第16話 ようこそ猫カフェ『ネコまっしぐランド』へ!

ーーーーーー


 二週間後。


 土日はもちろん、授業が早めに終わる日も含めシフトに入れるだけ入っていたのもあり、すでに猫(娘)カフェのバイトにも慣れ始めていた猫実好和。

 彼は個性豊かなネコ娘達ともすっかりとうまくやっていた。

 そんな塩梅のある日のバイト終わり。


「猫実くん!今日はあとは帰るだけ言うとったよな!」

 アミ店長がフロアの片付けをしながら猫実好和に向かって元気に話しかけた。


「そうですけど?」

 猫実は片付けを手伝いながら返事する。


「ほな、今日やるで!」

 店長は仕事の手を止める。


「何をですか?」


「それはねぇ......」

 ハヤオンが猫実の後ろからひょいと可憐に現れる。


「ハヤオン先輩?」


「えっ、あんた本当に何にも聞いてないの?」

「わ、わわわわたしは言おうと思ってたんだけど」

 ナルともずきゅんが厨房からやって来る。


「?」

 相変わらず何のことだかさっぱりな猫実好和。


「にん。猫実殿、あれでござるよ。あれ」


「わっ!千代先輩??」

 いつの間にか猫実に肉薄して至近距離から何かを示唆する千代。


「あ、あれって何ですか?」

「あれと言ったらあれしかないでござろう」


「あれとはあれや!」

 アミ店長が叫ぶ。


「だから何ですか!?」

「そんなもん決まっとるやろ?新人歓迎会や!!」


 ということで...


 猫実好和歓迎会。

 急遽、開催の運びとなる。(猫実だけ聞かされていなかっただけ)


 会場は、ここ。

 猫カフェ『ネコまっしぐランド』


「ここでやるんすか!?」


「せや!なんやかんやネコ娘はここが一番のびのびできるからな!」


「じゃあ準備始めるよ~!」

「おー!!」

 ハヤオンの可憐な号令とともにネコ娘達はせくせくと準備を始めた。


 数分後...。


「ほな座ろか!」


 一同は四人席のテーブルを二つ繋げて三人づつで向かいあって座った。


 猫実好和はもずきゅんとナルに挟まれ、正面にはハヤオン、斜向かいにアミーナ店長と千代がそれぞれ座った。


「料理は全部手作りやで!」


 テーブルにはパーティー的な料理と飲み物がズラリと並ぶ。

 それらを短時間で用意できたのは、どうやら猫実に隠れて皆んなで仕込んでいたらしかった。


「こ、ここまでしていただいて、本当にありがとうございます」

 猫実好和は肩を縮こませて恐縮する。


「そんなにかしこまらないで!みんなやりたくてやってるんだから!」

 ハヤオンがキュートに微笑む。


「せやで!こーゆーんは楽しまんと損やで!」


「わ、ワタシ達が歓迎してあげるんだから、ありがたく思いなさい!」


「ちゃ、ちゃちゃちゃんと味見もしてあるし、いいいっぱいお召しあがりください!」


「そこのかっぱ巻きは拙者が作った。どうぞご賞味あれ」


 そして...


「ほんだら始めるか!みんなグラスを手に持ちや!」

 店長の言葉とともに皆グラスを手にする。


「......猫実くん!ようこそ!猫カフェ『ネコまっしぐランド』へ!カンパ~イ!!」


「カンパ~イ!!」


 歓迎会、スタート。

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