B2 昆虫の羽

B2 昆虫の羽 Part1

シンセは糸詠とヨーを気にかける。


「二人とも、大丈夫か?」


「うん…」


「弟を、縒詠よりたを連れ戻すまでは帰れないよ」


「そうか…」


スクラッチの末路を目の当たりにした二人を彼は気遣っていた。

気を遣わせまいと、糸詠は話題を変える。


「そういえば、シンセの剣、元の形に戻ったね」


「ああ。

あの階でしか使えないようだな。

(采漢紳シャッハ・ジェンのプレイヤー効果は、その階の敵を倒すと終了するからな)」


**********


水硝クリスタルは一人思う。


「(スクラッチでは力不足だったか。

俺が采漢紳シャッハ・ジェンに敗れてから、奴に恨みを持つモンスターを見つけ出すことに苦労はなかったが、選りすぐってもこの程度…)」


笑う水硝クリスタル


「(やはりこの俺以外、奴を倒すことはできないということか!)」


**********


<B2>


薄暗い部屋。


ブンブンと音が聞こえる。


「何だこの鬱陶しい音は!」


明かりがつくと、皆の前に蜂が現れた。


「この階の敵はこいつ、プリックだ」


「こいつも俺を恨んでいるのか?」


「こいつは俺の仲間じゃない。

この塔のボスキャラとして元からいたんだ。

挑戦者の相手をするために作り上げられたモンスターってところか?」


「どいつが相手だろうと先に進ませてもらう」

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