第53話
「僕らは、日本の一般市民として発言するだけ。勝手に言いたい放題を言う。すると今上帝が答えを出す。第一此処じゃ、政治的に問題なんて起きないからさ。貴族の政権争いくらいかなぁ?それも今上帝の範疇での争いだ。それ以上なら、今上帝が放っておかない」
「今上帝って、凄いんすねぇ………」
だけどなんだろう?何処かの独裁者とは、なんか違く思える。
「何せ、青龍を抱いているからね」
「………そうそう。その〝抱く〟ってどうす?持って生まれた能力って事?」
「………そういう事とは、ちょっと違うんだが………天の大神の子孫である帝は、その血を受け継いで流している。皇家同士の婚姻だけではなくなって、他氏……つまり上級貴族の姫様との、婚姻も行われる様になった。のみならず、多種族との婚姻も此処では在るんだ」
「多種族?魔族とか妖精族とか?」
「神族というのかな?此処は神様が多いから、神様の子孫とか眷族とか?鬼とか妖とかも、地方では聞く話しだな」
「え〜」
「………とは言っても、皇家は天の大神の子孫だからね?それなりの神様の姫様が婚姻してる」
「此度の主上様は、青龍をお抱きとなられますゆえ、
「瑞獣鸞?」
「吉兆を告げる瑞獣だ。鳳凰と先祖を同じくする尊い神獣だから、鳳凰同様青龍の力を抑えると言われていて、青龍を抱く帝には、鳳凰族か鸞族から輿入れする事が多いそうだ」
佐藤が眉間に皺を作る。
話しが難しいのか、こういった話しが苦手なのか、はたまた理解できないのか………とにかくそんな感じだろう。
理解して行くには、もうちょっと此処に慣れなければ無理だろうと、宮部は判断した。どの道暫く今上帝の側に居れば、自ずと解ってくる事だ。
「あの帝………俺より若い感じしたけど、結婚してるんすか?」
………やっぱり………
宮部の判断は、間違っていない。
「………それより、冷めぬ内にお召し上がりください」
延登子さんが、宮部の表情を読み取って、場を繕う様に言った。
見ると脚付き盆に、小皿がいっぱい。その脚付き盆も三個か四個も置いてある。
「凄い料理すね?」
「此処は食材には、事欠かないんだ。農薬とか化学肥料なんて物も無いから、健康にいいが気を付けないと、厄介なタンパク源を頂く事になる」
「厄介なタンパク源?」
「虫とか虫とか虫とか………」
「はぁ?」
「無農薬って、そーゆー事だろう?………で此処の人々は、ソレも神様からの賜り物として、有り難く頂く訳さ」
ゲゲゲ………。
そんな事を始めて聞いた佐藤の、箸を持った手が止まる。
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