来る(これを『アドベント』と呼称する)」
「4:ターン毎に動かせるコマは1体だけ」
「5:アドベントした直後はアクション不可」
「6:劇中での関係性、能力などによりコマを強化したり、相手のコマを弱らせたり倒したり奪ったり出来る(これを『イベント』と呼称する)」
「7:相手プレイヤーも理解した上で初めてイベントが起こせる」
「8:イベントを起こす為に補足説明も可能(これを『ベント』と呼ぶ)」
「9:相手が飽きたり拒否した場合はイベントは起こらない。
但し、最初からパスは出来ない。
少しはベントを聞くこと」
「10:スマホをコマとして使い、音楽や写真で自陣を強化する事も可能。
読了した上での感想。
ちょっと
そして、固有名詞を『ベント』で統一してるのが
が、これでは
「これ、つまりボドゲか」
「そゆ
まだβ版だし、今回はコール無しにする?
それはあくまでも罰ゲーム的な要素だから、オミットしてもスポイルはされないし」
「エイトくん。
ギリ通じるけど、ちょっと気になる。
横文字ばっか使われてるから、当てられた?」
「ごめん。
モディフィケーションする」
「
前半はきちんと
そんなやり取りを挟みつつ、落ち着きを取り戻した
「今回のテーマは、ビル◯です。
理由は、昨日『ベストマッチ』言ってたらスイッチ入ったからです」
「あ、これ、あれだ。
赤楚◯二や犬飼◯丈だ。
ぐらんぶ◯、まほチェ◯観てた友達から教わった」
「知ってる&活躍してくれるの
「てかこれ全部、1年で出たの!?
そんな、カゴ満たされる感じで!?」
「1回しか出番無いフォームも、その商品化も今時、珍しくないから。
「切なっ!!」
「そう。
「合ってるけど違うパート2」
「とりま、早速やってみるべし」
「あいよ」
話が纏まったタイミングで、特に示し合わせずにジャンケンする二人。
「こん中から選ぶんよね?」
「サー」
「ってもなぁ。
まだ知らんから、分からんのよなぁ。
とりま、
こんなん最初から出されたら、控えめに言って打ち切り
「何?」
「な、
そして
よって、
ベストマッチ枠であり、劇中でエボル◯(究極体)を追い詰めた最終回フォームである。
しかし、これは失策。ここは、ジーニア◯エボルトを打ち倒したクローズ◯ルドを出すべきだった。
「金銀で
じゃあ、
そんで、こっちで攻撃だ!
えい、えい!」
ここに来て、まさかのラスボスの兄の登場。
劇中では肩透かしに終わった夢のシーンが今、こうして現実となった。
本当に未視聴なのか疑わしいレベルの攻撃である。
しかも、兄弟バフにより、
おまけに、ジーニアス◯ボルトにラビッ◯ドラゴンをキックさせる
敵ながら
これは、
「じゃあ……。
俺は、これ……」
これで、どうにか◯ルバスは切り抜けられる。
あとは、どうにかパーフェクト◯ングダム、プライ◯ローグ辺りを出し、この4人の並びが
つまり、
勝利の法則は決まった。
と、次の瞬間。
「
シックなのにしよーっと」
宇宙のあらゆる星を食い尽くすブラッド族の中でも選りすぐりの三巨頭の、まさかの揃い踏み。
とてつもない恐怖と、とんでもない興奮を覚えずにはいられない、激アツ展開である。
現に
最凶トリオとの最終決戦シーンが脳内再生され、そっちにしか意識が向けられない。
というか、これを計算無しで仕上げられる
ひょっとしたら
ガイア◯モリと使用者の
「……」
「いや、
スッと、
おまけに、これで4大ライダー勢揃い、形勢逆転は遠のいた。
ゲームにキャラ被りは付き物。
「……あははっ」
突然、
「
でも、それでも楽しい」
ゲームとはいえ真剣勝負中にも
「こんな風に、誰かと気楽に遊べたのも、羽伸ばせたのも、超久し振りで。
しかも、その相手がエイトなんだもん。
こんなん、楽しくない
それとも、
それにエイト、
もう、
感情と一緒に方言の出る
気付けば彼女は、無意識に心からの笑顔を浮かべていた。
心から楽しんでいる
かと思えば、
「でも!
