第83話
それすらもあやふやな現状だ。
だったら、その青龍とか神獣を抱けるという、そういった人間の所為にしようとしても、それはほんの一部の事で、真実は人間が起こす惨劇でしかありえない。
そんな惨劇の中で人々の力や憎しみが、大地の大神の厭う穢れを、作り出しているのかと思いたいが、宮部や長谷部の話ではそうではなさそうだ。
つまりは人間が人間の為に創り出す、豊かな文明こそが大神の厭う物であるならば、いずれ近い未来に、大神達による制裁を与えられるだろう………。
「帝は日本の生き物達を此処に………とお考えの様す」
「…………である。それに反応したのが、天の大神様だ」
「はぁ………今日本に降臨しているとか?」
「あのお方は、柔らかい物でできておいでゆえ、それは煌びやかなお方であるから、煌びやかな物が大層お好きなのだ」
「そうなんすか?」
「私が幼い頃一度だけお遭い致したが、それはお美しく輝いておいでで、そのお姿が判然と見えぬ程であった。美貌を誇りと致す
「スッゲェ……皇后様の上を行くって?」
心中ダダ漏れ佐藤、だが皇后は機嫌が上がる。
「そんな方ゆえ、大層近代文化をお好みだ」
「特に!スマホがお気に入りとか?」
「………新しい物好きであられるのだ。ゆえに今の文化を、消滅させるおつもりは無い」
「えっ?………っていうと、天変地異は?」
「そこだ佐藤」
皇后は、キリッと佐藤を直視した。
「あのお方は日本をお気に入りだが、他の国はそうでもない。何せ天地創造において、あのお方も日本に在わしたのだから、仮令お気に召さぬ最高神が在わそうと、日本を慈しんでおられる………で………」
「ええーーー日本だけ持って来て………」
「あとは知らぬと致されるが、あのお方のご性分なのだ」
………マジかー……他国は他国の大神が、どうにかするだろう………
つまり他国の神が同じ事をしないと………。
「かつて幾度と無く、地上を無とされた事があるお方ゆえ、何をお考えであるか解らぬ………ゆえに今上帝は、悩ましく思召しておられるのだ」
「あーーーなんか………火山が噴火とか、地震が起こるとか………」
「さよう。大地の大神様は、天の大神様とは真逆で、固い物でできておいでゆえ、とにかく融通が利かず頑固なお方で、やはり神々しく輝いておいでだが、屈強で猛々しい感じだ。ゆえに全てにおいて真逆ゆえ、お二人の意見は衝突しか致さぬ。が、天の大神様の方が地の大神様より年上の為殆ど大地の大神様は勝ち目がない」
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