「怜奈、聞いてくれ!」



 俺は慌てて怜奈を追い、まるで逃げようとするその腕を掴む。そして――もうここまで来たら引き返せない。俺は勢いに任せて言う。



「怜奈……俺は、お前のことが好きだ。ずっと昔から……」




 怜奈の顔を見る。が、怜奈は何も言わず、こちらと目も合わせない。苦しげな顔で床を見つめているだけだ。だから、俺は語を継ぐ。



「お前は……俺のことをどう思ってるんだ?」


「……ごめんなさい」




 怜奈は絞り出すような声で言った。



「今は何も……言えない」


「……? どういう意味だ?」


 


 怜奈の腕から手を放して尋ねるが、怜奈は何も答えない。黒髪から覗く小さな耳を真っ赤にして、しかし顔は悲しげに俯いたまま。


 


 『今は何も言えない?』。それは……いま何か悩みでもあって、愛だの恋だの考えていられる状況じゃないということだろうか? それとも、俺とそんな関係になることが想像もできなくて、混乱して何も言えないということだろうか?


 


 もし何か悩みを抱えているなら……俺なんかで役に立つか解らないが、というかどうやらフラれた後に相談相手になれるのか解らないが、ここは一つ、悩みがあるなら聞くと提案してみようか?



 Which would you choose?


 Yes. / No.























 Yes:⑧へ。


 


 No:⑨へ。

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