1
シンパンが去ったあと、美妃先輩と真珠さんは両親に電話をして、迎えの車に乗って帰って行った。
一緒にどうか、という誘いは向けたものの、それを断り別れた。
先輩達が乗った車は、やはりマスコミに囲まれ、車の後方にはパトカーが付いて回っていた。
「明日、美妃さんは学校来んのかね?」
「多分、無理じゃないか? 事情聴取とかマスコミ関係で家から出られないと思うな」
「確かにそうだよな」
電車内でそう話していると、急に瞼が重くなるのを感じる。
「………少し寝とけ。元々体力無いのに、あんだけ走ったんだ。眠くもなるさ」
確かに今日は疲れた。色々あり過ぎて、頭がパンクしそう………元々体力無いは余計だけど。
「肩貸してやろうか?」
「要らんお世話だ」
幸い、この号車には人が少なく席に座れている。
京介の言葉に甘えて、少し寝る事にした。
………
……
…
乗り換えのたびに起こされ、疲労困憊のまま家に着くと、俺はそのままベッドへと倒れ込む。
電車内で寝たと言えど、疲労はあまり抜けていない。
ご飯を食べず、シャワーも浴びずに、制服のまま泥の様に眠った。
早い時間に寝たおかげか、朝になると疲労は感じず、若干の筋肉痛はあるもの、体調は万全。
身体がベトベトしている様な不快感を洗い流すためにシャワーを浴び、空きっ腹に優しく無い冷凍の炒飯を温める。
温めている間、昨日の出来事がニュースになっているのか確認するため、テレビを点けると、やはり。
『7月12日の正午ごろに行方不明になった女子中学生が、その日の15時ごろに発見されました』
名前は伏せてあるが、真珠さんのことだろう。
『行方不明になった時間には友人達と電車に乗っており、東京駅に到着後すぐに、姿を消したとのこと。被害現場に居合わせた人のお話しによると『その女子中学生が東京駅に降りた所は見ておらず、瞬きした瞬間に消えていた』とのことです』
真珠さんの友人が言ったのか、それともその電車内にいた人が言ったのか、定かでは無いが、真珠さんが神隠しされるところを見ていた人がいたらしい。
『被害にあった女子中学生のお話では、『何も覚えていない。急に
ここからは大体予想つくので、ニュースを消し、行く準備を始める。
もちろん、東京駅………ではなく、学校にだ。
登校する前にいつもの——いや、今日は違うか。
「父さん、母さん。正義には色んな見方があるって言っていたけど、
記憶にいるアイツを思い浮かべて、
「本当の正義って何なのか分からないけど、間違った正義は正すべきだと思う。だから、正しに行くよ。行ってきます」
足は玄関へと、外へと向かう。両親に、正義に、自分の決意を述べてから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます