第6話 心の支え

 当時の私の心の支えは彼女だった。彼女はとてもやさしい性格で、気配りもできた。そして、遠距離恋愛だったが、辛いことがあったとしてもメッセージのやり取りや電話をすれば悩みなどなくなった。私にとっては完璧な彼女だった。しかし、私は会食で悩んでいることを彼女に言えなかった。そもそも人にこんな当たり前なことができないなんて恥ずかしくもあり、怖くもあって言えなかった。もし言えていたとしても、彼女は心配し気を遣うようになってしまうだろうからそれは私が嫌だった。

 唯一会食できた彼女であったが、ある日、理由は分からないが彼女との食事で発作が出た。自分としてはかなりのショックだった。今までは自分が意識してしまうことから発作が出ていたのに、今回は無意識だった。しかも、今までずっと出なかった人の前で。

 それから少ししたころ、お互いいろいろあって別れることになった。別れる間にも一度食事に行ったがそこでも発作が出た。この時私は、もう誰と食事しても発作が出てしまうと絶望している状態になった。

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