夢に没れ、君に溺れる
りゅうのしっぽ
第1話 はじまりの第一歩
雲ひとつ掛かっていない星空を見上げながら湖ぐらいの広さはあるだろう水面をプカプカ浮いている。
ただ一人、星を見上げながら浮いている。
でも心が休まる時間は永遠ではないと突きつけるように僕の体は急に沈んでいく。
水の中なのに何故か息苦しくはない。
でも美しい星空が水の世界に濁されて見えなくなっていく。
底を感じさせない暗闇にどんどん体が沈んでいく...
あぁ今日も僕は...
ジリリリリリン ガッ
眠たさから来る多少の苛立ちからうるさい目覚まし時計に八つ当たり気味に止める。
しかし...
ジリリリリリン ジリリリリリン
目覚まし時計はあざ笑うように再度鳴り始める。
「いい加減起きなさーい」
下の階から母による催促も来たので僕は心地良い温もりになっている布団をめくり上げ起き上がる。
「う~さっむっ」
なんてたって季節は12月中旬、朝の空気はパッとしない夢の世界の余韻から現実に引き戻してくる。
しかし、残念なことに今日は平日。
高校二年の僕は勉学に勤しむため学校に向かわないと行けない。二年にもなると進路の事もあり、特に単位とか内申点とかを気にする時期。
しかも僕には大切で譲れない夢がある。
そのために寒いからと仮病を使って休めるほどの余裕など僕にはない。そもそもやる度胸もない
僕は、諸々支度を済ませ学校へ向かう。
「行ってきまーす」
「気をつけていきなさいよー」
いつもの聞き慣れた会話を交わし、玄関の扉を開けて外へ踏み出す。
そして、目まぐるしく回る僕のいつも通りの一日が始まる。
はずだった...
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