第17話 歓迎会①

「ねえねえ猫実くん」

 正面のハヤオンがにこやかに話しかける。


「なんですかハヤオン先輩?」


「猫実くんは大学生だよね?何学部なの?」


「俺は法学部です」


「そうなの!?」

 ナルが大きく反応する。


「しかも猫実くんはええ大学行っとるんやもんな」

「ねねね猫実くんは、あああ頭が良いの?」


「ど、どうでしょう。勉強自体は苦手ではないですが」


「ちなみにナルも頭が良いでござるよ」


「ちょっと千代!ワタシの話はいいから!」


「ナルはお茶の水ネコ大学出とるからな」


「おちゃのみずねこ!?じょしじゃなくて!?」

 猫実好和はギョッとする。


「ナルはエリートネコ娘だものね」

 ハヤオンがナルに微笑みかける。


「そ、それならハヤオンなんてニャリス女学院のお嬢様じゃない!」


「にゃ、にゃりす!?」

 さらにギョッとする猫実。


「実際はそんな全然お嬢様とかじゃないよ~」とハヤオン。


「あとお千代もあれやもんな」

「そ、そうよ!頭良いといったらあなたよ!」


「拙者は伊賀く部出身というだけでござる」


「い、いがくぶ!?(そこは猫じゃないのか!?)」

 はたまたギョッとする猫実。


「ニャハハ!ウチの店はホンマにタレント揃いやろ?」


「そ、そうですね」

 圧倒される猫実好和。


「あと忘れちゃいけないのがもずきゅんね」

 ハヤオンが人差し指を立ててニコッとする。


「わ、わわわわたしは、たたたただの文学部の学生だよぉ!」

 頬を赤く染めながら両手をブンブン振って否定するもずきゅん。


「謙遜しすぎよもずきゅん」とナル。


「そうでござる。もずきゅんは大学一年生の時、すなわち若干十代で...」

「作家デビューしとったからな!」


「え!?もずきゅん先輩って作家さんだったんですか!?」


「や、ややややめてぇ~!」

 ウキ~!となって恥ずかしがりまくるもずきゅん。


「なんや有名な賞取ってたよな?」

「江戸川ワンポ賞でござる」


「そこはニャンポだろ!」

 思わずツッコむ猫実好和。


「あれ?◯ンポ賞ちゃうかったか?」


「ちょっ!?」


「◯ンポ賞でござったか?」

「せやせや!◯ンポ賞や!」


 ハヤオンは下を向いて黙る。

 ナルも下を向いて黙る。

 もずきゅんは形容しがたい表情で固まる。


 猫実好和は大きく息を吸って...

「◯ンポ◯ンポ言うな~!!」

 叫んだ。


「ちょっとアンタ。大きな声で何を言っているの?」

 ナルが蔑んだ目で彼を睨む。


「俺!?」

 驚く猫実好和。


「...猫実くん。私は...大丈夫だよ」

 明らかに引き気味で苦笑するハヤオン。


「最初に言ったのは店長じゃ!?」


「猫実殿。ドンマイでござる」


「あなたも言ってましたよね!?」


 大いに盛り上がる歓迎会。

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