第48話(エンディング):このまま変わらずにイキましょうネ♡

「せんぱーい、愛しの愛奈ちゃんがきましたよ~♡」

「よし行くか」

「せっかち! でも、水泳教室に遅れちゃいけませんね、ちょっと急ぎましょうか」


 公園で待ち合わせをした俺達は肩を並べて市民プールへと向かう。

 今日はゴリクマさんへの恩返しとして、以前のように水泳教室の指導役を仰せつかっているからだ。


「やー、プール楽しみですね~。バイブス上がりすぎて中に水着着てきちゃいましたよ♪」

「そんな小学生男児みたいな事を……」

「そういう先輩だって水着、着てきてるんじゃないデスか?」


「これはココに来る前に部活でひと泳ぎしてきたからだ」

「タフですネ! でもヤリすぎはダメですよ?」

「わかってるさ。もうあんなことにはならないよう、元哉達からも散々言われてるしな」


 結局のところ、ではあるが。

 俺は元いた場所に、戻るべきところに戻るような形となった。今思えばどうしてあんなに気落ちしていたのかわからなくなりそうだが、二度とああなるのは御免なので嫌な教訓として覚えておかねばならない。


 そして、それとは別に大きく変わったところもあるわけで……。


「ん? どうかしました? あ! あたしがあまりに可愛く見えちゃってキョドってるトカ!?♪ ああ、ダメですよ博武先輩こんなどこに人の目があるかもわからない公園でだ・い・た・ん♡」

「そんなこと言って本気でしようとしたらお前、嫌がらないだろ」

「はぁ、それがナニカ?」


 コイツ、なんて綺麗な目でなんてアホなことを……。


「だってそうなったらあたしは先輩に触れますし、先輩はあたしに触れる。お互いに発散出来てウィンウィンじゃないデスか♡」

「それもどうなんだ……」


 ガッツリ否定できないのが悲しいところだが。


「まぁまぁいいじゃないですか。難しく考えず、楽しくヤれれば♡」

「…………」

「今めっちゃエロい事考えてますカ?」

「ご、誤解だ」


「デスヨネー♪ このあと子供達に教える人がそんなのは……ねぇ?♪」


 こいつわかってて言ってやがるな腹立つわぁ。


「愛奈だけスペシャルメニューでみっちりやるか」

「うわ、パワハラですよパワハラ。指導側の立場を利用した汚い手段デス! 誰もいないロッカールームに連れ込んでとても人には話せない事をやるつもりデスネ! よっ、鬼畜大統領!!」


 本気でやったろかいと思わないでもないが、まあそれは大げさだな。

 せいぜい子供達の前で情けなく見えない程度に指導してやるとしよう。


「ああー、楽しみだな」

「ですです、この先も超楽しみ☆デスね!」


 おそらく言葉は同じでも想像は全く違う。

 だが、それでいいと思う。


 俺はもうしばらくの間、この未知の後輩ギャルに付き合って楽しくやっていきたい。呆れてる半面で、強くそう想ってしまっているのだから。


「肉体と遊びの関係同士、仲良くしましょうね先輩☆」

「素直に頷くと思ったら大間違いだからな?」


 まだまだ暑い日が続く日々の中で。

 俺達はこの曖昧で変な関係のまま。


 俯かずに顔をあげて、前の方へと泳いでいくのだった。

 

 



おしまい


 

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