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 毎日通る道を今日も通り、途中京介と会い、登校する。


 登校中、いつもならゲームの話やニュースの話をしているのだが、今日は違う。


「今日、行くんだよな?」


「ああ、行くよ」


 京介の声は緊張なのか不安なのか少し暗い。


 対して俺は平然と答える。


「だよな………ふぅ。よしゃ!」


 京介は両頬を叩き、


「全員助けるんだもんな! 気合い入れていかなきゃな!」


 自身に喝を入れ、不安を飛ばす。


「ところで、先輩は来ると思うか?」


「昨日同じ質問しなかったか?」


「したよ? いいじゃんか。なあ、来るか来ないか、賭けしようぜ。昼飯かけて」


 少し不謹慎なような気もするが、これが京介なりのいつも通りなのだろう。


 仕方ない。乗ってやるか。


「俺は昨日も言った通り、来ないに賭ける。流石に妹さんに付き添ってあげるだろう」


 昨日の美妃先輩の慌てようは、妹さん——真珠さんの愛情の裏返しだろう。


 それに、真珠さんを探しに、怪しいシンパンを連れて東京駅に来たのだから、愛情の深さは目に見えて分かる。


 だから、来ない。


「じゃあ、俺は来るに賭けるな」


「理由は?」


「だってあの人、やられたらやり返しそうなタイプの女性じゃない? 今頃、怒り心頭だったりして」


 そうか? そうは見えなかったんだけどな。


「それに俺らと一緒にいた方があの東京駅に行けやすいだろ? お前、から力貰ってるし、シンパンだってお前を必要としているだろうし」


 確かに世界彼女からという力は貰ったが、使い方はまだ分からない。シンパンがそんな俺を必要としているかも曖昧である。


 それにしても、


「お前、ちゃんと考えてるんだな」


「うんん? まあな、俺天才だから」


「言ってろ」


 会話をしながら歩いていると、校門前には人だかりが出来ていた。


「ほらな、来てるだろ?」


 ドヤ顔でこちらを見てくる京介。引っ叩きたいが、賭けに負けた俺がすることじゃ無い。


「しかし、マスコミさん達も忙しいね」


 京介が言った通り、校門前にいるのはマスコミ関係の人達だ。


 マスコミ関係の人達がいるということは、美妃先輩は学校に来ているのだろう。


「昼飯は学食な!」


「はいはい、って言っても俺達に昼休みがあるか分からないけどな?」


「えっ、なんで?」


 おいおい、昨日のことをもう忘れたのか? まあ、学校の後の出来事の方が濃かったもんな。


「だって俺達、学校途中で抜け出してんじゃん」


「………………………………………………あっ!」


 マスコミを掻き分け、校門に入り、教室に入ると、


「おお、お前たち、いいところに来たな。探してたんだよ、


 やはりというか、当たり前というか、昼休みと5限目を返上し生徒指導室へと連行された。




 

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