第52話
「どうだった?明里を佐藤君付きの、女房に選んだのは延登子なんだ」
宮部はかなり意味有りに言って、美人の奥さんと見合って笑ったりしている。
「あーいや………俺……僕付きのにょうぼうさんは、その……要らないっす………ってか慣れてないので………」
しどろもどろに、赤面などしてしまう。
昨今の日本男子は、意外にも純情で草食なのだ。
「ああ。慣れないよなぁ。でも段々慣れていかないとなぁ………」
「………とか申されます殿も、同じではございませんでしたか?」
超美人妻延登子さんが、宮部を見て微笑んだ。
「まっ………そうなんだが………」
宮部は、ちょっと照れ顔を作ると
「………延登子も、僕の身の回りの世話をしてくれていて、結婚する事になったんだ………だから佐藤君にもいい娘を、と延登子が言ってね………かなり良いチョイスだろ?」
とか言ってニヤニヤ。
「………はぁ………」
「ずっと言ってる様に、僕達日本人は、特別待遇の貴族待遇なんだ。と言っても、お役的に大した事をする訳でもないんだけど、待遇は貴族………中級貴族以上で今上帝に近く置かれる訳だから、生活様式も貴族的なんだ。まっ、今上帝から賜る………与えられるのがそんな感じだから、そうなってしまう」
「与えられる?」
「例えば屋敷とか、それに付随する使用人とか……」
「えっ?使用人も派遣されるんすか?」
「うん。大体中級貴族以上だと、代々仕えている使用人とかいるんだが、僕らにはいないから、官位の低い官人とか、雑色とかが派遣されてくるんだ。
雑色とかいうのは、雑用をする下男だから身分が低い。そんな彼らが僕らの使用人になると、身分が上げられて出世する感じかな?それから此処の貴族は、格下貴族は格上貴族の部下という立場だから、まっ上司のお世話をする立場になる訳だ。使用人みたいな、扱いの場合もあるらしい。そういった構図は、何となく今の日本でもあるだろ?ところが、僕達にはそういったしがらみが無いからさ、先に日本から来た人間が上司?みたいなもので、その上に直に今上帝が居る感じかな?」
「直っすか?」
「厳密に言うと、今上帝の側近的な人間とか、蔵人とかが居るんだけど、その蔵人の様な扱いだから、かなり近いかな?」
「秘書みたいな感じすか?」
「あーーー職場的にはそんな感じ。実は相談役的な?」
「そ、相談役ぅ?」
「ああ。問題になった事を、現代の日本と比べてどう思う?的な」
「そんなの、日本の政治家に聞けばいいのに………」
「いや。政治をするのは今上帝だけ」
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