エイト、まだ
どうせ昨日みたいにヘビーなの噛ましたくなくて、手始めにゲームでライトにレクチャーしようと画策したろ!
そもそも昨日だって、あの回をエイトが
で、それについてエイトが
そんな風に気ぃ回せる
もう
あんたが拒否っても、地獄の果てまで相乗りしてやるんだからっ!
だから、そのっ……色々いきなり覚悟されたし、おめーっこの!」
照れ隠しか、
彼女は夢にも思わなかった
一連の
裏で
「……ユーさん。
ちょっと、右手挙げて」
「え?
ほい」
「んで、ここに置いて」
「こう?」
これにより、
よって。
「てぇてぇカンスト、ダイレクト・アタック、クリティカル・ヒッ。
ウィナー。
ユゥゥゥゥゥイィィィィ。
ミヤシィィィロォォォォォ」
「
「いやー、見事な連携プレーでしたねー。
まさか、
相手プレイヤーも、
あれは、大人には余計に響く、実に強烈な一撃でしたねー」
「エイトが、壊れたぁぁぁ!?」
こうして、最初から最後まで無計画、無知、無垢に圧倒したまま、
本日のテェテーブル。
「ところで、これ、あんま動かんくない?」
「……そっちは、ソフビ。
安価で、倒れ
反面、塗りが浅かったりする。
特に背面」
「じゃあ、エイト的には、アクション・フィギュアの方が
「……そうでもない。
アクション・フィギュアは、とかく直立させるのが難しいし。
俺は基本的に、置いて飾ってるだけで満足するし」
「なるほど。
「……慣れ?」
「身も蓋もないな!!」
試合後に、そんなレクチャーを受ける
※
「エイトー。
相性診断と自己紹介も兼ねて、Q&Aやっぺしー。
互いに質問、出し合ってさー」
「やるー」
「んじゃ、こっちー」
「来たよー」
テーブルの上を片付け
言葉通り、
まさかの、クマのパジャマ姿で。
「……」
「ユーさん?」
「おめっごの……不意打ち、止めろ……」
「変だった?」
「大変、結構です……」
「なら
早く、やろー」
「おめー
「どうせなら、質問を書いた紙をシャッフル、裏返しにしない?
カードを引いて説明し合おー」
「話、聞げっごのぉ……」
調子の戻った
Q&A、スタート。
子供の頃の将来の夢は?
「「忍者」」
「カクレ◯世代だもんね」
「先生に、『立派な忍者になってね』って言われた」
「先生、優しいな!?」
好きなのは寒色? 暖色?
「暖色」
「
生活リズムは?
「「夜型」」
好きな動物は?
「「クマ」」
「デフォルメ限定」
「ヌイ限定」
夏休みの宿題は?
「サクッと倒すよ」
「以下同文」
「今の、デカイエローっぽい」
「ウケる」
好きな季節は?
「「春、秋」」
「過ごし易いもんね」
「寝るのに最適」
「それな!」
冬は?
「「辛い」」
「さては、ホワル◯2やったな?」
「ちな、かず◯派」
「
「料理得意だもんね」
「
言っとくけど、それだけってんじゃないかんな!?」
インドア? アウトドア?
「「インドア」」
待ち合わせは?
「早め」
「目的地関係無く、前乗りしてヒトカラしてたい」
「パワフルだな!?」
風呂は?
「「長め」」
物を買う時に重視するのは?
「値段」
「と、長持ちするか」
「あと色な?」
初デートで行くのは?
「『映画館』って言ったら、友達にドン引きされたんだけど、どう思う?」
「俺的には、
「なら
テンキュ」
「今度、連れてって」
「
カラオケに行ったら?
「「目一杯騒ぐ」」
「今度、行くか」
「
「そうだったな!?」
「ちな、どこの部屋も防音完備」
「至れり尽くせり!」
ヒトカラは?
「よく行く」
「よくやる」
「ここでな!」
推しコンビニは?
