第85話 燈火ダークサイド
「ダンジョンを攻略……?」
「ええ、そうです」
「それがどうして効果的なんだ?
今までと変わらないじゃないか!」
「ほらほら、結論を早急に迫るのは君達の悪い癖ですよ。
まずはわたしの説明を聞いてからでもいいでしょう?」
「確かに」
「ショウちゃんは昔から熱中すると人の話を聞かない悪い癖があるね」
「うぐっ。
……ならばアリシア、教えてくれ。
何故ダンジョン攻略が俺の力を役立たせるのにもっとも効果的なんだ?」
「それはね、君という存在の特異性にあります」
「特異性?」
「そう。
狭間君……君は兆しなのですよ」
「兆し?」
「ええ。
君という存在は業魔にとっても我々にとってもウイークポイントになりえます。
どうしてだか分かりますか?」
「いや」
「業魔は次元を超え侵攻する際、莫大な力を消耗します。
何より広大な銀河の中でピンポイントで侵攻先を特定しなくてはならない。
そこで奴等が行うのはマーキングです。
侵攻先の人族に擬態し交配する事により自らの血を混ぜる。
いうなれば業魔の血は同族を招く闇夜の燈火。
こうすることにより世代を超えた侵攻が可能になるのです。
それゆえ君という存在、業魔の血族は我々にとって悩みの種です。
いくら地球全域を護ろうともあなた方がいる限り隠し通せないのですから」
「ショウちゃんが……業魔の血族?」
「馬鹿な……
ショウは誰よりもダンジョン攻略に真摯だというのに」
「勿論、血族だからとはいえ悪しき存在に成り果てる訳ではありません。
我々も各国首脳部にそこは強く通達してます。
魔女狩りのような事態だけは絶対避けるよう。
もしそうなればオーバーロード側は全面的に援助を打ち切ると。
さすがにそれは堪えたのでしょう。
各国の動向は静かなものです。
散策するような動きがないのは却って不自然ですがね。
さて、話を戻しますよ。
業魔の血族は我々にとっての悩みの種と言いました。
それでは業魔にとっての不都合とは?
それが君のような存在にあります」
「俺の?」
「そうです。
通常、業魔の血族……遊び人がクラスチェンジを行うと賢者になります。
これは業魔本来の力に目覚めるからです。
その力は強大ですが常識の範疇に収まります。
ですが稀にクラスチェンジを経て唯一職を開花させた者が出始めました。
彼らは一様に類い稀なる力と特性を持つ。
さらには死に対し異常なほどの耐性を所持している。
何故だと思います?」
「……まさか。
その条件に当て嵌まるのは……」
「そうですよ、狭間君。
それはね、その者が貴種……業魔側の勇者だから。
つまりダークサイドの神になり得る器だからなんです。
だからこそ奴等は躍起になって君を仲間にしようとする。
あるいは秘められた魂を回収しようとする。
何故なら唯一職という存在は人族にとっても燈火なんです。
君という存在に呼応するように周囲の人達を唯一職に目覚めさせる。
超越者に、業魔に匹敵する存在に覚醒させる。
狭間君、君という存在はね……
毒薬にも良薬にも……
人類の希望にも絶望にもなりえる存在なんですよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます