交渉

 ――イルミナス セントラルタワー 四十階 コートヤード級選手用宿泊室――


「さて、何から話したものですかね」


 自室に戻って来てから暫し。何をするでもなくリビングのソファーに腰かけていると、重苦しい空気の中、そうシャロが切り出した。それはきっと、エラさんの言っていたこと、そしてバレルさんに関係することなのだろう。あの後、本当はすぐにでも全てを聞きたかったというのが本音だった。けれど、去り際のバレルさんのあんな様子を見てしまっては、私にはどうしてもそれを詮索しようという気分にはなれなかったのだ。


「あの、でもシャロ、私に話しても良いの?」

「まぁ、私の口から話でも良いことだけに限りますが。雫は、SVOという教団を知っていますか?」

「……うん。私もWEフォースだったから、少しくらいは」


 従い捧げる祈祷室 “Sequereセクゥェレ Vowヴォウ Oratoriumオラトリウム”。通称SVO。


 構成人数、活動拠点、教団の詳細な目的に至るまでの全てが不明。現在分かっていることは、南極に開いた異世界の存在を信仰している団体ということだけ。


 その存在が確認されたのは、今から凡そ百五十年前。かつて彼らは世界に向け、『地球上の全てを異世界の存在に差し出すべきである』と宣言する。それ以降、世界各地で大規模な破壊活動を行っている、世界最大級の反社会的組織。SVO構成員の最大の特徴として、全員がアンヴァラスと同様に神威を行使することができるということ。またその力を行使している為か、今日まで世界のあらゆる組織の調査能力を以てしても、普段どこへ潜伏しているのかを突き止めることができていない。しかし一度活動を開始したならば、彼らは人類に対して確実に、それも甚大な被害をもたらすとされている。


「でも、そんなSVOとバレルさんに、一体何の関係が?」

「バレルはある理由から、SVOの構成員、つまり“狂信者”に強い恨みを持っているのですわ。詳細は省きますが、私とバレルが出会う少し前、あの男は当時、騎士連合内部で活発に活動していた狂信者たちを相手に、復讐者紛いのことをしていたらしいのです」

「復讐、者……」

「ジャンポールへ来てからはそんな様子を見せてはいなかったのですが……さっきの様子を見るに、あの男も、過去を全て払拭することができたという訳ではないのでしょう」

「そしてエラさんは、そのSVOの情報を持っている……」

「えぇ。つまりエラはその情報を餌に、バレルと戦おうとしているということですね」

「……でもそんな、そんなのっておかしいよ。だって、エラさんだってバレルさんの過去を知っているんでしょう? 二人は仲間で、だったらそんな、取引なんて……」

「仲間、ですか。正直に言えば、エラが私たちのことをどう思っているのかは分かりませんわ。さっきも言いましたが、彼女の興味の対象は全てが戦いに向いていて、それ以外は全てが些末さまつなことなのかもしれませんし」

「そんなのって……」

「それに私としては、その話をバレルにしないでほしいというのが本音ですね」

「それは、どうして?」

「SVOの狂信者を相手にするなんて、一リベレーターには荷が重すぎますわ。あんな連中、関わらないでいられるならそれに越したことはありませんから」

「SVOの狂信者って、そんなにも危険な存在なの? 私は直に見たことはないけれど、アンヴァラスの方がずっと危険なんじゃないかなって、そう思うんだけど」

「一概に、どちらの方が危険とは言えないでしょうね。ですが、人の形をして、人を最も理解した存在が神威を行使するからこそ、ある意味アンヴァラスよりも危険視されるのかもしれませんわ。いえ、例え神威を抜きにしたって、バレルはもうSVOとなんて戦わない方が良いに決まっているのです。だって……」

