第36話 ネコまっしぐランド、開店!
翌朝。
猫実好和、起床。
彼は目覚めてすぐに自覚する。
昨日までの状態が嘘のようにすっかり快復したことに。
それからすぐに猫実好和はスマホを手に取ると、ちょうどそのタイミングで一通のメッセージが届く。
さや
「猫実くんおはよ~!
体調はだいじょーぶ?
今日もバイト代わろーか?」
猫実好和はすぐに返信した。
猫実
「おはよう遠藤さん。
昨日は本当にありがとうございました。
おかげさまですっかり良くなったので
今日はバイト出るよ。
お礼に今度、何かご馳走します」
彼はスマホを置いてベッドから立ち上がると、グ~ッと伸びをしてから窓に向かっていきカーテンをシャッと開けた。
窓の外から爽やかな朝の陽射しがキラキラと差し込む。
「良い天気だな~。
よしっ!今日はバイト行くぞ!」
朝支度を済ませ家を出る猫実好和。
彼が階段を降りてゴミ捨て場の前を通ると、一人のネコ娘が立っていた。
彼女を彼にニカッと笑いかける。
「おはようさん!すっかりようなったみたいやな!」
「おかげさまでもう元気です!今日はバイト行きます!」
「さっき、さやからメッセージもらって知っとったけど、実際に猫実くんの元気な顔を見てホンマに安心したわ!」
「ありがとうございます!」
「今日はナルともずきゅんが先に行って店開けとるから、ほなまた後でな!」
「はい!」
「あっ、そういえば......」
突然、アミ店長は何かを思い出したような声を発した。
「はい?」
きょとんとする猫実。
「猫実くんがネコまっしぐランドでバイトするきっかけになったのも、ここでウチと偶然顔を合わしたのがきっかけやったよな」
「そ、そういえばそうですね」
「いきなりバイトが一人休むことになって急遽猫実くんに頼んだのが始まりやったもんな」
「そうでしたよね。あっ、そういえば、その時に休んだバイトの人って、もう辞めちゃったんですか?」
「うん?何言うとんねん?まだおるよ?」
「え?だ、誰なんですか?」
「そんなもんさやに決まっとるやんか」
「え、そうだったんですか」
「もっとも、さやもその事をすっかり忘れとって、昨日になって思い出したみたいやけどな」
この時、猫実好和はストンと腑に落ちた。
先ほど彼が遠藤に送ったメッセージに対する、遠藤からの返信が次のようなものだった事の意味を。
さや
「いいよいいよお礼なんて!
やっとお返しできたようなものだから!
じゃあ、バイト頑張ってね~!」
そして猫実好和は思った。
実は自分を『ネコまっしぐランド』に引き入れた元凶は、遠藤さやであったという事に!
そんなこんなで......
猫実好和は店に着き、バイトに入る。
「おはよう!猫実くん!」
ハヤオンは相変わらず正統派美少女らしく可憐に微笑んだ。
「おはよう。ふんっ!どうやら良くなったみたいね。べ、別に心配してたわけじゃないけど......安心したんだから!」
ナルは相変わらずのツンツンぶりを見せながらも最後には根の優しさを隠せずデレた。(略してツンデレ)
「お、おおおおはよう!猫実くん!」
もずきゅんは相変わらずおどおどしながらも最近ではすっかり打ち解けた猫実に対し元気よく挨拶した。
「にん」
「わっ!千代先輩!」
「御早うでござる。猫実殿」
千代は相変わらずの忍者っぷりで背後から突然現れ驚かすように挨拶した。
「おはようさん!みんな揃っとるな!」
一歩遅れてアミ店長もやって来た。
さらに......
「やあみんな、おはよう」
アミ店長の後ろから満を持したように白髪の男性が現れる。
「オーナー!」
「おはようございます!」
その男性は『ネコまっしぐランド』オーナー、フユメソーセキであった。
彼は穏やかな笑みでひとりひとりを見回してから、猫実に歩み寄って言葉をかける。
「やあ猫実くん。どうかね?ここでのアルバイトは?」
猫実好和は屈託なく微笑んで答える。
「とても楽しく働かせていただいてます!
最初は正直不安でしたけど、今では皆さんのおかげで勤務日が楽しみなくらいです!
今後とも何卒、宜しくお願いします!」
「相変わらず猫実くんはマジメやな~」とアミ店長。
「フフフ。猫実くんらしくていいじゃないですか」とハヤオン。
「まっ、これが猫実くんの良いところでもあるのよね」とナル。
「こ、ここここちらこそ改めてよろしくね!!」ともずきゅん。
「同胞同士、宜しく願うでござる」と千代。
「さあみんな!今日も一日頑張るでぇ!!」
「おぉ~!!」
ネコまっしぐランド、開店。
猫好き大学生、猫実好和の、愛すべきネコ娘達との忙しくも楽しい一日がまた、始まる......!
[完]
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当作品を最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました!
また別作品にて、引き続きお付き合いくだされば幸いです!
ようこそ猫カフェ『ネコまっしぐランド』〜我々はネコ娘である〜 根上真気 @nemon13
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