第80話 質問ジョブタイプ


 奇縁に恵まれた(?)結果――

 もう一人の勇者である関城とパーティを組む事になった。

 職場である工房へ向かうレイカさんが意味深な笑みを浮かべてたのが気になる。

 まあ宣言してしまった以上悩んでいても仕方あるまい。

 何はともあれ――

 杜の都が抱える三人の勇者の内、実に二人が俺のパーティ内にいる。

 状況的には最強と言ってもいい布陣。

 だが、俺はこいつの実力を知らない。

 探索者証を交えパーティを結成した後、まずその事を尋ねてみる事にした。

 前衛型。

 後衛型。

 サポート型。

 特技特化型。

 付随するタイプが違うと、クラスはまるで別の【職業】の様に変容する。

 どれが正解という訳ではない。

 パーティ内にあった役割を果たせるか否か。

 己が使命を全うできるか。

 それこそが探索における最優先事項だ。

 円滑な探索及び戦闘を行う為に確認すべき事は多岐にわたる。

 なので酒場の個室を借り、弟子入り宣言後から上機嫌な関城へと質問する。


「なあ、関城」

「ういっす。

 何すか、師匠」

「おい、なんで師匠なんだよ」

「アニキに弟子入りしたから当然っす。

 今日からアニキはオレの師匠なんですから。

 誠心誠意、敬うっすよ」

「何だかむず痒いが……

 まあ、呼び名はそれでいいや」

「さすがっす」

「語尾うるさいな。

 それでだな、関城。

 お前って勇者としてはどんなタイプになるんだ?

 戦闘に長けた前衛型か?

 特技で支援するサポート型か?

 専属魔法を扱う後衛型もあるが」

「そのカテゴリーで言うと、オレは特技特化型。

 いわゆる魔法戦士タイプっすね」

「ほう……特技特化型か。

 コノハと一緒だな」

「そうなんすか?」

「……ああ。

 コノハは何故か僧侶系最終奥義である自己犠牲自爆呪文系の特技特化型でさ。

 並み居る強敵を悉く爆破してきた」

「ショウちゃん……話盛り過ぎじゃない?」

「いや、大本は間違ってないぞ。

 まあコノハの例で分かる通り、特技特化型は性能がピーキーな分ハマると凄いっていうのが特色だな。

 差し支えなければお前の特化特技を教えてもらっていいか?」

「勿論っすよ

 師匠に隠し事なんざしませんて。

 オレの特技、それは――」

「それは?」

「スライム魔法っす」

「……え?」

「唯一職と並び立つもう一つの極致、【唯一業(オンリーギフト)】。

 世界でオレにしか使えない特技――

 それがスライム魔法っす。

 どんな敵もぬるぬるっすよ」


 嬉しそうに親指を立てる関城。

 それを見て、ああこいつはマジ天然なんだな~と再度俺は実感する。

 ――っていうか、いったいなんなんだよスライム魔法って。

 スライムを召喚するのか?

 スライムをぶっかけるのか?

 それともお前自身がスライムになることなのか?

 爽やかな笑顔で語る関城を前に、俺は頭を抱え突っ込みたくなるのだった。






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