「…………、シャロ?」

「いえ、この話はもう良いですわ。それにありきたりなことを言うならば、復讐なんてやったところで、結局何も残らないでしょうから」


 数か月前、日本であの事件の実行犯の一人、粕谷かすがいに四発の銃弾を撃ち込んだときのことを思い出す。シャロの言う通りだ。みんなの敵と称して私はあんなことをしたけれど、気分が晴れることも無ければ、当然、死んだ人たちが帰って来る訳でもない。あのとき私に残ったのは、空の銃と、ただ虚しい気持ちだけだった。だけど、それでも――。


「この話はこれくらいにしましょう。そうですね、では話題に上がったオルター・ハーランの話をしましょうか。とは言え、私も聞きかじった程度のことしか知らないのですが――」


 オルター・ハーラン。天の柱ライトロード蒼の彗星ブルーテイル白騎士しろきしなどと様々な異名を持ち、純白の騎士鎧の下にある素顔を見た者は誰もいない。人類最強、人類最優と称されるリベレーターにのみ冠せられる称号、ゼニス。更にエラさんの話を信じるならば、その中でも序列位階暫定一位という、途方もない実力者だと言う。


 最大級アンヴァラスの単独討伐。全世界三か所のロストグラウンド攻略、及び数多のルート開拓。未発見遺跡の発見多数。そのどれもが偉業と言って差し支えようの無い実績だけれど、オルター・ハーランの本質は他にあると言われている。


 狂信者殺し。世間に対する評判を落とさない為、あまり公になっていないその異名の通り、彼は世界で最もSVOの狂信者を殺傷したリベレーターとして認定されている。またその実績こそが、ゼニスに抜擢ばっすいされた最大の理由であるのだそうだ。


「でも、エラさんはどうしてそんな人と知り合ったんだろう」

「さぁ、彼女はあまり過去を語るタイプではありませんから。事実私もエラとオルター・ハーランが知り合いだという話は、さっき初めて知りましたし」

「あの、エラさんには失礼だとは思うけど……それが嘘ってことはないのかな? つまり、バレルさんと戦う為のさ」

「恐らくそれはないでしょう。エラも言っていた通り、彼女は嘘を吐くのが苦手ですから。もしもそれが嘘だったなら、私もバレルもすぐに気付いていた筈ですわ」

「それじゃあ、バレルさんはまだ恨みを忘れられなくて、だからSVOの信者の情報に繋がりそうなオルターさんの情報を求めて……」

「そうなのでしょうね。全く、もう百年も前のことだと言うのに、いつまでも過去を引きずって……」

「えっ、百年? それって、どういう――」


 疑問を口に出そうとしたそのとき、リンゴーンと、部屋に来客を知らせるチャイムが鳴った。


「あれ、バレルさん? 部屋の鍵を忘れたのかな?」

「……いえ、この感じは――」


 不思議に思っていると、リンゴーン、リンゴーンと間を置かず、何度も急かすようにチャイムが鳴らされる。


「えっ、な、なになに⁉」

「……ハァ。出た方が良さそうですね。このままでは、ドアを破壊されかねませんから」

「は、破壊⁉ そんな、嘘でしょう⁉」


 シャロの言葉を鵜呑みにした私は、慌てて玄関へと向かい、訪ねて来た相手を確認もせずに鍵を回し、ドアを開けると――。


「……この私をこんなにも待たせるなんて、なんとも不敬極まりないことですね。あと一歩遅ければ、このドアを破壊しているところでしたわ」


 そこには、斧槍を低い体勢で構えるパトリシアさんと、傍で控える一人のメイドの姿があった。


「えっ、ちょ⁉ な、なんなんですか、突然⁉」

「こんな所で私に立ち話をさせるつもりなのかしら? 全く、田舎者は無知で礼儀も知らないのですね」

「……えぇ……?」

「礼儀知らずはお前の方だ。人の部屋のドアを破壊しようとしておいて、他人に礼儀の在り方がどうのと言えた義理か」

「シャ、シャロ⁉」


 気が付くと、気配も無いままシャロが私の背後に立っていた。しかもシャロの手には、パトリシアさんの位置からは見えないようにナイフが握られている。このひりつく空気の中、次の瞬間には争いが始まってしまいかねないこの状況に、板挟みにされた私はとても気が気じゃなかった。


