第13話013「竜ヶ崎真司という男」
唐沢は一通り『高校生
「まあ、それにしても『竜ヶ崎真司』だけは
「⋯⋯胡桃沢から聞いたよ。3ヶ月でC級
「ああ、そうだ。はっきり言って全国のいる高校生
だろうな。
「でもよ⋯⋯」
「ん?」
「お前なら⋯⋯⋯⋯『
「! 唐沢⋯⋯」
「⋯⋯よく考えてみろよ、ソラ。その能力が本当にお前の言った通りなら、先輩
「あ! た、たしかにっ!!」
「まー見るだけじゃダメかもしれないから事前にいろいろ魔法とスキルの知識を頭に叩き込む必要はあるだろうがな。でも、そのくらいは問題ないだろ?」
「ああ」
あれ? さっきまで竜ヶ崎が『遠い存在』って思っていたけど、意外とそうでもなく思えてきたぞ?
「このチート能力なら竜ヶ崎なんてすぐに追い抜けるぜ、ソラ! 最高じゃねーか!!」
「お、おう。ていうかお前、何だか竜ヶ崎のこと嫌い⋯⋯みたいな⋯⋯」
「ああ、嫌いだ」
「ええっ!?」
唐沢が竜ヶ崎のことをはっきりと「嫌い」と言った。
かなり意外だった。というのも、普段相手に嫌な思いをさせないくらいには気遣いができる優しい奴が、ここまではっきり「嫌い」と言える奴がいるってことに俺は驚いた。
「でも、竜ヶ崎は俺から見る限り、男女構わず愛想もいいし、優しい性格のように見えるが⋯⋯」
「
「え?」
「あいつは相手に優しくしているようで、実はかなり
「み、見下すっ?!」
「⋯⋯俺はあいつと中学から一緒でさ。俺は初見ですぐにあいつの性格を見抜いたから近づかなかったけど、あいつの連れの⋯⋯⋯⋯表面的には『友達』のように接しといて裏では『パシリ』にされてた奴から話を色々と聞いたことがあってな」
「⋯⋯裏でパシリにされてた奴」
「ああ。竜ヶ崎は仲間内だけになると、そいつのことをよく『おもちゃ』のように扱っていじめていたらしい」
「え?」
「パシリだけじゃなく、陰湿なイジメとか
「なっ!?」
「しかも、怖いのはよ〜⋯⋯竜ヶ崎はそれすらも
「っ!?」
唐沢は、その話は中学の時に竜ヶ崎とつるんでいた仲間内の一人から話を聞いたと言う。
「あいつは『俺はお前たち庶民とは違う。一緒にするな』と本気で思っているらしい。だから、同級生に非道いことをしても一切反省はしないし、それどころかそれくらいやっても当然くらいには思っていたそうだ。だから、奴と中学の時つるんでいた奴らはこの高校には一人もいない。⋯⋯全員竜ヶ崎から逃げたからな」
「⋯⋯(ごくり)」
俺は唐沢の話がまるで信じられなかった。いや、話が信じられないというか⋯⋯⋯⋯『そんな人間が存在する』ことが信じられなかったのだ。
「ちなみに、そのイジメられていた奴は俺自身直接の関わりはないと思っていたんだが、そいつが小学校のときに俺に助けられたって言って話しかけてきてよ。それで、あいつがこの事を俺に話してくれたんだよ」
「助けられた?」
「ああ。ただ俺は本当に覚えがなくってさ。なんか、すげー居心地悪かったぜ⋯⋯ハハ」
と、唐沢が照れながら話した。何か見ているこっちもこそばゆい。
「で? そのいじめられた奴は今どこにいるんだ?」
「他の奴らと一緒さ。ここから遠く離れた高校に通っているらしい。卒業式のときにそう言ってた。まあ、別に連絡するほどの仲じゃないから実際今どこにいるのかは知らねーけどよ」
「⋯⋯そうか」
俺はちょっと竜ヶ崎の
「ま、そんなわけでよ。つまりだな⋯⋯⋯⋯お前に竜ヶ崎の天狗になった鼻をへし折って欲しいって話だ!」
「何?」
「大丈夫、大丈夫。ソラならやれるってぇー!! あいつのプライドケチョンケチョンにしてやってくれよ!」
「うーん⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯わかった」
「え?」
「いやだから⋯⋯俺が強くなって竜ヶ崎のプライドをへし折ってやるって話だよ」
俺は唐沢に改めてそう伝えると、逆に今度は唐沢がドギマギし始めた。
「え? あ、いやぁ〜あっはっはっは! じょ、冗談だよ、冗談⋯⋯っ!?」
「冗談? 本当に?」
「も、もちろん! ていうか、俺が本当に言いたかったのは『竜ヶ崎とだけは絶対に関わるな』ってことだから!
「⋯⋯なるほど」
「でも、本当に気をつけろよ、ソラ? あいつは
「わ、わかった⋯⋯」
「⋯⋯胡桃沢が前にお前が竜ヶ崎のことを教えてくれって聞かれたって話を聞いてな⋯⋯⋯⋯いつか話そうと思ってたんだよ」
「そうだったのか⋯⋯。教えてくれてありがとう」
「気にすんな。それよりも早速明日にでも『帯同』の検証してみろよ?」
「ああ、もちろん。ギルドで先輩
「⋯⋯結果、教えろよな!」
「ああ!」
ということで、明日俺はギルドに行って先輩
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