第2話 重松清『十字架』より
だから、不思議なほどショックはなかった。衝撃はたしかにあっても、それは決して不意打ちではなかった。誰の胸にも予感はあった。このままいじめがつづくと、もしかしたら、いつか……と誰もが想っていた。でも、誰もいじめを止めなかった。
フジジュンが死んでしまってもかまわないとは、僕たちの誰も想っていなかった。でも、なにがあってもフジジュンを死なせてはいけない、とも想っていなかった。
(ここまで引用 重松清『十字架』講談社文庫 2012年 29P)
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重松さんの文章は、やわらかくてやさしいね。どこか語りかけてくるような文体は、ストレートに頭と心に入ってくる。小難しい言葉や漢字は、ほぼ使わない。そんなものがなくても、文章のうまさに唸らされる。いくつもの作品で、完全に涙腺を崩壊させられちゃったよ。人のあたたかみとか痛みとか、そういうものをテーマにした作品が多いから、子供にもぜひ読んでもらいたい。もちろん、忙しくて心が荒んでしまいがちな大人にもね。
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