「相変わらずの、口の悪さですわね、シャーロット・チョークス。…………ッ、とりあえず、中へ入れもらっても、よろしくて?」

「要件を言うのが先だ。敵対しているやつを懐に入れてやる程、私は寛容かんようではない」

「……敵意はありませんわ。それに、以前のようなことはしないと誓います……。だから、お願い……話を聞いて、ちょうだい……ッ……」


 そう言ったパトリシアさんは苦悶の表情を浮かべ、よろけて倒れそうになるのを近くで控えていたメイドに支えられる。外から見た所、怪我をしているようには思えないけれど、もしかすると、エラさんとの試合の際にどこか痛めたのだろうか。


「分かりました、中で話しましょう」

「ッ――、……雫……?」

「良いじゃない、何もしないって言ってるんだし。それに、そんな状態じゃあさ……」

「…………、私は雫の意志を尊重する。感謝するんだな」

「……フン。こんなことでくらい、いちいち礼は言いませんわよ」



 ***



「あの男は、バレル・プランダーは留守なのかしら?」

「お前には関係無い。さっさと要件を話せ」

「もう、シャロ!」

「…………」

「ま、良いですわ。これから言うことさえ伝えておいてさえもらえれば」

「先に言っておくが、他の闘技者たちの百倍の報酬を支払うと言ったところで、私たちはお前のモノとやらにはならないぞ。それだけは例え雫がなんと言おうとも、絶対に変わらない」

「……今更、貴女たちを金銭でどうこうしようとは思ってはいませんわ。とは言え、それで済むなら、こちらとしても楽だったのですが……。最初に釘を打たれては仕方がありませんわね。では本題を言いましょう。あなたたちノーバディーズに、エラドゥーラ・バルカニコを打倒してほしいのです」

「えっ、どういうことですか?」

「そのままの意味ですわ。あの女を倒し、貴女たちにコートヤードのクラスマスターになっていただきたいのです」

「あの、えっ……どうして、私たちに?」

「…………、今の私には、あの女を倒す術が無いからです。それは勿論、コートヤード内で抱えている私兵の全てを使ったって、とてもどうにかできるものではありませんわ……」

「さっきから気になっていたんですけど、私兵って、まさか……」

「これは内密にしていただきたいことなのですが、このコートヤードの闘技者チームの大部分は、私が雇用している非公認の私兵なのですわ」

「あぁそっか、前に言っていた私のモノって、そういう……。でも、どうしてそんなことを?」

「この女は自分の脅威になりそうな相手に自分の手駒をけしかけて、裏で他の闘技者を消耗させるようにしていたのです」

「そ、そんなことをしていたの⁉ えっ、それじゃあもしかして……私にも?」

「えぇ。都合六度、私の子飼いにしている私兵をぶつけさせてもらいました。尤も、全員が全て一撃で瞬殺のストレート負け。結果的に、私は却って貴女を調子付かせることになってしまったのでしょうが」

「耳触りの良いように言うな。それに、お前たちがやっていたことは、それが全てではないだろう」

「その通りですわ。ですが、そっちは雫雨衣咲さんに接触する前に、全て貴女一人の手で全滅させられたと聞いていますが?」

「開き直るな、少しは悪びれたらどうなんだ」

「……シャロ? どういうことなの?」

「……試合が終わってからの道中、かなりの人数が私たちのことを……いえ、雫を狙って襲撃を仕掛けようとしていた者たちがいました。それもまた、この女の差し金だったのです」


