第67話
………そんな帝が、召喚できるなんて………
帝はいつも宮中の奥に居て、佐藤達と駄弁っているだけなのだ。
だから佐藤は、帝は神の様に崇められて、神その物の様に尊ばれているが為に、人々が神獣を抱いていると思いたいのだと、そう思っているのだ。
佐藤はとても失礼……不敬な事に、今上帝をそんな風に思っている。
そして此処では、皇后とか中宮とかいわれている帝のお嫁さんは、神獣の
「………して、何ゆえの理由で、我々は此処に呼ばれているんです?」
さすが宮部だ。唖然としている佐藤とは違って、要点を聞いている。
「………いずれ日本人を、此処へ呼び寄せる御心なのだ」
「日本人を此処へ?………中津國にでございますか?」
「うん」
神妙に聞く宮部に対し、長谷部も真剣な表情を作って答えた。
「どうして?」
「…………いずれ外界では、大きな天変地異が起こる。それもかなりの大きさでだ………」
「えっ?」
神妙に聞いていた宮部だけでなく、唖然としていた佐藤も長谷部を正視した。
「この国は、外界である日本と比べる国なんだ」
「日本と比べる?」
「………外界の汚染状態を此処と比べて、汚れれば浄化をする。それが今大地の大神が、この国に在わす理由だ。そしてその比べるべき日本から、人間を呼び寄せて、その汚れ具合を確認する。それがこの国の天子の役割だ」
「……………………」
「我々も充分知っている通り、地球の汚染状態や環境は良いとは言えない。主上はその汚れ具合を、呼び寄せた人間から測る能力を持って産まれる。ソレを持っている
「えっ?つまり俺の汚れ具合で?」
佐藤が、慌てふためく様に言った。
「まぁ………そんなとこかな?」
「えーーー」
佐藤が、蒼顔を作って言った。
…………マジかー?自分の汚れ具合で、天変地異とか起こるなんて、怖すぎだろ………
さすがの佐藤も、愕然として突っ伏してしまった。
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