「「ミニス◯」」
「デザートもデリカも
「惜しむらくは、店舗数」
「それな」
推しスーパーは?
「「ザ・BI◯」」
「安さ最強」
もし当日いきなり遊びに誘われたら?
「相手と場所と内容によるけど、行くと思う」
「ユーさんの誘いなら、光の速さでダッシュさ」
「
どの空が好き?
「星空」
「夕空と青空も捨て
「
「質問の意味っ!」
「ほぼ毎日、お喋りしてそう」
「
「トモコイ以上シンエン未満。
略して、『トコシエ』」
「ピン・ポイントに
「
「そういや、まだだった!」
「の前に、ダウンロードせんと」
「いや、持っとらんのかーい。
あ、
今度、友達と同僚のID、改めて教えて
「ねぇそれ、別れた恋人の私物やプレゼント全部捨てる感覚?
気持ち分かるけど、とんでもない
バック・アップすら残してないの?
まぁ、それはそれで、ダメカワだけど」
「なお、家族のIDは聞かない」
「聞いたげて。
後で
あと、通話代かかるから。
おかねだいじに」
スマホの機種は?
「a◯」
「エー、ユー」
「あいさつするたび、ともだちふえるの?」
「そういや、俺達の名前足すと、『エイユウ』になるね」
「ホンマや!」
使ってるスマホは?
「「Andr◯idのフォアダブル」」
よく行く電気屋は?
「ヤマー◯電機」
「安いもんね」
家での過ごし方は?
「「まったり過ごしたい」」
休日は?
「エイトの特撮講義受けたい。
特撮講義、略して『トッコウ』」
「
俺も話したくてウズウズしてる。
録画したの編集してるから、楽しみにしてるが
「あり!」
「どう」
下ネタ得意?
「AVもろとも、度が過ぎるのは、この世から滅べば良いと思う」
「同意」
「ホラグロとBLも苦手」
「右に同じ」
和食、洋食、中華どれが好き?
「「イタリアン」」
好きな食べ物は最初? 最後?
「「最後」」
酒は?
「弱いし、
「また酔ってたら、俺が拾いに行くよ」
「廃品回収みたいな言い方すんな。
そんなに間違ってないけど」
甘党? 辛党?
「「甘党」」
たい焼きは何派?
「「チーズ」」
「大成苑、マジ最強」
「石巻民で良がっだぁ!」
大判焼きと言ったら?
「「クリーム」」
好きな中華まんは?
「「ピザまん」」
好きな寿司は?
「「炙り焼きチーズサーモン」」
「いや、
「
ケンタと言ったら?
「「ビスケット」」
マッ◯と言ったら?
「スイートフロマージュ」
「ソーセージマフィン」
「あれコスパ最強よな」
「学生時代、めちゃお世話になった」
「分かる」
ポテトと言ったら?
「「カラオ◯合衆国」」
ちょっと奮発するなら?
「「びくド◯」」
よく行く回転寿司は?
「「く◯寿司」」
よく行くバーガー屋は?
「バーキン」
「最近、仙台に
「今度、一緒に行くべし」
「異議無し。
ちなみに、
石巻にもあるし」
「あるのウケる」
唐揚げにレモンは?
「「かける」」
好きなドリンクは?
「レモネード」
「クラフィティー一択」
好きなドーナッツは?
「「チョコファッション」」
好きなおにぎりは?
「「ツナマヨ」」
少食? 爆食?
「めちゃ食べるよ!」
「腕が鳴る」
「
「相手に、なる」
「綺麗に落ちた!」
好きなポテチは?
「エイトが昨日、作ってくれたの!」
「実は今日も、ここに用意してたり」
「ゴチ!」
好きなキャンディは?
「夏季限定の炭酸系」
「アメレオン」
「何それ?」
「色だけだと味が分からないキャンディ。
コーラ、ソーダ、メロン・フロート、レモン、オレンジ、アップル、グレフル味の7種類」
「それ、どこの?」
「
「おめーどごまで最強なの?」
好きなポップコーンは?
「バター醤油」
「イオ◯のジャガバター」
「それ同じ味だし期間限定」
「映画には欠かせんよね」
「ポテトとナゲットとナチョスとホット・ドッグとサンドとチュリトスとクレープもな!」
「モノスゲーイ」
好きな映画監督は?