 試合が終わってからの道中に、襲撃? いや、全くそんな覚えは無い。だけど今、シャロが言ったことは当のパトリシアさん自身が認めているようだし。


 ………………。


 まさか、試合が終わった後にシャロの姿が見えなかったのって――。


「もしかしてシャロ、私の試合が終わった後に……いつも?」

「……はい」

「……そんな。…………ッ、どうして言ってくれなかったのさ⁉」

「その、雫に余計な心配をさせまいと……」

「…………、そこまでするんですか、パトリシアさん。そんなことまでしてクラスマスターの座を守らなくちゃいけない理由って、一体何なんですか⁉」

「さぁ、なんだったのでしょうね。クラスマスターの座から転落した今の私には、どんな理由があったのかなんて、もう分からなくなってしまいましたわ……」

「……話を戻しますが、もしも仮に私たちがエラさんを倒せたとして、そのあと、パトリシアさんはどうするつもりなんですか?」

「当然、今までと同じ方法で、再びクラスマスターに返り咲いてみせますわ。あの女は小細工が通用するような相手ではありませんが、貴女たちくらいならば、やり方次第でまだ私にも勝算がありそうですから」

「……もしも、私たちがエラさんに勝てなかったら?」

「正直に言えば、勝てなくても構わないのですよ」

「勝たなくても、良い……?」

「貴女たちとあの女が戦えば、どちらが勝っても双方とも消耗は避けられない。ならば私は、消耗して弱った方を叩けば良いだけのこと。加えて言うならば、貴女たち程度ではあのエラドゥーラ・バルカニコをどうにかできるとは思っていない、というのが本音なのですが」

「――ッ‼ ふざけ――」

「なんだ、随分と盛り上がっているじゃないか。どうせなら俺も混ぜてくれよ」


 声を張り上げようとしたそのとき、突如私たちの後ろから声を掛けられる。ハッとして声の方を向くと、そこにはいつの間にかバレルさんの姿があった。


「バ、バレルさん⁉ いつからそこに……」

「少し前さ。別に最初から聞いていた訳じゃないが、まぁ、今まで何を話していたのかは概ね察しが付く。要するに、俺たちとエラを戦わせて、横から漁夫の利をかっさらおうって算段なんだろう?」

「フン……本当はいつから盗み聞きをしていたのかしらね」

「お前の考えそうなことくらい、何も知らなくたって大方想像がつくってもんさ。その話、受けてやっても良いぜ」

「……なんですって?」

「なっ⁉ ど、どうしてですか⁉ どうしてそんな、パトリシアさんの言うことなんかを⁉」

「…………」

「どうした、折角そっちの話を受けてやるっていうんだから、もう少し嬉しそうな顔をしろよ」

「何が目的なの? あれだけ私の誘いを断っておきながら、まさかこの期に及んで、金銭を要求するつもりではないでしょうね?」

「あぁ、とりあえず金については間に合っている。だが当然タダじゃない。俺の提示する条件をそっちが呑むってんなら、こっちも素直にお前の話を受けてやるよ」

「その条件とは?」

「クラスマスターの地位から転落したお前たちは、現在コートヤードの一般闘技者として登録されている筈だ。なら試合のエントリーは自由にできる筈だろ。つまり――」

「あなたたちは現在アリーナ戦で九勝中。クラスマスターへ挑戦する為にはあと一勝が必要ですから、その分を私たちとの試合で埋めようと。つまりはそう言うことですわね?」

「その通りだ」

「なるほど。こちらの条件の呑む代わりに、八百長試合をしろ、と……。良い趣味をしていますわね。それは私たちに対する意趣返し、ということになるのかしら?」

「勘違いするな、誰が負けくれなんて頼んだよ。お前たちには本気で、それも万全の状態で戦ってもらわなくちゃ意味が無い」

「はっ……? 一体、何の意味があってそんなことをしろと言うの? 試合に出てわざと負けろと言われた方が、まだ納得もできるというものですわ」

「深い理由なんて無いさ。ただ俺が求めているのは、万全の状態のあんたと戦うことだけ。ちなみに今の所、俺とシャロが出場する予定は無い。雫だけでお前たち全員を相手にする予定だ」

