第5話 卵レンチン大爆発と、学びについて

 インチキ臭いことこのうえない。


 まえ、わたしは自分の思うところ正しいことを書き、アマゾン・キンドル・パブリッシングで出版していた(KDPで現在もそのままにしている)。


 そうしたら、じつにけしからぬやつが表れたのである。KDPを悪用して、まったく薬学に知識のない人物が、自分のオンラインサロンに呼び込もうとして、いんちきばかり書いていたのである。


 そのころのアマゾンは、感想を書くことができたので、当然のこと間違っていることを冷静かつ丁寧に説明した。


 そうしたら、そいつのしつこい攻撃のすごいこと、わたしの評価に片っ端から悪評をつけ、当時千位くらいだったわたしのランキングは一気に落ちた。別に落ちるのはいいのだが、そのしつこさ、ねちっこさ、ずるがしこさには本当にアタマにきたわけである。そいつは、アマゾンの管理部門になにか問い合わせしたようで、それからしばらくは、製品の感想を書くことができなくなってしまった。


 事情を説明するメールを送ったところ、アカウントの書き込みはもとに戻されているが、バカ正直に間違っていること、人をだましている本を有料で悪意を持って売る人間に対する批評が怖くてできなくなってしまった。


 どうやら、その人物はオンライン・サロンで一儲けをたくらんでおり、著書も買ったが、まあただその一言につきる内容であった。でもって、誘導されたブログにまで行って、確信犯的なものを感じたわけである。


 しかし、こんなものは世間にいくらでもあるということを後になって知らされた。 youtubeだろうが、SNSだろうが、手っ取り早くカネを手に入れようと思うのなら、信者を作ってオンライン有料サロンに誘いこむことだって。


 最近になって、youtubeで婚活サイトを立ち上げた女性が言いたい放題の上に、ろくなサービスも提供せず、しかも有料オンライン・サロンに本人すら登場しない。一方で、youtubeでは個人が特定できそうなほどの情報を悪口(本人は愚痴といっている)を流しているのを見た。わたしはこんな小説で、つまらないことを数人ほどの読者にまき散らしてるクズでもあるが、そいつは論理もなにもない、訳の分からない動画を何万人もの視聴者に見せてカネを得てるわけである。


 まあ、そういったテクニックというのは理解したが、自分でやる気はしないし、同感もしない。おそらく、それをやったら、多分自殺してしまうほど気分が悪くなると思う。それで成功したと思ってしまうような人間にはなりたくなく、まったく、胸くそがわるいといったらありはしない。そんなことで得たカネは、わたしがおもうにはどっかの犬のフン以下の価値しかない。


 いや、わたしだって学会とかに招待されれば講演に行って、そこで自分の業績を話したりはするが、だからといってサロンに呼び込んでカネ巻き上げようなんて思いもしないわけである。


 むしろ、面倒くさいとおもって出かけてることの方が多くて、本業どうしようとか思ってたりするわけだよ。自分で書いた一節なんかのってたりする本が出版されると、赤字になっちゃうから何十部も買えとかいわれちゃって、たいへんな経済負担である。


 もう、なんというか、自分が信じてないことを流布する神経が理解できず、日本人が美徳としてきたモノを片っ端からぶち壊してるようで、ほんとにアタマにくるわけだ。


 日本人は学ぶことが好きである。それは事実だから、そういうサロンにいって学びたいんだろう。でも、もっとまともなものが世の中にはある。例えば、「放送大学」で放映されてる内容なんて、実に高度なことから容易なことまで網羅しており、よほどそちらで学んだ方が安くすむ。


 もうしわけないが、最近のNHKの科学番組、教養番組は非常にレベルが落ちており、おすすめできない。「レンズはさぐる」「ウルトラアイ」で山川静雄アナが体当たりで挑戦して、成果を学会発表していたころと話は違うのである。どこかの権威、一人だけを呼んでしゃべらせるということを平気でやっている。とても残念である。


 わたしはNHKの教養番組が子どものころから大好きでよく見ていたが、もう見ない。まったく、ハナシにもならないが、卵を電子レンジで加熱する方法、というのを実際にやって大迷惑をこうむった方だっているわけだよ、私も含めて。


 どうなるかって?やることはおすすめしない。


 第一の方法として、あげられたのが、水の中に沈めて、というものだが、私は大爆発を当時、寮の共用電子レンジでやってしまい、大迷惑をかけた。卵がレンジの中で大爆発するからだ。掃除が面倒といったら、ありはしない。そのあと、陳謝の放送と、続編として殻を割ってやればだいじょうぶ、目玉焼きだと、放送したのである。ところが、これも視聴者からの爆発事件告発により、失敗におわる。


 けっきょく、生卵の卵黄を包む膜が破裂したためであり、割ってぐちゃぐちゃにまぜた卵を加熱する以外にない、あるいは、殻を割って中身の卵黄膜にこせこせと楊枝でつついて穴をあけてやるということになった(誰がやるんだよ、茹でたほうが早いだろう)。凝りもせず、この話は二回にわたって、ストーリーが練り直され、放送されたがいずれも失敗であるのに、成功したといっている。古くからある教訓のとおり、生卵は容易にレンチンしないようにというのが最終結末であった。


 テレビで楽に学びたいのだったら、CSやケーブル、ネットでヒストリー・チャンネルとかナショナル・ジオグラフィックがいい。まあ、あやしいコンテンツもたくさんあるけどさ。雑誌だったら、サイエンティフィック・アメリカン(日経サイエンス)などがある。


 みんな、まともなものと、そうじゃないものを区別しよう。そして、その人物、メディアが信用にたるのかどうか、ようく見つめないといけない。そうでないと、だまされるだけじゃなく、周囲の人まで巻き込んで大勢の世論にまでなってしまうのだ。


 世論になってしまったら、たとえまともな思想を持つ政治家だってそれに逆らうことなぞ出来ないのである。



 

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