第68話
「いや!いやいや佐藤君。君の所為じゃないから」
余りに佐藤が愕然としたから、長谷部は大慌てで声をかけた。
「佐藤君の所為じゃないから………もう、外界の人間だって、そろそろヤバい事は、解りきっている事だ。それに直ぐに、どうこうなる訳じゃない」
「えっ?」
「やっ、だから。そうなる前に徐々に、受け入れ準備を進めるという事なんだ」
「それでは、まだそうなるとは?」
愕然とする佐藤の代わりに、宮部が聞いた。
「そうそう………このままであれば、近い将来天変地異が起こる。これは、外界の専門家達の意見も同じだろ?当然そうなるらしい」
「つまり専門家達の言っている事は、強ち間違いではないという事ですね?」
「強ち間違いではなくて、そうなる訳だ。が、専門家達の言うところと違うのは、ソレを大神達が執行するという事だ」
「大神達?」
「………まずは、この国についてから、話す必要があるね」
未だに茫然自失となっている、佐藤を見て長谷部は、落ち着いた様子で言った。
「まずこの国は、大地の大神が造った事は知ってるね?」
長谷部は、大きく頷く二人を見て、確認する様に頷いた。
「最初に日本を造って、大地の大神は天の大神に譲ったんだ。すると天の大神は、子孫を降臨させて国を作り統べらせた。大地の大神って、固い物でできているらしくて、それだから融通がきかないらしい。その為八百万の神々に煙たがれて、幽閉される憂き目となってしまった。そこで大地の大神は、自分の居場所を此処を造って在わす事とされた。そして前の経緯から、天の大神の子孫に国を統べらせた。大神のちょっとは、人間にとってかなり大きくて、隣に造ったはずの中津國は、地図上ではかなり日本から離れた所に存在する。ただ大地の大神が隣に造ったのだから、実際のところ、隣というか地続きで繋がっている………と言っても、ソレは我々が感じる所の、地続きとは異なる」
長谷部は、二人が理解しているか否か、表情を汲み取りながら話を続ける。
「当初他の創造の大神同様、お隠れとなるつもりだった大地の大神だが、余りの頑固な性格ゆえに、他の大神達ともそりが合わず、自らの居場所として此処をお造りとなり、ずっと此処に在わす事となった。そんな隠遁所的にお造りとなった所だったが、ある時先に造った国の状況をご覧になられ、その他の国々の状況をも鑑みられて、ある懸念を持つ様になられた………」
「文明の進歩……ですね」
宮部の言葉に、長谷部は大きく頷いた。
「神々は、先を見通されたり見透かされたりする。何をご覧になられたのか、大神はある事を天の大神に申し付けられた………」
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