「……バカバカしい。そんな与太話を、この私に信用しろとでも?」

「別に信用しなくたって構わない。ただこの条件を呑めないって言うなら、今の話は無しだ。エラドゥーラ・バルカニコは自分でどうにかするんだな」

「……一つ聞きたいのだけれど、貴方、どうしてここへ来たのです?」

「ちょっと小遣い稼ぎに来ただけだよ。別にクラスマスターの称号なんかには興味は無いが、使いきれない程の大金も必要無い。小市民として満足できるだけの小銭を稼いだら、最初からすぐに帰るつもりだったってだけのことさ」

「…………、少し、時間をもらっても良いかしら?」

「あぁ良いよ。どうせその状態じゃ、すぐには戦えないだろうからな」

「キーツ、行きますわよ」

「はっ」


 そう言うと、二人は立ち上がって、静かに部屋を後にする。



 ***



「バレル、貴方はまだ、SVOのことを諦めてはいなかったのですか?」

「そんなんじゃないって。それにエラからSVOの情報を聞き出したって、突然事務所を飛び出していなくなったりはしない」

「その言葉が嘘ではないという根拠は?」

「なんだよ、今まで俺が嘘を吐いたことがあったか?」

「それはもう、数えきれない程に」

「まぁ、それもそうだな。だが、こいつはチャンスだと考えられないか。消化不良のまま終わりそうだった雫の試験、一番の目標だったパトリシアとの対決が実現しそうだってんだから」

「……まぁ、そうですが……」

「だろう。どうにかしてあいつを試合の場に引きずり出せないかとは考えていたが、まさか、向こうから先に交渉を持ちかけに来るとはな。こいつは面倒事が省けて、ラッキーだったぜ」

「待って下さい、話がすり替わっていますわ。雫の試験の為にあの女と戦うのは良いとして、それならば別に、バレルがエラと戦い必要は無いでしょう。あの女との戦いを終えたなら、約束を反故ほごにして、さっさと帰れば良いではありませんか」

「おいおい、それならエラのやつはどうするんだよ。ここへ置いて行くのか?」

「それは……」

「こっちの用が済んだから帰るって言ったって、ああなっちまったあいつは、自分の要求が通るまではテコでも動かせないぞ。それとも、他にあいつを説得することのできる交渉材料にアテがあるって言うなら、俺だってそっちの方が良いとは思うがね」

「……ありません……」

「そうだろ。あいつにももう随分と休暇をやったんだ。そろそろ帰って来てもらわなくちゃ困る。俺がエラと戦ってやるのは、あいつを満足させて連れ帰ろうってだけのことだよ。本当に、それだけさ」

「…………」

「それに、もうすぐニューイヤーだ。折角こんな場所までやって来たんだから、あと二試合分、最後に稼げるだけファイトマネーを稼いで、新年早々盛大にニューイヤーパーティーでもやろうじゃないか。それと、雫のリベレーター合格祝いも兼ねてな」

「……そう、ですね。それはとても、良い考えだと思いますわ」

「決まりだ。雫、即答はされなかったが、パトリシアはほぼ確実にこっちの条件を呑むだろう。返答されるまでの間は訓練と並行して、お前なりにあいつの戦い方を研究してみろよ」

「えっ、あ……はい、分かりました……」

「頼むぜ雫、ハッピーニューイヤーは全てお前に掛かっている。ついでにVSSの借金返済と、ネイトに借りている剣の代金分もな」

「……うっ……なんだか、責任重大ですね……」

「なら英気を養う為に、今日は前祝と行こうじゃないか。当然、俺の奢りでな」


 今のバレルさんの表情からはさっきまでのかげりが消えている。だけどそれがどうしてか、私の不安を煽っているように思えて仕方がない。それに、シャロの表情はいつも通りの無表情をしてはいるものの、浮かない空気を隠し切れてはいなかった。


 バレルさんと過去、そしてSVOとの因縁。それをまだ、私は知らない。

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