第10話 廃人

 たくさんの不安感に襲われていて、私はこの先、生きていけるのかということを考えるようになり始めた。死にたくはないが、生きていたくもない。そんな状態だった。この時も、筋トレだけは続けていて、その効果でなんとか自分を保っていたが、もしどこがでやめていたら、あるいは、最初からやっていなかったら私は今ここにいないかもしれない。もともと運動でストレスを発散するタイプの人間だったため、この時の対処法としては自分に合っていた。

 それでも、運動や勉強など何もしていない空白の時間があると不安感と恐怖感が襲ってきた。この時の精神状態は、もはや会食恐怖症だけではなかったのかもしれないが、病院に行こうと考えても怖くて行けなかったし、行動する力さえ出てこなかった。

 そして、自尊心やら自己肯定感などをすべて失い、自分の無価値さを感じながら冬を過ごした。

 

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