MAGIC・2 小取美夜子は高校生
前章のあらすじ
ここは埼玉県、さいたま新都心のオフィス街。
夜の摩天楼は、騒ぎの中にあった。
二人の凶悪犯が人質を取っての、立てこもり事件が発生しているのだ。
人質にされていた男女のうち男性が逃げ出して、残りは女性一人。
大きな盾を構えた警察機動隊員たちが、ビルを取り囲んでおり、じりじりと包囲の輪を狭めていく。
一瞬の油断を突いて確保、といきたい警察であるが、反対に、一瞬の油断を突かれることになる。
油断というかなんというか、凶悪犯の放った銃弾がネオンを偶然にもネオンをショートさせて、明暗の反転にぽけーっとしているところ、凶悪犯が機を逃さず、近くに置いてあった浮遊重機であるゼログラに乗り込んでしまったのである。
ゼログラは精霊力で浮遊する重機。
法改正進まず警察は武装したゼログラをまだ所持しておらず、つまりは凶悪犯のやりたい放題の状況。人質を乗せたまま、ゼログラを縦横無尽に操って、彼らは警察の車両を次々と破壊していく。
なすすべもない警察。
と、そのような中である。
警察車両の炎上する間から、一人の少女が現れたのは。
学校の制服を着た、栗色髪の小柄な少女だ。
彼女は恐るべき身体能力で四メートル以上を軽々と跳躍し、ゼログラの中にいる人質を一瞬で救出する。
彼女の右腕が、ロボットのような、真っ赤な金属の腕に変化していた。
現場に突撃レポートしていた
「やはり、突如あらわれた謎の少女は、いま巷を賑わせている『めかまじょ』だったのです! 普段は埼玉県の高校に通う女子高生
栗色髪の少女、小取美夜子は叫ぶ。
「変身!」
しかし、変身するために右腕に差し込むべき鍵を、美夜子は持ってくるのを忘れてしまっており、大ピンチに。
そこへ忘れ物を届けに現れた白衣姿ボサボサ爆発頭の牛乳瓶底メガネを掛けたヒョロガリ青年、
美夜子は右腕に鍵を差し込み、今度こそ「変身!」。
大獄炎に身を包まれ、大爆発の中から飛び出したのは、全身が真っ赤な機械の身体になった小取美夜子であった。
元原レポーターのいうめかまじょになった美夜子は、ゼログラを圧倒。
切り離して飛ばした左腕でゼログラを殴り、あっという間に一台を破壊する。
残る一台は、上空へと逃げる。
二棟ビルの間を蹴って登って、美夜子は一瞬にして追い抜いて遥か上空にて待ち構える。
腰から抜いたカセットを腕に差し込み、精霊魔法を発動させ、ゼログラを一撃粉砕するのだった。
落下する凶悪犯の生命は、これも精霊魔法で助けて警察に引き渡し、これにて一件落着。
野次馬市民たちの拍手喝采を一身に受ける美夜子。
だが世の悪党が滅んだわけではない。
美夜子はどう戦っていくのか。
それより、そもそも何者なのか彼女は。
大宮の摩天楼を舞台に、こうして物語は始まったのである。
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