第3話 恐怖の生き物

 転校生の話題が冷めやまない昼休憩

 僕はあいも変わらずプロットに頭を悩ませている。

 他のクラスメイトは僕の前右斜めの席となった転校生の周りをパパラッチのように取り囲んで、前の学校どこ?、今日一緒に帰ろ、LINEやってる?教えて教えて...etc

 主に女子達が質問攻めしつつ、男子共が遠回しにそれを聞いてニヤけている。実にキモい。

 近くで騒がられると考えが纏まらないから余計に苛ついてくるので、仕方ないから図書館でも行くか、と思いつき立ち上がり誰の目にも止まることなく教室を出た

 ...と僕は思っていた。



 昼休憩中の図書館は基本的に委員会の人以外いないことが多いのだが今日は違った。


「ねぇねぇ 君が書いてるのってさ」


 先程まで大勢に囲まれてた転校生が何故か僕の目の前にいる状況をどうにか飲み込もうと思考するが頑張っても何故こんな事になっているのか皆目見当がつかない。しかも当の本人は友達と話すノリで普通に話しかけてくる。人とのやりとりを必要最低限の会話で済ます僕に取って目の前の存在はまさに正真正銘の得体のしれない恐怖の生き物と変わらない。

 そんな生き物が僕になんの用なのか。

 すごく僕のノート見てるが...


「プロット書いてるってことは小説か漫画書いてるの?」


 転校生から発せられた言葉に僕は目が見開き、纏まらない思考回路が余計にタコ配線のように絡みついてしまう。

 【プロット】というまんがや小説におけるいわゆる設定集を知ってる人がそんなに多くいるとも思わないし、目の前のいかにもスポーツ少女で本とは無縁そうな雰囲気がある転校生からその単語が出たことに驚きを隠せない。

 でも転校生はそっからさらに度肝を抜く一言を僕に浴びせてきた。


「実はさ、私小説家なんだ」






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