第60話 野球界から数字を追い出すと
「ぼくに協力して欲しい。『無気力三振委員会』を潰してやるんだ。あれは、ガンだ」とダンシング・ドールは言った。
「……」
私は返答に詰まる。
そうだよな。さすがに彼でも、数字を追い出すなんて。
「このままじゃあ、野球はさらに腐っていく。投手が野球を放棄するなんて、ぼくには許せない」
「私にそんな力はないよ」
「ぼくだって徒党を組むのは嫌いだ。でも、これは一大事なんだよ」
「よしてくれ。波風立てたくない」
今までその腐った空気を吸って、ボールを投げてきたんだ。
ガンなんて、そんなに大げさなもんじゃない。せいぜい、たんこぶくらいなもんでさ。
「やめておくよ」
「人は人だとでもいいたいのかい?」
「ちがう。もっとこう……」
「なんだい?」
「わからない。でも、そういうのは何か違うんじゃないか」
そうさ。
何かが違うんだ。
ダンシング・ドールは、「無理にとは言わないけど」と相も変わらずの爽やかな表情のまま去っていった。
途端に、急激な眠気に襲われた。
目を閉じると、すんなりと眠りにつくことができた。
最近、夢を見ていない。
まるぽちゃは、元気だろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます