第8話 飲食店のキッチンの床掃除、排水溝掃除は大切なこと
さて、ホールのウエイターの仕事はオーダー取りやテーブルへの給仕、会計だけではなくシルバーすなわちスプーン・フォーク、ナイフやコップ皿などの掃除なども重要なことだ。
「かがりさんシルバーの掃除お願いします」
「はーい、任せておいて」
そしてホールのテーブルなどだけでなく店の入口の前や窓ガラス、洗面所の鏡や床なども常に清潔にしておく必要がある。
たまに飲食店なのにトイレがものすごく臭い店があるけどあれ結構致命的だよな。
そして俺にチーフからの指示が飛ぶ。
「相田!キッチンの排水口の溝とグリストラップの掃除、綺麗にな!」
「はいわかりました!」
こういったキッチンの床はタイル張りなどで水を流す排水溝がある場合があるがそこも当然綺麗にしないといけない。
最近の飲食店の厨房には衛生的にデメリットが多いという理由で排水溝を設けないことが一般的になってきているらしいけどここは結構老舗なんで普通に排水口が使用されているんだ。
でこの厨房の排水溝というのはこまめに掃除をしないと、ゴキブリやネズミなどの害虫害獣の発生や油が腐って悪臭異臭の原因、更には排水口が詰まって水が流れなくなる原因にもなり得る。
なのでこまめに掃除するのは大事なのだ。
「大事なのはわかるけどいい気分で出来るものでもないんだけどな」
まずは手を汚さないためにゴム手袋を着用し、床に潜在をまいてデッキブラシでゴシゴシこすって水で濯ぎ床掃除を行ない、それが終わったら排水口の蓋を外して、排水口の中には食べ残しを流したもの野菜の切れ端とかそういったものがたくさん落ちてるので専用の器具でそれをかき取る。
それから強力油汚れ用洗剤を排水溝と外した蓋の両方にまいてしばらくおいた後、デッキブラシでゴシゴシこすって汚れを落とす。
最後にホースで水を大量に流して洗剤をすすげばまず掃除は完了。
後はパイプクリーナーか塩素系漂白剤を排水溝と蓋にまんべんなくまき、デッキブラシで満遍なくそれを伸ばして、しばらく放置して除菌をした後これまた流水でよくすすいで蓋を戻せば終わりだ。
「ん、ぬめりなんかもないしこれでOKかな」
またラードなどの動物性油脂は常温では固形化するのでグリストラップという設備で直接下水に流れていかないようにされているがそこも掃除する必要がある。
グリストラップは野菜クズなどのゴミを受け止めるバスケット、固形化した脂を受け止めるグリストラップ、排水溝へつながるトラップ管のある場所の3つに大まかわかれてる。
まず排水溝から直接つながってるバスケットには厨房排水の大きなゴミが入ってくるので、毎日引っ張り上げてバスケットに溜まったゴミをゴミ箱に捨て、あとは強力油汚れ用洗剤を使いたわしで洗って戻す。
それからグリストラップの表面にに浮いて固まってるいる脂を専用の器具ですくい上げてこれもまたゴミ箱に捨てる。
最後にトラップ管を外して洗剤をつけてたわしでこすって汚れを落とし戻せばグリストラップの清掃も終わり。
「ふいー、きれいになったぞ」
俺が掃除をやった場所をちゃんと出来てるかチーフが確認をしてる。
「ん、今日は大丈夫そうだな、おつかれさん。
今日の賄いはボンゴレバシルだ」
実は最初は全然うまく出来なかったんだよな慣れというのは恐ろしい。
そして賄いはとてもありがたい。
「ひゃっほー、チーフのボンゴレバジルは最高ですよ」
「ま、最高のものを出さなきゃ潰れるからな。
お前も生半可に考えるなよ。
親父が店を立ち上げた30年前とは違うんだからな」
「はい!ここはお客さんが笑顔でレジしてくれるお店ですし、俺が入ってお客さんが笑えなくなったりしないようがんばります!」
「おう、その意気だ」
そして桜田さんも褒めてくれた。
「トイレ掃除をこまめに見て回ったり、キッチンに床掃除を毎日やるのはとても大事なことよ。
だから褒めてしんぜよう」
「ははあ、ありがたく存じます」
そんなことを言い合って俺たちは笑った。
そして其後の賄いでチーフがつくったボンゴレバシルを食べたがやっぱ最高だった。
ついてきたコンソメスープとキャベツにピクルスもうまかったな。
うん、まかないのメニューは可能な限り安いものではあるものの極貧の俺には本当ありがたい。
そしてオーナーやチーフのつくったパスタに追いつくにはまだまだ時間は掛かりそうだ。
一応コック見習いで入ったんだけどな。
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