01 父親の記憶


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   MAGIC・3 めかまじょ誕生 その1




 が、まだ幼かった頃のことだ。

 父親と母親が別れたのは。

 それにより、しまから、とりになった。

 

 どうして二人が別れることになったのかは、知らない。

 当時はまだ幼い頃で理解が出来なかったし、後から聞かされてもいない、美夜子も尋ねなかったからだ。


 記憶の中にある父の顔は、おぼろげだ。

 物心付いた時には、母親と二人だけだったので。

 そのおぼろげな記憶は、一緒に住んでいた時のものであるのか、実はその後にも父が顔を見せにきたことがあるのか、見当も付かない。


 美夜子にとっては、母と二人だけでの生活が当たり前だった。

 それ以外を知らないのだから、幸も不幸もなかった。


 母がなんの仕事をしているのかは知らないが、美夜子に物心が付いた時には全国を転々とする生活だった。おそらくは、物心付くより前から。


 時は流れるが、転々としている以上は当然のこと、小学校や中学校も転校を繰り返す日々だ。


 友達になったと思ったら別れの繰り返しは嫌だったけれど、でも振り返ればそれも楽しい思い出だったのかな。


 美夜子は、そんなことを考えながら窓から外を見ている。

 見納めになる、北海道の風景。

 これからまた引っ越しをするのだ。

 これまだって転々としてきたのに、なんだかしみじみと考えてしまっていたのは、今日から大きく生活が変わるから。

 何故ならば……

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