6
ずっと手に入れたかったものが
目の前に現れてしまった時、
理性で欲求を抑えられる人間は
どれくらい居るんだろう。
ましてや、二度と目にすることすら
叶わないと思っていたものが、
何の予告もなく目の前に現れてしまったら。
彼女にとっての幼い彼女は、
まさにその類いだった。
長い時間をぼんやりと扉を眺めて
過ごした彼女は、やがて扉に手を伸ばした。
直接触れたくて、襲いかかるも同然に
迫って行った。
しかし彼女の手は木製の扉を撫でるだけで
幼い自分の立体を掴むことは無かった。
扉はどこまでいっても扉で、
平坦な表面の、たまに僅かな傷の凹凸が
確認できるだけだった。
夜が来て、朝になっても
扉の中の少女はそこにいた。
理想の子 黒田 愛実 @mamaminig
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。理想の子の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます