第2話 解説ナレーション


 ――時は遡る事、17年前   

 世界各所を襲った大災厄。

 それが<魔震>こと【ダンジョンクエイク】である。

 震度6強に匹敵する地震後に出来た魔の巣穴。

 そこからあふれ出た業魔(モンスター)に人々は蹂躙された。

 無論各国もこの緊急事態を傍観していた訳じゃない。

 すぐさま軍隊を派遣し、収束を図ろうとした(※1)。

 だが――

 奴等には、通常兵器が通用しなかった。

 対人では強力無比な銃弾、ミサイル、各種化学兵器。

 これらが効かない……殺せない。

 無論、ダメージは受ける。

 身体を傷つけ――足止めする事は出来る。

 しかし時間が経つと奴等は徐々に復元してしまうのだ。

 様々な方法が試されたが……

 いかなる手段を以ってしても、奴等を【滅ぼす】事は叶わなかった。

 追い詰められ、絶望する人類。

 そんな時、人々にもたらされたのが全人類を対象とした【天啓(レベレーション)】であり【天恵(ランクアップ)】である。

 神とか超越者とかオーバーロードと呼ばれる存在達による思念伝達。

 即ち――


 業魔とは異界からの侵略者である。

 我等は奴等に敵対するものである。

 直接世界へ干渉することは規則により禁じられている。

 されど――汝等が望むならば戦う力を与えることはできる、と。


 無論皆は力を望んだ。

 そこで得たのが【職業(クラス)】だ。

 天啓を受け、天恵を望んだ者たちが得た力。

 身体能力の向上、各種の耐性付与。

 何より位階値(レベル)と呼ばれる魂の昇華。

 これを得た者たちだけが業魔と戦う力を持つ――奴等を滅ぼせる。

 とかく17歳になった者たちが自動的に得られる、ゲームに準じたようなクラスの数々(※2)。それは一般人が得られるクラス比べ、比類ないほど強力だった。

 これらを踏まえ各政府は17歳を迎えた者たちへの徴兵権を発動。

 有能なクラスを得た者に対し、本人の望む・望まないに関わらず、強制的に業魔と戦う義務を負わせた。

 反対する者はいなかった。

 何故なら業魔に侵略された地はある期間が過ぎると異界化する。

 異界化した地は人間が住めない魔の世界になり果てる。

 だからこそ異界化を成す基準点であるダンジョンに潜り、核となるコアを砕く。

 そうすればそこはまた通常空間へと復帰するのだ。

 世界の趨勢を賭けた壮大な陣取り合戦――

 戦いは終わりを告げることなく……未だ続いていた。






※1

 ちなみに一番動きが早かったのはアメリカである。

 さすがはゾンビものなどに代表されるモンスターパニックの本場。動きが早い。

 反対に最後まで後手に回ったのはニホンである。

 武力行使を前提とした自衛隊派遣という事で世論を含め国会が揉めに揉めた。

 派遣まで莫大な犠牲者が出た為、現在の政界は主戦派が多くを占めている。


※2

 一般人が得られるのは【村人】や【商人】などに対し、17歳になった者が得られるのは【戦士】【射手】【術師】など強力なスキルを持つものばかり。

 こと戦闘力に関してもその差は歴然である。

 余談だがニホンは何故か有名RPGの影響が大きい。

 関西は〇F系、関東~東北はD〇系。北海道は何故かW〇Z系。

 ユーザー数の多さでなく、集団無意識的な作用が働いたとか何とかが理由ではないかと学会では論じられている。

 逆に欧米はFPSやリアルファンタジー系が多く、派手な殲滅魔法を扱えるクラスはかなり重宝される。





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