第2話 小説のような話
いつもの道を歩いて、学校へ向かい。クラスメイトとおはよ~、おいっす、などの申し訳程度の挨拶を交わして自分の席に着く。何も変わり映えのない日常に今日は少しだけスパイスが加わる。
「えーこの時期に珍しいが転校生だ」
朝のホームルームに先生が言った一言は普段話をまともに聞かない生徒たちも喜ぶ大ニュースだった。
「お前ら静かにしろ! さぁ入って来て」
みんな静まり目線が教室のドアに釘付けになる。他人事のように語ってる僕も実際気になっている。こんな人生を左右するかもしれない高校二年の冬に転校してくるなんて小説でしか聞かない話だ。
(なんかネタになるかも)
ガラガラ
どこか期待と緊張が張り詰めた冷たい冬の空気を漂わせてる教室に一人の少女が入ってきた。
「はじめまして! 今日からこの学校に転校してきました。よろしくお願いします」
教壇にサッと一直線に向かい大きいのにうるさいと思わない透き通った声で運動部みたいなハキハキした自己紹介を始める転校生。
傍から見ても分かる。
この子は天性の根明。僕の陰キャセンサーが「危険」と判断してる。
自然と僕とは無縁、と決めつけ先程まであった興味をポイッと捨て机に広げてるノートに興味を戻す。
そう僕は、そんなことにうつつを浮かしてる場合じゃないんだ。そう自分に思いこませプロットと書かれたノートに殴りかかるような気迫で文字を綴り始める。
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