第7話 可憐なる魔の手
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夕方。
勤務を終え、バックルームで帰り支度を整える猫実好和。
「......さ、散々な一日だった......」
もはやげっそり憔悴した猫実好和のもとへ、ドタドタと元気な足音が迫る。
「お疲れさん!猫実くん!」
相変わらず元気なアミ店長が駆け込んで来た。
「あ、お疲れ様です」
疲れで素っ気なく返事する猫実。
「猫実くん!あんなぁ?」
「いえ、結構です」
「ちょっ、まだなんも言うてないやんかぁ!」
「...一応聞いておきますが、何ですか?」
「明日も朝から...」
「無理です」
「なんでやねん!」
「いえ、無理なもんは無理です」
「かーらーのぉ??」
「てゆーか明日フツーに朝から大学ですから」
「なんやバイト来てくれはったらまたもずきゅんのチチ揉ましたるのにぃ」
「...それ完全にコンプラ違反ですよ店長。...でも、もずきゅん先輩には本当に申し訳ないと思っています」
「はぁ、残念やわぁ。ハヤオンも千代もみんな猫実くんのこと気に入っとったのになぁ。たぶんもずきゅんもやで?ナルはわからんが」
「......そ、そうなんですか??い、いや、俺は帰ります」
「まあ、一応考えといてえや。猫実くんならすぐに本採用やから」
アミ店長はニカッと笑った。
「ま、まあ、一応、考えてはおきます。お疲れ様でした」
猫実好和は言葉を濁しながらそそくさと通用口から店を後にした。
......
バックルームに一人になったアミ店長のもとへ、スッと可憐なる何者かが現れる。
「店長」
「おっ、来たか。ほんだら明日...よろしくな」
「はい」
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翌日。
爽やかな朝の陽射しが注ぐ中、猫実好和は家を出る。
「......よくよく考えたら、アミ店長と同じアパートなんだよな。出くわしたら気まずいからさっさと行こう」
そそくさと駅に向かう猫実。
この時、彼はまだ気づいていなかった。
ヒタヒタと忍び寄る可憐なる魔の手に...。
夕方。
一日の授業が終わる。
大学から駅までの道をてくてく歩く猫実好和。
「あぁ~終わった終わった。今日はちょっと買い物でもしていこうかなぁ」
猫実が駅前をブラブラ歩いていると、ふいに彼のもとへ一人の女性が近づいて来る。
「あれ?猫実くん?」
「ん?あっ、ハヤオン先輩!?」
なんと、猫実好和の前に現れたのは、正統派美少女ネコ娘ハヤオンだった。
彼女の服装は私服のカジュアルなワンピースだったが、獣耳と尻尾がむき出しなのもあり、パッと見で一目瞭然だった。
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