B2 昆虫の羽 Part2(ゲーム)

<攻撃側チーム>

プレイヤー:

采漢紳シャッハ・ジェン】攻撃力1800 威力3 累積負傷値:8

【糸詠】攻撃力1800 威力1 累積負傷値:8

手札3枚

【ウプシロン】攻撃力3500 威力6 累積負傷値:0

【シンセ】攻撃力900 威力3 累積負傷値:0

【ヨー】攻撃力100 威力1 累積負傷値:0


アイテム:

【ダイス】


<防御側チーム>

プレイヤー:

【プリック】

攻撃力800 威力3 敗北値3

効果:???

(素早さなら負けを知らない蜂。

鋭い針と強力な毒を使い分ける)


アイテム:

【???】


**********


TURN1

(シンセのターン)


「私のターン。

(敗北値3なら、この私の一撃でこの階のゲームは終わる!)

攻撃だ!」


【シンセ】攻撃力900 威力3

     vs

【プリック】攻撃力800


シンセが剣を振る。

しかし、蜂はその攻撃を回避してしまった。

刃は空を切る。


「何!?

攻撃がかわされた!?」


TURN2

(プリックのターン)


蜂は糸詠に向かう。


「まずい!」


シンセが糸詠の前に出る。

しかし、蜂は素早く回り込み、背後から糸詠を刺した。


【プリック】攻撃力800 威力3

     vs

【糸詠】攻撃力1800


「うっ!」


【糸詠】の累積負傷値:11(8+3)


【糸詠】の攻撃力1000(1800-800)


「なぜ防げない?

それに、攻撃力は糸詠の方が高いはず…」


「ダメージだけでなく、攻撃力も…。

どうなっているんだ?」


「糸詠、大丈夫?」


心配したヨーが近づく。


「だ、大丈夫だよ…」


TURN3

(ヨーのターン)


「お?

俺のターン?

どうすれば…。

あっ!」


ヨーは【ダイス】を手にする。


「これ使えばいいんだ。

えっと…」


表示される詳細を読むヨー。


「そうだ!

あいつに攻撃できないなら、効果でダメージ与えちゃえばいいじゃん!」


ダイスの色は黒く染まった。


「黒のダイスはダメージ系なんだよね。

それっ!」


転がったダイスは1の目を出す。


「1の目は…。

味方に5ダメージ!?

しょうがない…」


ヨーの前で爆発が起こった。


「わっ!」


【ヨー】の累積負傷値:5(0+5)


「ヨー!」


ヨーはダメージの反動でひっくり返り、泣き出してしまった。


「ごめん、みんな。

俺の攻撃力じゃ、あいつにも叶わないし…」


ウプシロンが近づき彼をあやす。


「(しかし、何だ?

こちらの攻撃が一切届かず、糸詠を庇うこともできない…)

ヨー、泣くのは後だ。

シンセとウプシロンも、みんなで糸詠を囲むぞ!」


「分かった!」


4人は糸詠を囲む。


「(さぁ、どう出る?)」


TURN4

(プリックのターン)


プリックが近づいてくる。

皆が手を出そうとするも、蜂は身をかわし、攻撃を避ける。

その隙から糸詠は再び攻撃を受けた。


【プリック】攻撃力800 威力3

     vs

【糸詠】攻撃力1000


「うわっ!」


【糸詠】の累積負傷値:14(11+3)

【糸詠】攻撃力200(1000-800)


「あいつの羽、あれが奴の動きを可能にしているのか」


「その通り!」


「!?」


水硝クリスタルの声がする。


「あの羽こそ、プリックが使うアイテム。

【昆虫の羽】だ!

【昆虫の羽】は自身より高い攻撃力を持つプレイヤーからの攻撃を回避する効果を持つ!」


【昆虫の羽】

アイテム:羽

味方1人を指定する(リーダーを除く)。

指定されたプレイヤーは、自身より高い攻撃力を持つプレイヤーからの攻撃を受けても回避できる。

ただし、そのプレイヤーが味方を庇う際に戦闘する場合は、この効果を使用して攻撃を回避することはできない。


「それでは奴にダメージを与えることは不可能ではないか!」


「フェアじゃないよ!」


「そして【プリック】自身のプレイヤー効果で、相手は味方を庇うことはできず、戦闘の勝敗に関係なくダメージを与えられるのだ!

さらに自らの毒で、ダメージを与えたプレイヤーの攻撃力を削りとることもできる!」


【プリック】

攻撃力800 威力3 敗北値3

効果:TURN1以降。攻撃する場合、他のプレイヤーは攻撃対象を庇えない。

攻撃した場合、勝敗判定後、その結果に関係なくダメージを与えられる。

さらに相手の攻撃力も削り取れる。

(素早さなら負けを知らない蜂。

鋭い針と強力な毒を使い分ける)


「(このままだと俺達は、一方的に攻撃を受け続けて敗北する!)」


TURN5

(采漢紳シャッハ・ジェンのターン)


「(どうすれば…)」


采漢紳シャッハ・ジェン、攻撃して!」


「!?」


声の主は糸詠だった。


「(攻撃不可能と分かっていながら、攻撃しろというのか…)」


戸惑ったが、糸詠の目の中に策を感じた。


「(分かった。

お前の言う通りにしてやる)

攻撃!」


采漢紳シャッハ・ジェン】攻撃力1800 威力3

     vs

【プリック】攻撃力800


采漢紳シャッハ・ジェンは逃げ回る蜂を追いかけるも、攻撃が届くことはなかった。


TURN6

(プリックのターン)


「どうやら無駄だったようだな。

プリック! 攻撃しろ!」


【プリック】攻撃力800 威力3

     vs

【糸詠】攻撃力200


プリックが糸詠の元へ向かおうとする。

しかし、前に進もうとしても動けないような様子だった。


「どうした!?」


「お前の相手は私だ!」


透明の鎖のようなものが、シンセとプリックを結んでいる。


「【執念のアンカー】のカードを使った。

攻撃を2回以上受けながら、ダメージを受けていないモンスターの攻撃は、俺達のチームが対象を決められる」


【執念のアンカー】

アイテム:カード

効果:相手プレイヤーが2回以上攻撃され、それらの戦闘で一度もダメージを受けていない場合、使用可能。

以降、この階における相手からの攻撃を受けるプレイヤーは、全て自分チームが決定する。


「2回以上…!?

前のターン、奴が執拗にプリックを追い回していたのは、このカードを使うためか」


「そう。

采漢紳シャッハ・ジェンが引きつけている間に、私がこの鎖を使って奴をとらえた」


「くっ…」


プリックがシンセに引き寄せられる。


「(みんなに助けられてばかりじゃダメなんだ。

俺もこのカードで、みんなを助けなきゃ…)

さらにもう一枚、【イーブン】を発動!

この戦闘では、互いにダメージを与え合う」


【イーブン】

アイテム:カード

効果:このターンの戦闘では一度だけ、互いにダメージを与え合う。


「【昆虫の羽】による回避は、自らが攻撃を受けた時でなければ行えない。

ならば、そちらが攻撃を仕掛けてきた時に反撃すればいい!」


【プリック】攻撃力800 威力3

     vs

【シンセ】攻撃力900 威力3


剣と針で互いに攻撃しあう。


「うっ…」


【シンセ】の累積負傷値:3(0+3)

【シンセ】攻撃力100(900-800)


「だがこれで…」


【プリック】の累積負傷値:3(0+3)


プリックは粉々になった。


攻撃側の勝利。

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