第3話/5441人の敵
これからはしばらく数字の話になる。
だけど心配はいらない。私も数学は苦手だが、問題はないのだ。
たとえば『1+1=2』である。
どうしてかはわからない。
そのことを根源的に理解する必要などないのだ。私たちは『1+1=2』であることを「そういうものだ」と考え、暗記することで操っている。『1+1=2』を暗記することで、防御率を割りだしたり、年寄りを年寄りだと認識したりする。
つまり、そういうことなのだ。
《今から語られる数字のうち、野球に大きく関することはアラビア数字で記してある。留意を願いたい。》
私は現役時代の二十二年間で、3769本のヒットを打たれ、1672個の死四球を与えた。
仔細なことを言えば、振り逃げのランナーなんかも含むべきだろうが、とりあえずシンプルに考えようじゃないか。
最低でも5441人のランナーを背負った。
5441人もの敵。身の毛もよだつ数字だ。
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