第64話

 一体何で、できているのだろう?

 日本でも、これを使って欲しい物だ。否々世界中で使えば、海の汚染が緩和されるに違いない。

 そして風神様の加護で、洗濯物がよく乾くから、貴族のみならず市民達とかも、よく洗濯して綺麗な服装で暮らしている。

 こういった事がそこかしこにあって、近代的じゃないんだけど、近いというか負けてない感じがしなくもなくて、自然保護とか環境保護からしたら、全然此処の方が凄いのかもしれない。

 食べ物は天然物か、無農薬な物しかないし、添加物とかも無いのだろう、此処に来てアレルギー体質が改善されてしまった。だけではなくて、お肌プリプリのスベスベモチモチになってしまった。

 そんな佐藤だが、なかなか明里さんの着付けとか、風呂上がりの体拭き拭きとかは、どうしても慣れないというか抵抗があるから、自分で出来る所はやらせてもらう様にしている。

 つまり白張は自分で着ていて、それを下着代わりにもしている。

 何せ日本に居た時から、パジャマ兼部屋着兼、寒い時にはその上にトレーナーとか着ていたんだから、大して感覚は変わらない。ただ白張は佐藤の気に入りだから、たぶん他の人よりいっぱい持っている。

 白張の上からなら、明里さんに着付けてもらって大丈夫になった。多少今でも側に寄られると、ドキドキしてしまうけど………。

 此処で云う狩衣かりぎぬとかいうのは、佐藤でも案外着やすくて着ている。着付けるのは明里さんだけど。

 意外にも日本でも馴染みがあって、神主さんとかが着ているのだそうだが、それとは少し違う様で、古の狩衣に近いと宮部が教えてくれた。

 あとは陰陽師でも有名らしいよ、と宮部が言ったが、陰陽師自体を佐藤は知らない。ただ此処にも、陰陽師という職種の官人が居て、そいつらとは顔を合わせる事はある。


 さて明里さんに着付けてもらって、官服から私服に着替え終えた頃、寝殿の宮部が呼んでいると、此処では女房と呼ばれる、メイドが言いに来た。


 …………ああ、先輩で上司の………


 とか思いながら、慣れた様子で渡廊とか呼ばれる、渡り廊下を歩いて行くと、これももはや見慣れてしまった、簾の高級版みたいな御簾を潜って中に入る。

 寝殿造りって面白くって、母屋と呼ばれるフローリングの部屋の周りに、囲む様にひさしと呼ばれるフローリングが張られていて、その外側に簀子すのこと呼ばれる、廊下みたいな板敷………結局フローリングがある。

 結局板敷なので、みんな廊下みたいな感じだけど、自然天然物の宝庫である此処の木材だ、日本の新建材なんかより全然見た目が凄い。

 木の息遣いを、感じるってヤツだろうか?

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