第三章 新生首都東京編
新生首都東京編 『眼球』
「まずは食の問題でしょう。 『密輸人』と交渉するにも差し出せるほどのものはありませんし、もし『
「まさか、一時期は『
天井のない廃墟の中心で缶詰の食料を人数分だけ開け、へこんだペットボトルの水を回し飲みする。
「新しい拠点を探しながら、『
「銃、か?」
「銃と弾丸、それと爆弾だ」
「爆弾なんて何に使うんだ、敵の『
「馬鹿いうな、クチキ。 あの憎い機械蜘蛛をぶち殺すんだよ」
小隊長として冷静さを保たなければならない立場上、感情を優先した発言はできない。
しかし、実際のところ小隊の中で最も憤怒していたのは、アギトだった。
「見たところ、あの『
「はははは、面白い、さすがアギトだ。 そりゃあ夢がある。 この屈辱はあの蜘蛛野郎をぶっ倒さない限りは晴らせないからな。 それで、歩幅ってのは?」
「昨日、前足を上げてるのを見ただろ? あの程度の可動域でしか脚が上がらないなら、一度ひっくり返れば、起き上がることはできない。 そうなれば、コックピットがあるのかわからないが、頭の部分を叩いて再起不能にできる」
そこで口を挟んだのは、地図と睨み合いをしていたトシだった。
「無謀です。 アギトさんの計画はいつも憶測ばかりです。 本当に小隊の安全を考えていただけるのであれば、例え夢語りでも、もっと慎重になってください」
「わかっている。 蜘蛛への報復は最終目標だ。 まずは、目の前の問題を処理しなければな」
昔は街と呼ばれていたコンクリートの海で、アギトが指を指したのは床や瓦礫、至る所に赤の塗料で殴り描かれた眼球の紋章だった。
「オレ達『大和』の拠点の象徴が旗なら、この廃墟群のどこかに潜む国の象徴は眼球らしい。 悪趣味な国章だ」
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