MAGIC・5 うちが本物のめかまじょや!
前章のあらすじ
決めた住まいは、昭和平成を思わせるおそろしく古風な造りのアパート「しのげ荘」。
研究所副所長の
さっそく行ってみたのは近所の銭湯。
なんとなく気になって乗ってみた体重計の目方(104キロ)に、気味の悪い絶叫を張り上げたり、美夜子はある程度はショックから立ち直って、表面上の明るさは取り戻しつつあった。
腕をメンテナンスしている途中、
自分の生命が助かったのはありがたいが、それが戦争の技術ということに後ろ暗いものを感じてしまったからだ。
同時に、あらためて美夜子は自分が機械の身体なのだという実感を強く持つようになった。
ある日、いつものように研究所でメンテナンスを行なって、自宅への帰り道。
美夜子は路地裏でひったくり犯と遭遇する。
ひったくり犯は
正義感の強い若者たちが追ってきて、追いつかれたひったくり犯は、美夜子の見ている前で幼女を人質に取る。
泣き叫びながら母を呼ぶ幼女の悲鳴に、美夜子は自分の中にある母への思いと交錯し、無意識にひったくり犯へと物を投げ付けてしまう。
幼女を背中に庇ったことで、今度は美夜子の身が危機に晒されることになる。
機械の身体ということではあるが、だから自分が強いとも思っておらず、護身術を習ったこともなければ誰かと喧嘩したこともない美夜子は、すっかり怯えてしまい、ひったくり犯の振りかざす熱線ナイフを前に死を覚悟する。
そこへ研究所から帰宅途中の典牧青年がたまたま通り掛かり、慌てて取り出した鍵を投げて渡す。
何故かその鍵の使い方を知っていた美夜子は、右腕に差し込み魔道ジェネレーターをブーストし、真っ赤な金属の全身へと変身する。
典牧青年はいう。
「それがめかまじょだ。きみは誰よりも強いんだ」
といわれても、戦い方まではさっぱり分からない。
だが身体能力の差は圧倒的で、いざ身体を動かしてみると簡単にひったくり犯をやっつけてしまう。
生命を助けられた幼女は、美夜子へと感謝の言葉を掛ける。
「お姉ちゃん、魔法少女だったんだね」
この言葉が呼び水となり、美夜子は自分という存在を認識する。
機械の身体とか、魔法少女がどうこうということではなく、母と一緒にずっと生きてきた、自分を肯定する。
わたしはもう大丈夫だ。
そう自分を認めたことを母に、褒めてもらいたい、頭を撫でてもらいたい、抱き締めてもらいたい。
だがその母は、もうこの世におらず。
母に喜びの報告が出来る嬉しさと、母のいない悲しさとに、美夜子は幼女の前で激しく泣いてしまうのだった。
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