第16話 悠坂君と…お母さん。
あ、じゃあちょっと自己紹介しようかな…と悠坂君はいった。
えぇっと名前はーいったか。あ、ちなみに俺卓球部。まぁいろいろあって入院した。他にはーないかな。よろしく。
悠坂君も卓球部だったんだ。
次は何話そうかなーと考えている時にさっきの看護師の末永さんが由菜ちゃーんと呼ぶ。あ、ちょっと待っててーと言って松葉杖を持って廊下の方に出る。そしてこれー倉岡 由菜に渡してくださいって言われたんだよねー。50代くらいの方かなぁ。すっごい顔、綺麗だったよー。と言って白い封筒を渡す。じゃあねーと言って廊下を小走りして去っていく。その瞬間背中にぞくっとしたものが走った。封筒に目を移した瞬間なぜか私は確信した。これ、お母さんからだ。
病室に帰り封筒を開けてみる。今までお母さんの字とか見たことないから変な感じ。封筒を開けると同時に気を遣ってか悠坂君は病室を離れてどこかに行った。
由菜へ
この間は本当にごめんなさい。お父さんが急に出ていってわたしも混乱していたの。本当に辛くて…ごめんなさい。許して。
実はカウンセリング受けました。心もだいぶ軽くなりました。今度由菜の病室に顔を出してもいいかしら。その時にでも話したいことがあるの。お返事待ってます。
由菜の母より。
…こんなのただ言い訳してるだけじゃん。ただ謝ってるだけ。そのくせ許せって?意味わかんない。
涙が出てきた。この涙の意味していることが自分にもわからない。
封筒をぐちゃぐちゃにしてゴミ箱に投げ入れた。
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