「新◯誠」
「原◯一」
「誰?」
「クレし◯の戦国やオトナ帝国の人」
「なる」
入ってるサブスクは?
「
「多いな!?」
「安価なのばっかだし。
あと、キャストでモニター繋げてるから、ユーさんも自由に観て
「スマホのプラン目じゃないレベル。
仕事もだけど、エイトの家事力のお陰で余裕
「アマフラかネトフレ入って
「どっちも加入して全お前を助けちゃる」
「ああーー。
ぎょふのり。ぎょふのりーーー」
「微妙に意味、違わない?」
「言いたかっただけ」
「左様か。
良かったな」
「ん」
好きな番組は?
「トリビア」
「どっちの料理でショー」
「ホットサンド回好き」
「作って来る?」
「エイトも好き。
あと、ゴチです」
好きなジャンルは?
「「ラブコメ」」
好きなアーティストは?
「阿部 真◯」
「高◯ 優」
「似てんな!? 路線!」
「ロックとバラードの二刀流」
好きな漫画雑誌は?
「「ミドジャン」」
ガッシ◯で好きなのは?
「「テッ◯とウォンレ◯」」
キヨ◯グ? キヨ◯ズ?
「キヨ◯グかなぁ」
「高校時代、キヨ◯グ小説読み漁ってたわ」
「俺も」
ワンピー◯で好きなのは?
「「アラバス◯とCP◯」」
でびあく◯は?
「
「ジョ◯も
「セブン◯ーも
「ところで、◯びあくまの声の主、誰か知ってる?」
「胡蝶さんと、リゼ◯のレ◯やってる二人。
前者はナレと母親、後者は主人公と掛け持ち」
「
「マジなんだなぁ、これが」
アドベンジャーズで好きなのは?
「あんま知らんけどスパイダーかな?」
「俺、小学生の頃、格ゲーでスパイディ使い
「何それ
「スパイディは、最新映画神ってたから、今度紹介するわ」
「よろ!」
好きなポケモンは?
「ヒメグ◯」
「リング◯にはしない」
「その通り」
嫌いなポケモ◯は?
「バシャー◯」
「サラッとネタバレ噛ましたコロコ◯、今でも恨んでる」
「アチャ◯の進化系なの隠した上でな」
ポケモ◯、どこまでやってた?
「「ダ◯パ」」
ポケス◯といえば?
「ベロリン◯の回転寿司」
「寿司も多いな、今日!」
ファミス◯といえば?
「「雪合戦」」
スーパーモンキーボー◯といえば?
「「モンキーファイト」」
クラッシュ・◯ンディクーといえば?
「「カーニバル」」
サルゲッチ◯といえば?
「3」
「サルバト〜レ」
スイッ◯で遊ぶのは?
「スマブ◯」
「アルティメットチキンホー◯」
スーパーマリ◯RPGといえば?
「「ばくれつカブトムシ」」
エアライ◯といえば?
「「ヨコライ◯」」
キン◯ーの推しは?
「ロクサ◯」
「スマブ◯にソラ来た時、ヤバかった」
「なー」
初めて自分で買ったゲームは?
「グレイセ◯」
「からのハー◯、イノセン◯」
「分かり味」
「◯レイセスは、バトルも神」
「同意」
と、こんなノリでQ&Aを終える二人。
互いの相性、趣味趣向の一致具合を再確認した二人は、そのままゲームやトッコウなどで、仕事に差し支えない範囲で、賑やかに夜を明かすのだった。
余談だが。
七色の声と演技力と歌唱力と神ボイパと超合金製の喉を併せ持った
※
「……だから、この件は
確実に、
自分が今、どういう立場に置かれてるのか。
どれだけ、
しようとしたら、休憩室前で不測の事態に陥り、出端を挫かれる。
自分の身の回りは依然として、根本的な改善はなされていない。
クリアすべき課題が、まだ山積みだった
恨まれても
それを思い知らされ、思い出させられ。
自分の無力さ、無頓着さ、厚顔無恥さに押し潰され、
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