第73話
「男の神様で、そんなに綺麗なんだ?」
「いやいや、佐藤君」
酔っ払い長谷部は、少し体をゆらゆらさせながら、陽気に笑って言う。
「男神とか女神とか言うけども、実は大神には区別がないと聞くぞ」
「えっ?男でも女でもないんすか?」
「だから大神なんだよぉ〜」
酔っ払い長谷部は、更に声を上げて言った。
「………むふふ、むふふ………そんな綺麗な大神様がさー、いとも簡単に……いとも簡単に地球上の生き物を、抹殺しちゃうんだから、大神様って怖いよねー」
「ま、抹殺すか?」
佐藤が食う事を忘れて聞くと、宮部は睨み付けてくる。そんな事など構いなしの酔っ払い長谷部は、ウンウンと大きく頷いた。
「物凄ーく物凄ーく、天変地異を起こしてさー、生き物全〜部消滅させちゃったんだってぇ、マジすげーよなぁ?」
ケラケラと笑い出した酔っ払い長谷部を、抱え込む様にして宮部は
「解りましたから………長谷部さん。少し休みましょう?」
と促すが、酔っ払い長谷部は宮部の両頰を掴んで、ジッと宮部を見入った。
「宮部ちゃん。天のもう一人の大神って誰だ?」
「今上帝の祖神であられる………最高神で太陽神です」
「あったり〜!宮部ちゃん凄っごい!」
とか言いながら、宮部の頰を叩き始めた。
「ちょっ……長谷部さん。宮部さん痛いっす」
佐藤が箸を置いて、慌てて二人の側に駆け寄って制止する。
「………天の大神が二人もいちゃさー面倒くさいよね?面倒くさい………だろ?………で、その祖神の大神様と、大地の大神様の対の天の大神様が、仲悪いんだってさー」
「えっ?」
神様情報、何処から来た?
「………んでさ。此処には実は、祖神大神は在わさないのさ」
「えっ?居ないすか?」
酔っ払い長谷部は、コクコクと頷いて天を見る。
「さぁ何処に居るのでしょう……か?」
「えーと………」
真面目に考える佐藤を無視して
「はい。日本に在わされます」
グッタリ感を露わに、宮部が言った。
「ピン・ポーン!」
………マジかぁ………
「天照大神は、日本の神社に祀られてますから………」
「…………では、対の大神様は、何処に居るのでしょうか?」
「はい?」
宮部が予期せぬ質問に、たじろいでいると
「チ、チ、チ、チ………」
酔っ払い長谷部は、立てた人差し指をフリフリ言っている。
「此処の天国」
佐藤が言うと、酔っ払い長谷部は、吃驚した様に宮部と佐藤を交互に見た。
「天国じゃないけどね………天に居るんだよ〜」
「えっ?天国じゃないんすか?」
「そういう諸々が、お嫌いなお方なのさ」
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