トップガン マーヴェリック ー2022.6.3.

監督:ジョセフ・コジンスキー



「空中戦へ連れてって!」


だが乗り心地は五の次。

怪物エンジンとひたすらランデブーの二時間半だった。


前作のあらすじをざっくりおさらいして挑むも、

見どころはそんなこんなの因縁ではなかったように思う。

当時キラキラしていたF14、トムキャットも骨董品。

時は流れて戦闘機も進化、

その臨場感あふれるドッグファイトがとにかく目玉で、見ごたえ抜群だった。

自身、その昔、その手のシュミレーションゲームを楽しんでいたこともあり

背後の取り合い、ミサイル回避、フレア射出、速度と旋回のRと高度のせめぎ合い、

本当に手に汗握って見ている。


話によれば映像は合成ではなく、演者は本当に飛んで撮影したらしい。狭いコクピット内のセルフィ―よろしくカメラのスイッチを自分で入れつつ演技したとか。

ゆえに地上へ降りて確認するまでどう映っているのか分からないという

リアルを追求したがゆえのかなり変則的な撮影ということだった。

しかし奇をてらっただけでなく、それが正解であることは本編を見れば一目瞭然だろう。

F1がらみの作品も好んで見るが、あのエッジの利いた機動性の数倍上を3次元でこなす乗り物なんて人が乗る物じゃないなと思う。

くらいの迫力は、たぶん今後長らく塗り替えられることはないはずだ。

(ところどころ「ファースト・マン」を想起させる場面があったが、意識してのことか?)

ドキュメンタリーを見ているかのようなこの圧巻の仕上がりに

演者の、演者を越えた体当たりの挑戦に脱帽する。

(同じ戦闘機乗りの自衛隊員が見たらどう思うのか、感想を聞きたいほど。同時に初めてIMAX、もしくはIMAX4Dなどで観るべき映画だと実感した)


しかし、だからといって物語部分が貧弱かと言えばそうでもない所が憎く、

出会いに別れ、対立、葛藤、笑える箇所も間に、間にあり、

二時間半などあっという間でむしろ足りない。

足りなさすぎる。

もう終わりなのか。

もったいない。

(特に疑似親子の脱出劇辺りは、これぞ映画的なワクワク感がたまらなかったな)


本当にこれまで見た作品で、トムクルーズ作品にはずれなし。

どうなってるんだ!

今回も、もれなく大満足だった。


追記:監督が「オブリビオン」と同一。まるでテイスト違いに、公開前は興味を持ったのも鑑賞の動機。

そうか、言われてみれば「空間」の撮り方が、板の上の右往左往ではない撮り方が、

上手いからもんどりうつドッグファイトも素人に分かりやすかったのかと振り返る。

グッジョブ。



文章表現における空間把握の描写やスピード感の出し方は、いまだに勘どころが掴めない。

短いセンテンスでたたみかける。体言止め。視点の固定。主観からの比喩による誇張表現。幾つか手数は持つも、コレをすれば成功するというセオリーは見つからず、スピード感においては毎度手探りだ。

これこに空間把握が加わるととさらに難易度がアップする。

しっかり伝えようとくどくど細かく説明すればスピード感は落ちるうえ、だからと言って端折ると誰がどこにどうなっているのか、混乱して肝心のスピード感が伝わり切らないように思えてならない。

こうした映像作品を目にするたび、どうしたものか。

頭をひねるわけである。

ひとつ、キーボード入力に存在するショートカットキー的な単語を使う、

いわば専門用語で説明を省くという方法があるが、

専門用語であれば、その言葉についてどこかで説明しておかねばならないだろう。

この計画がまたひと手間で、説明臭くならないよう自然に入れ込みつつも読み手の印象に残しておく、というテクニックが必要となってくるのである。

いや、だからと言ってスポーツ中継を手本にするのも、

絶対、違うよなぁ。

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