大怪獣のあとしまつ 2022.3.3.

監督:三木聡



「松竹と東映のタッグとくれば・・・!」


評判の悪さだけは心に鑑賞するも、わたくしにはウケた。

そもそも怪獣、東映とくればアレが出ぬはずもなく。

冒頭かと思いきやのソコかーい、という流れ。

いいんじゃないですか?

まあ、出してしまえば全て終わるのだから、

それまでの群像ドタバタ松竹喜劇を東映ご自慢の設定で! と落とし込めば

小学生並みのナンセンスネタから下ネタ、繰り出されるシチュエーションにも笑いまくった。


一転、二転する状況に次々繰り出される対策

(これが意外と納得させられるデキ)

組織同士の出し抜き合いや、

(オトナ向けコメディーパートだね)

恋愛の三角関係もあって、

(映画といえば!)

ところどころに風刺もちらつき

(「ベント」のワードが出た時は笑っちゃだめだ、と思いつつも吹いてしまった)

密でスケールも大なジェットコースターシナリオも悪くないと感じる。

またあれだけの登場人物がめじろ押しながら

キャラが立っていて混乱しない捌き方も上手いと振り返っている。

(女性スナイパーが今風な配役で、やたら印象に残った)


また、けっこう作り込まれたセットによる映像や、

劇画調の演技が醸し出すシリアスな雰囲気に、

昔懐かしの「帰ってきたウルトラマン」やらの頃を思い起こして懐かしくもあり。

(だいたい主人公の名前が完全に、「ハヤタ隊員」のもじりなだけに

半ばでオチも分かってしまったので、その瞬間までワクワクして待ってしまった)


きっと彼はまた数年、地球に帰ってこれないのだろう。

そんなこんなでお別れしたくなかった理由もなんとなく、

お察しである。

ともかくわたしは想像以上に、かなり、十分おもしろかった。

なぜ、どこが、ダメだったのか分からん。

なぜ批判的な人たちは、シンゴジのその後的展開が見れるのでは、

のような妄想を広げて期待してしまったのか。

というか、そもそもなぜ観ていないものの内容を決めつけてかかったのか。

だから現実との差にがっかりしたわけで。

この思い込みの強さは興味深い。本当に。


ところであの怪獣の足は、「犬神家の一族」?



ここカクヨムにも「キャッチコピー」という欄があり、作品の内容や魅力的な個所をアピールして読者とのマッチングを図っている。

今回本作においては、なぜか、どうしてだか、

その辺りがうまく機能しなかった感が否めない。

ゆえに爆上がりした期待度と裏切る内容に、受け手はああも憤ったのだと思う。

なんというかコレ、ただのミスマッチで、作品が正当に評価されたのかといえばそうではないところが可哀想だとしか思えなかった。

(ただし、見てきた限りではポスターもトレーラーもコメディー路線全開、とまるわかりだった。何をしくじったのか今だ、分からない。監督の作品は他に見ていないため、監督のテイストから本作は著しく逸脱しているという事なのか?)

こうしたミスマッチが起きないような宣伝、キャッチの用意はだからして大事なのだ、とつくづく感じる。

本編でいっぱいいっぱい。

キャッチコピーはこんなもんでえっか。

などとテキトーなんてもってのほか。

注意を払わなければせっかく書いた作品も、無駄なミスマッチで評価を落としかねないとつくづく思わされた作品だった。

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