第15話015「帯同」
「身体強化!」
「ファイヤバレット!」
「サンダーランス!」
「縮地!」
「ソードウィンド!」
——20階層
「これがD級
俺は今まで一人でダンジョン活動をしていたので、こういった『パーティー』の戦い方を初めて見た。最初、リーダーのエリンさんが言っていたように、確かに連携が取れてバランスの良い
「ハハハっ! 驚いた?」
「ええ、すごいですね」
「ナハハハ、照れる〜!」
と、エリンさんは俺としゃべりながらも20階層の魔物をザックザックと切り裂いていた。まさに無双状態だ。
エリンさん、怖え〜。
ちなみに、他の3人のメンバーも全員女性だ。さっき「どうして女性だけで組んでいるんですか?」と聞くと「私が異性よりも同性のほうが連携取りやすいからなんだよね〜」とのことだった。まー実際、この戦いぶりを見れば男性を入れる必要などないだろう。
さて、そんなこんなで間近で戦闘を見せられた俺は、魔法やスキルのことをその都度説明をしてもらった。もちろん『
こうして、エリンさんたちとの帯同の一日が終わった。
「ありがとうございましたっ!!」
「お疲れ〜。どう? 勉強になったかな?」
「はい、それはもう! とても勉強になりました」
「うんうん、そうか。君は素直で可愛いな〜。また、帯同したかったら声かけなよ!」
「はい、ありがとうございます」
「じゃ〜ね〜」
俺はエリンさんに手を振り別れを告げた後⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯今度は
********************
「身体強化」
「ファイヤバレット」
「サンダーランス」
「縮地」
「ソード・ウィンド」
俺はさっきエリンさんや『一進一退』のみんなが使っていた魔法やスキルを使いこなせるまで何度も試した。⋯⋯⋯⋯
「ふむ、これで一通り使いこなせるようになったな⋯⋯」
普段、俺が一人で活動しているのは
「しかし、すごいな。唐沢が言ってたとおり『帯同』でこんなにも魔法やスキルが獲得できるとは驚きだ。唐沢の言う通り、しばらく『帯同』を続けることができれば、かなりの数の魔法やスキルが獲得できるかもしれないな」
ニチャア。
そんな感じで、俺は次の日も、また次の日もギルドで先輩
先輩
帯同した後はすぐに一人でダンジョンに入り獲得した魔法やスキルを試す⋯⋯そんな生活を約2週間ほど続けた。
その結果がこれだ。
——————————————————
名前:新屋敷ソラ
レベル:21
魔法:<初級>ファイヤバレット/ファイヤランス/ウィンドバレット/サンダーバレット/サンダーランス/ソードウィンド/コールドブレス/サンドアタック
スキル:<初級>身体強化/縮地/怪力/忍足
——————————————————
「ふむ。だいぶ貯まったな⋯⋯魔法とスキル。特に魔法がかなり増えてる」
帯同2週間の成果は、正直⋯⋯途轍もなかった。
今回、獲得できた魔法もスキルもすべて初級魔法・初級スキルではあるが、F級
元々、一人でダンジョン探索をしていたが、帯同する前の俺は当然資格試験のときに獲得した初級魔法『ファイヤバレット』と初級スキル『身体強化』しかなかった。
それでも、1〜20階層までに出てきた魔物は主に『スライム・ゴブリン・コボルト・オーク』とファンタジー定番魔物だったので、これまで培ったラノベ知識を活かして魔物を倒すことができた。
そんなこんなで、気づけばレベルが『10』まで上がり、全体的な基礎の身体能力も上がったことで気づけば単独で20階層まで進出することができていた。
ただ、レベルが『10』になってからは簡単にレベルが上がらなくなっていたこともあり、「これからさらに階層を進めるためにもっと効率よくレベルを上げたいがどうすれば⋯⋯」と考えていた矢先、唐沢から『帯同』の話を聞いた。結果、これで魔法とスキルが一気に増えたおかげで階層を『29階層』まで進めることができたのである。
そして、ここまで来てふと感じた
「それにしても唐沢が言っていた『魔力切れ』の兆候が一向に見られない⋯⋯?」
そう、唐沢に「魔法やスキルの使い過ぎによる魔力切れを注意しろ」と言われていた俺は、そのことを常に意識しながら魔物と戦っていたが、正直『気分が悪い』とか『ダルい』といった魔力切れの症状は一度も出たことがなかった。
そこで、一度魔力回復ポーションを買っていつでも飲める準備をした状態で、魔法やスキルを『使えるところまで全開で使ってみよう』という実験をしてみた。しかし、結果は⋯⋯、
「魔力切れが⋯⋯起こらない?」
そう、魔法やスキルを全開で使ってみたものの一向に魔力切れを起こすことはなかったのだ。
最初は「さすがにそんなはずはない、あり得ない!?」と動揺した。なぜなら魔力は体内に蓄えられているその容量分の範囲内でしか魔法やスキルは使えないはずだからだ。
「となると、よっぽど魔力の容量が大きいということなのかな?」
結局、その疑問はいまだ解決していないが、とりあえず『簡単には魔力切れを起こさないだけの豊富な魔力量がある』という『とりあえずの解答』で俺は自分を納得させた。まー、マイナスなことではないしね。
「さ、さすがに、魔力容量
********************
「それにしても、俺って
突然、ふと自分の現状を見てそう感じた。
まず
つまり、『
このように
実際、それを報告したからといって、
ちなみに、『
そんな、
しかも、レベルが上がれば上がるほどレベルアップに必要となる魔物を倒して得られる『経験値のようなもの』の要求は増えていく。
当然、魔物ごとの得られる経験値は変わらないので、レベルアップしにくくなるのだが『
その結果が現在25階層で活動できるだけのレベルアップにつながっているのだろう。
「やっぱ、
そして、この現在のレベルを見れば俺の実力はすでに『C級ランカー』くらいにはなっているはずだと思う。となれば、すぐにでもE級ランカーの試験を受けようと思ったが、
「ダンジョンでの探索活動は常に『死』と隣り合わせだ。E級ランカーになってもっと効率よくレベリングしたい気持ちもあるが、今しばらくは焦らずこのダンジョンで力と経験を蓄え、しかるべき時が来たら動こう⋯⋯」
ということで、E級ランカーへの昇格試験を受けるのは断念した。
ここはゲームの中でもなければ、ラノベやアニメの世界でもない紛れもない現実。ちゃんとそこにある
「まーでも、ランク昇格したいという想いが強くなればやってもいいかな。まーそれは『その時の自分』が然るべき判断するだろう。俺は『未来の自分』を信じる」
そう自分に言い聞かせながら、俺はさらに下へと続く階段へと向かった。
「よし! 今日中に30階層を目指すぞ!」
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